IMAXとは?
IMAXと聞いて、みなさんは何を思い浮かべるでしょうか? 映像?それともサウンドシステム? 最近では、「IMAXレーザー」、「IMAXレーザー/GTテクノロジー」なんて言葉も出てきて、何が何やらわからない……という方も多いのではないでしょうか?
そんな謎に包まれた(?)IMAXについて、今回は簡単な歴史とその特長を解説していきます。
はじまりは50年前
今から約50年前の1967年にカナダで生まれたIMAX社(当時はマルチスクリーン社)。IMAXとは、同社が開発した動画フィルムの規格及び映写システムのことです。
これは、1コマに使うフィルムの面積を70㎜(通常は35㎜)と広くすることで高精細度の映像を記録・上映できるというもの。
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IMAXカメラ。大型のフィルムを大量に使うため莫大なコストがかかる(出展:Wikipedia)
commons.wikimedia.org撮影には専用のIMAXフィルムカメラを使います。ただ、巨大なフィルムを使うためカメラが大型になること、機材が非常に高価で激しいシーンでの撮影などではほとんど使われない(使う監督もいます)こともあり、本編の数シーンをIMAXフィルムカメラで撮影というのが現実です。
のちにフィルムを必要としないIMAXデジタルカメラも普及しますが、その映像はフィルムカメラに及ばず、デジタルの解像度が2〜4Kなのに対し、フィルムは8K以上と、IMAXフィルムは現在でも圧倒的な美しさを誇ります。
しかし、いくら美しい映像を収めても、それを上映する設備がないと意味がありません。
IMAXフィルム映像は上下が切られてしまう?
IMAXフィルムのアスペクト比は1.43:1であり正方形に近い形になります。そのため、一般的なシネスコープ方式の映画館のスクリーン(2.35:1)では画像の上下が切られた状態になってしまいます。
これはのちほど紹介する「IMAXデジタルシアター」でも同じで、同施設のスクリーンのアスペクト比は1.90:1。IMAXデジタルカメラに合わせたスクリーンサイズになっていますので、結局フィルムカメラの映像は切られてしまいます。ではIMAXフィルムをそのまま楽しめる映画館はどこにあるのでしょうか?
本来のIMAXは日本では楽しめない⁉︎
実は、IMAXフィルムで撮影した映像を、“そのままフィルム上映できる映画館”は日本には存在しません。唯一本来のIMAX映像を楽しめる施設は、鹿児島市立科学館(宇宙劇場)のみで、映画ではなく、天体に関する映像を流しています。
日本には、と言いましたが、世界にはIMAXフィルム上映が可能な「IMAXシアター」があります。しかし、その数は20館ほど……。これを聞くと、じゃあ今我々が楽しんでいるIMAX○○って何なの?となるでしょう。
\ここでワンポイント/
フィルム上映のできるIMAXシアターは日本にありませんが、IMAXフィルム本来のアスペクト比で観ることのできる超大型スクリーン完備の映画館は日本に2カ所あります。それが、109シネマズ大阪エキスポシティと、東京・池袋のグランドシネマサンシャインです。このサービスはのちほど「IMAXレーザー/GTテクノロジー」のところで紹介いたします。
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現在我々が日本の映画館で楽しんでいるのは、「IMAXフィルムで撮影した映像から起こしたデジタルデータを専用プロジェクターを使って上映しているもの」、「IMAXデジタルデータの映像をそのまま上映しているもの」、「IMAX以外の一般的なフィルムやデジタル映像をIMAXフォーマットに変換して上映しているもの」に分かれます。
どれもIMAX上映!と一括りにされがちですが、実は違いがあったんですね。