ニューヨークで刑が言い渡された後、カリフォルニア州に送還手続きが
ワインスタインの裁判は2020年1月22日からニューヨークの最高裁判所で開始され、ヘイリーやマンのほか、アナベラ・シオラも証言台に立った。検察官は、ワインスタインを「性犯罪のベテラン」と呼び、被害状況を詳細に明らかにした上で、裁判の対象となっているのは被害者2人に対する犯罪だが、陪審員は、ワインスタインの性犯罪を示唆する別の4件の被害についても考慮するよう求めた。
それに対し、ワインスタインの弁護団は「性行為はすべて同意の上のものだった」とし、被害を訴えている女性たちのうち1人はワインスタインと相思相愛の恋人関係にあったと主張した。
2020年2月24日、5日間の評議の後、陪審は、2006年のヘイリーへの性的暴行と2013年のマンへのレイプについて、第1級性的犯罪行為と第3級レイプのかどでワインスタインに有罪判決をくだした。
そして、3月11日、ニューヨーク最高裁判所の判事は、ワインスタインに禁錮23年の量刑を言い渡した。ワインスタインの罪状での最長禁錮年数が29年であることを考慮すると厳しい決定であり、良好とは言いがたい健康状態で67歳のワインスタインは刑務所で死を迎えることも大いにあり得ると指摘されている。
ワインスタイン側はこの判決を不服として上訴する意向を示しているが、ニューヨークで刑が言い渡されたのと同じ3月11日、ロサンゼルス郡地区検察局が、ワインスタインをカリフォルニア州に送還する手続きを始めることを明らかにした。ワインスタインは、同州でも2013年に2人の女性に対して性的暴行を加えたかどで起訴されているからである。
勇気をもって名乗りを上げた女優たちが勝利宣言を
ワインスタインが有罪判決を受けて23年の禁錮刑に処されることになったという報道に対し、ワインスタインの被害者として名乗り出た女性たちは一様に快哉を叫んだ。
アシュレイ・ジャッド、ロザンナ・アークエット、ローズ・マッゴーワンら、ワインスタインの被害者たちから成るサイレンス・ブレイカーズという団体は「ワインスタインはこれからずっと有罪判決を受けたレイプ犯という名を背負っていく。彼は刑務所に入るが、いかなる量刑も彼が破壊した人たちの人生やキャリアを修復することはない。(中略)裁判は終わったがサイレンス・ブレイカーズは社会改革と正義の追求を続けて声を挙げ続ける」という声明を発表した。
アナベラ・シオラの証言の一部を裏付けたロージー・ペレスは「23年!有罪で量刑!今日は世界が正義に向かってさらに一歩近づいた!この勝利で親愛なる友達アナベラと勇気ある女性たちの傷が癒えて心の平和が戻りますように!」とツイート。
ミラ・ソルヴィノも「ワインスタインはレイプと性的暴行で懲役23年の刑を受けた。今日は犠牲者たちのために司法制度が正しく機能したことに驚嘆して感謝し文字通り涙を流して泣いた」と心境をツイートしている。
ワインスタインの逮捕と裁判については、その実現のきっかけの1つを作ったニューヨーカー誌の記事を書いたジャーナリスト、ローナン・ファロー(ウディ・アレンとミア・ファローの息子)のツイートが、その本質を簡潔にまとめているので、最後に御紹介しておこう。
「有力者と知己がある裕福な人間に責任を取らせるのがいかに難しいかということを多くの報道が強調してきたが、今日は、遥かに弱い立場で個人的なリスクを負ってでも敢えて声を挙げた人々の力が示された。ワインスタインの判決は、ワインスタインによるレイプと性的暴行の申し立てを最初に報じたニューヨーカー誌を含めたメディアの重要性を再認識させるものだ。ワインスタインの弁護団は、そのような報道が彼の人生を台無しにしたと判事への書簡で訴えていたが、それどころか、山積した証拠は、ワインスタイン自身の行動がそのような結果を招いたことを示唆している。この判決によって、より多くの人たちが声を挙げるよう勇気づけられ、より多くの媒体が厄介な話でも支援する姿勢を貫こうと考えることを願ってやまない」
ローナン・ファロー Twitter(https://twitter.com/ronanfarrow)より