ひと昔前と比べ、映画館の上映設備やサウンドシステムは格段に進化を遂げています。デジタル3D、IMAX、4DX……最近ではBESTIA、SCREEN X、4DX SCREENなどなど、枚挙にいとまがありません。どれも映画を盛り上げてくれることは確実なのですが、何が何やら分からない!なんて人も多いのではないでしょうか? そこで本連載では、【知っておきたい映画館のこと】と題し、毎回映画館の“ハテナ”をご紹介。今回のテーマは「IMAX」です。(2024年5月28日、一部改訂)

映画館にある「IMAX○○」は映像・音響・空間を専用につくった上映設備のこと

最初にIMAXとは動画フィルムの規格及び映写システムと説明しましたが、映画館にある「IMAX○○」は、IMAXフォーマットによる映像の深みや美しさ、それを楽しむために専用設計された大型スクリーンや音響設備などを完備したシアターサービスの名称です。

IMAXは、すべてのロケーションで一貫したクオリティの上映を可能にするため、どの席からでも観やすいように設計された客席、壁や天井の形状、スピーカーやプロジェクターの配置など、独自のシアター構造を採用しています。スクリーンの大きさと座席数は様々ですが、世界平均のスクリーンサイズは横幅65フィート(約19.8m)、アスペクト比は様々で、世界最大のスクリーンは横幅125フィート(約38.1m)です。

2023年12月31日の時点で、90の国と地域で1,772のIMAX システム (1,693のシネマコンプレックス、12の商業施設、67の公営施設) が稼働しています。日本には現在、IMAXが導入されているシネマコンプレックスは50館。2023年12月にユナイテッドシネマ金沢にIMAXが導入され、50館達成となりました。今後もさらに劇場数は増えていく模様です。

現在あるIMAX○○は「IMAXデジタルシアター」、「IMAXレーザー」、「IMAXレーザー/GTテクノロジー」の3つ。ここからは我々が今楽しむことのできる3つのサービスについて紹介していきます。

画像: 映画館にある「IMAX○○」は映像・音響・空間を専用につくった上映設備のこと

\ここでワンポイント/

最近、昔の映画やアニメをIMAX化!なんてよく聞きますが、これは「IMAX DMR(アイマックス・デジタル・メディア・リマスターリング)」といって、IMAXフィルム以外で作られた映画の音響、彩度、コントラスト、明るさといった細部を高い精度で調整し、IMAXフォーマットにリマスタリングしたもののことです。

IMAXデジタルシアターとは?

IMAXによる美しい映像をフルに体感するために、シアター空間全体を独自に設計したのが、この「IMAXデジタルシアター」です。その魅力は下記の通り。

明るく鮮明な2K映像

2台の2Kデジタルプロジェクターを使うことで、従来の上映システムから1.6倍も明るく鮮明な映像を投影。リアルタイムで映像調節をしたり、よりリアルで臨場感のある映像を映し出すことができます。

5chサウンドシステムで映画の世界へ

身体に響く重低音から、耳元で聴こえるささやき声、迫力の戦闘音や背後から忍び寄るモンスターの足音……など、独立した5つのチャンネルから流れるサウンドにより映画を何倍も楽しむことができます。

しかもIMAXデジタルシアターでは、どの座席に座っても変わらないようコントールされていますので、座席で一喜一憂することもありません。

専用空間で圧倒的な没入感!

上下左右いっぱいに広がる大型スクリーンを客席近くに配置。座席角度やサウンドシステムとの相乗効果により、視界すべてで映画を楽しむことができます。

IMAXデジタルシアターのある映画館は?※リンクは各劇場一覧ページへ

109CINEMAS
109シネマズ木場/109シネマズ湘南/109シネマズ箕面

ユナイテッド シネマ
ユナイテッド・シネマ豊橋18/ユナイテッド・シネマ岸和田

シネマサンシャイン
シネマサンシャイン土浦/シネマサンシャイン衣山

TOHOシネマズ
TOHOシネマズ日比谷/TOHOシネマズ仙台/TOHOシネマズ ららぽーと横浜/TOHOシネマズ 二条/TOHOシネマズ なんば

イオンシネマ
イオンシネマ大高

Tジョイ
TジョイPRINCE品川/横浜ブルク13/広島バルト11/鹿児島ミッテ10

HUMAX CINEMA
成田HUMAXシネマズ

Furec
福山エーガル8シネマズ

US CINEMAS
USシネマちはら台

IMAXレーザーとは?

