映画はなんといってもロマンスものに萌える、燃えるという方々も多いでしょう。不朽の名作「ひまわり」のリバイバルにあわせ、見ておくべき大人の恋愛映画を6つのパターンでピックアップ!誰もが一度は通る有名作から味のある通好みの逸品まで、必見作をずらりとご用意しました。今回は後編です。(文・清藤秀人/デジタル編集・スクリーン編集部)
人生の喜びや悲しみが集約されている
パターン1:大人同士の恋愛
大人同士の恋。そこに劇的な展開こそ希薄だが、人生の悲しみと喜びが集約されている。王道は「男と女」(1966)。ドービルで出会った夫を亡くした女性と、やはり妻を亡くしたスピードレーサーが、パリとドービルを往復しながら、徐々に距離を縮めていく。強い言葉や態度でなく、漂うニュアンスの中から微かな可能性を探り合う2人の風景は、大人の恋、と呼ぶに相応しいもの。
「男と女」(1966)
監督:クロード・ルルーシュ
出演:ジャン=ルイ・トランチニャン/アヌーク・エメ
また、各々夫婦して同じ日にアパートに越してきた男女が、お互いの伴侶が不倫していることを嘆きつつ、自分たちも関係してしまうのが「花様年華」(2000)。2人の行動を覗き見するようなカメラが、観客の好奇心と想像力を刺激しまくる。
「花様年華」(2000)
監督:ウォン・カーワイ
出演:トニー・レオン(梁 朝偉)/マギー・チャン(張 曼玉)
ハリウッド映画が描く大人の恋は、よりコミカルで上質なペーソスが漂う。結婚式に招待された花婿とは絶縁状態にある異父兄弟と、花婿に捨てられた元婚約者が、文句を言い合い、ぶつかり合ううちに惹かれあっていく「おとなの恋は、まわり道」(2018)は、遠回りだけどホッとする物語。
「おとなの恋は、まわり道」(2018)
監督:ヴィクター・レヴィン
出演:キアヌ・リーヴズ/ウィノナ・ライダー
また、「恋のためらい/フランキー&ジョニー」(1991)は、大都会ニューヨークのダイナーで知り合った刑務所帰りのコック、ジョニーが、強い愛で心に傷を持つウェイトレス、フランキーの閉ざされた心の扉を開く訳ありの恋物語。
「恋のためらい/フランキー&ジョニー」(1991)
監督:ゲイリー・マーシャル
出演:アル・パチーノ/ミシェル・ファイファー
同じくニューヨークが舞台の「恋愛小説家」(1997)では、極端な潔癖性で変人の小説家が、下町に住むウェイトレスと恋におちたことで変人体質を返上する。ウェイトレスは疲れた男たちの魂に火を灯す恋のオラクルなのだ。
「恋愛小説家」(1997)
監督:ジェームズ・L・ブルックス
出演:ジャック・ニコルソン/ヘレン・ハント