一気に異空間に誘ってくれるが破滅の香りも
パターン2:官能、そして危険な愛
官能&危険は恋の重要な要素。羞恥プレーは男女の気持ちを昂らせ、一気に異空間へと誘ってくれたりする。かつて一世を風靡した伝説の官能映画が「ナインハーフ」(1986)。
「ナインハーフ」(1986)
監督:エイドリアン・ライン
出演:ミッキー・ローク/キム・ベイシンガー
ニューヨークのギャラリーに勤めるバツイチのキャリアウーマンが、ある日出会ったハンサムな証券ディーラーに誘われるまま、目隠しして腹上氷這い這いや、冷蔵庫から取り出した食材プレーや、牝犬羞恥プレーによって、封印していた欲望を発散する9週間と半分。自分の本質と初めて向き合ったヒロインは、新たな人生へと舵を切る決断が早い。
「ラスト、コーション」(2007)では1942年の上海で、身分を偽って日本軍と通じる特殊機関の重要人物に接近した抗日工作員が、いつしか任務を逸脱してSMプレーに没頭する。
「ラスト、コーション」(2007)
監督:アン・リー
出演:梁 朝偉(トニー・レオン)/湯 唯(タン・ウェイ)
支配し、支配される関係は、戦後のウィーンで不幸にも再会してしまった元ナチス親衛隊と、彼が収容所で弄んだユダヤ人女性が、あの頃と同じようなS関係に回帰していく「愛の嵐」(1974)も同じ。戦争の時代は歪んだ男女の関係を育むものなのだ。
「愛の嵐」(1974)
監督:リリアーナ・カヴァーニ
出演:ダーク・ボガード/シャーロット・ランプリング
一方、「ダメージ」(2007)では成功した政治家が事もあろうに息子の恋人と密通してしまう。そこに倫理観は皆無だが、あり得ることはあり得る。
「ダメージ」(2007)
監督:ルイ・マル
出演:ジェレミー・アイアンズ/ジュリエット・ビノシュ
また、「アイズ・ワイド・シャット」は倦怠感を迎えた夫婦が、ありもしない浮気を疑うことで甘美で危険な夢に取り込まれて行く物語。ドラッグ、乱交パーティ等々、よく見るとかなりえげつないシーンが多数登場して、いつしか観客の五感も危うくなる。
「アイズ・ワイド・シャット」
監督:スタンリー・キューブリック
出演:トム・クルーズ/ニコール・キッドマン
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