簡単に言えば、IMAXデジタルシアターの上映設備をアップグレードさせたものが「IMAXレーザー」です。

映像は2Kから4Kへ進化

従来のIMAXデジタルシアターでは2K画質だったものが、4Kレーザー投影システムを採用したことでより鮮やかで明るく、コントラストの深い映像に。

2Dはもちろん3Dもより生き生きとした映像になるため、これまで以上に映画の世界に没入できること間違いありません。

12chサウンドシステムによる圧倒的な臨場感!

IMAXデジタルシアターで採用された5chサウンドシステムから12chへアップ! サイドスピーカーとオーバーヘッドスピーカーを新たに設定したことで、これまでにないほどパワフルでより臨場感のあるサウンドを実現しました。

12chサウンドシステム

IMAXレーザーのある映画館は?※リンクは各劇場一覧ページへ

109CINEMAS
109シネマズ二子玉川/109シネマズ グランベリーパーク(町田)/109シネマズ川崎/109シネマズ菖蒲/109シネマズ名古屋

ユナイテッド シネマ
ユナイテッド・シネマ札幌/ユナイテッド・シネマとしまえん/ユナイテッド・シネマ テラスモール松戸/ユナイテッド・シネマ浦和/ユナイテッド・シネマ キャナルシティ13/ユナイテッド・シネマ PARCO CITY 浦添

シネマサンシャイン
シネマサンシャインららぽーと沼津/シネマサンシャイン大和郡山

TOHOシネマズ
TOHOシネマズ新宿/TOHOシネマズ 流山おおたかの森

IMAXレーザー/GTテクノロジー

現在の日本で観られるIMAX上映設備としては最高峰となるのが「IMAXレーザー/GTテクノロジー」です。

IMAXフィルムと同じ1.43:1サイズでの上映が可能

ビル6階建てに匹敵する高さ約18m、横幅は約26mという巨大スクリーンを展開。

本スクリーンのアスペクト比はIMAXフィルムと同じ1.43:1となっているため、IMAXフィルムで撮影されたシーンは本来のサイズで上映可能になったほか、従来よりも約40%広がった大迫力の映像を楽しめるようになりました。

画像: 「IMAX®レーザー/GTテクノロジー」シアター グランドシネマサンシャイン(シアター12)

「IMAX®レーザー/GTテクノロジー」シアター グランドシネマサンシャイン(シアター12)

4Kツインレーザープロジェクター

当然、巨大なスクリーンに合わせて映写機もパワーアップしています。4Kツインレーザープロジェクターにより、これまでのスクリーンでは再現できなかった明るさ、コントラスト、色合いを実現。まるで目の前に映画の世界が広がっているかのような体験が味わえます。

画像: 4Kツインレーザープロジェクター

4Kツインレーザープロジェクター

劇場サイズに合わせた分散型の12chサウンドシステム

巨大スクリーンを有するIMAXシアター用に専用設計した分散型12chサウンドシステムを採用。天井・両サイドにスピーカーを追加し、これまで聴こえなかったような繊細な音から轟音まで、シーンに合わせた最適なサウンドを展開してくれます。

IMAXレーザー/GTテクノロジーのある映画館は?※リンクは各劇場一覧ページへ

109CINEMAS
109シネマズ大阪エキスポシティ

シネマサンシャイン
グランドシネマサンシャイン(池袋)

クリエイターたちとの連携

IMAX社は、日本のみならず世界中の映画製作者や興行会社と手を取り合いながら、映画体験の促進をサポートしています。

本年日本でも公開され話題を呼んだ『デューン 砂の惑星PART2』と『オッペンハイマー』は制作段階からIMAX上映を想定しており、IMAXのカメラを使って撮影され、IMAX仕様にフォーマットされています。両作品ともIMAXにおいて大成功を収めており、IMAXシアターは世界のスクリーン数の1%にも満たないにもかかわらず、両作品ともIMAXシアターが世界興行収入の20%を占めました。

「Filmed for IMAX」

「Filmed for IMAX」プログラムでは、IMAXにおける映画鑑賞体験に関する映画製作者の要望に応えるために、IMAX社は世界をリードするカメラメーカーとパートナーシップを組み、IMAXフォーマットで使用可能なハイエンドの最高級デジタルカメラの認証を行なっています。

さらに、撮影から独自の技術を用いたポストプロダクションプロセスに至るまで「Filmed for IMAX」プログラムに参加する映画製作者やプロダクションと密接に連携。IMAX独自の映写システムにおいて最適なデジタル撮影を実現するため、研究開発、プロダクションテスト、ポストプロダクションにわたって各カメラメーカーと連携しています。

『デューン 砂の惑星PART2』は、全編IMAX認証デジタルカメラで撮影され、IMAX独自の1.90:1画角、および一部のIMAXシアターではIMAX独自の1.43:1画角で投影されています。さらに同作は、IMAX15パーフォレーション/70mmフィルムの形式で、世界の12館のIMAXシアターで上映されました。

現在、IMAXフィルムカメラ、あるいはIMAX認証デジタルカメラを用いた「Filmed For IMAX」作品の年間製作本数は過去最多となっています。近日公開予定のIMAX認証デジタルカメラで撮影された作品には『ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ』があり、2025年以降も過去最多のIMAXカメラ撮影による映画が製作される予定です。

「Shot in IMAX」

「Shot in IMAX」は、「Filmed For IMAX」プログラムの詳細の多くを実行するもので、構想から撮影、ポストプロダクションにいたるまで映画製作者を広範にサポートします。

「Filmed For IMAX」プログラムとの重要な違いは、IMAX 15パーフォレーション/70mmフィルムカメラを使用してIMAXフォーマットで直接撮影し、従来のアナログフィルム体験を提供する点です。
これは最近公開の『オッペンハイマー』で最もよく表れています。この作品ではIMAX 65mmと65mmラージフォーマットフィルムを組み合わせて撮影されました。

IMAX 15パーフォレーション/70mmフィルムカメラは、世界で最も解像度の高いカメラのひとつです。IMAXフィルムカメラで撮影した場合、映し出される映像は従来の35mmフィルムの約10倍の解像度を誇り、圧倒的な撮影範囲とクオリティを提供します。

2025年中には、高まる映画製作者の要望に応えるため、次世代IMAXフィルムカメラのプロトタイプを発表する予定です。

まとめ

いかがでしたか? IMAXと一口にいっても、フィルムやデジタルなど撮影方法によっても大きく変わること、その上映設備にも多数の展開があることがお分かりいただけたかと思います。

最近でも『ゴジラ-1.0』『劇場版ハイキュー‼ ゴミ捨て場の決戦』、IMAX社にとっては初めてのスタジオジブリ作品『君たちはどう生きるか』などが公開されました。2024年も東宝とは引き続きパートナーシップを組み、現在公開中の『名探偵コナン 100万ドルの五稜星(みちしるべ)』のほか『キングダム 大将軍の帰還』がIMAXで公開予定。

IMAX社によれば、日本は、劇場ネットワーク、興行収入、コンテンツのラインアップ拡大という点で、IMAX社にとって最優先史上のひとつとのこと。今後の展開にも注目していきたいですね。

▶︎▶︎映画館にまつわる“ハテナ”をご紹介【知っておきたい映画館のこと】

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