新コロナウイルス感染拡大により、映画界は大打撃を受けています。カンヌ国際映画祭をはじめ、日本でも2020年6月25日から28日まで開催予定だった「フランス映画祭2020横浜」も延期になりました。この映画祭の再開催を願って、昨年の同映画祭上映作品の一つ、『愛しのベイビー』のリサ・アズエロス監督と主演女優タイス・アレサンドランのインタビューをご紹介します。アズエロス監督は、昨年11月に惜しまれながらも逝去された、フランスの名女優マリー・ラフォレの娘で、アレサンドランの母でもあります。母・娘・孫の女性三代に繋がる、映画の世界に生きる想いをうかがいました。(※トップ写真 リサ・アズエロス監督、女優タイス・アレサンドラン/撮影:安井 進)

自らの女優経験を活かし、偉大な女優に演じさせる

画像: 自らの女優経験を活かし、偉大な女優に演じさせる

──この作品も、監督ご自身とかぶるような、三人の子供を抱えるシングル・マザーのキャリア・ウーマンが主人公でした。演じさせられる女優より、マルソーのような女優に、演じさせる、映画監督という仕事を選ばれたんですね?

「そうですね。その方が自分に合っていると。ただ、女優として演じる経験をしたから、役者の立場や気持ちが、よく分かるようになりました。監督をしていても、演じるということや、その立場を理解しながら進められるようになりました」

──ソフィー・マルソーはフランスを代表する女優さんで、日本でも良く知られていて人気がありました。そんな彼女を思い通りに、自由に演じさせられるということが、監督としての快感というか喜びなのでしょうか?

「そうだと思いますね。しかも、私が今まで監督してきた作品では、一緒に仕事をする主演女優さんは、皆さん偉大な女優さんです。そうであったから、私は監督として良い仕事をすることが出来たのだとも思います」

──次に、お嬢さんのアレサンドランさんが女優になることについては、アズエロス監督から、母親としての導きがあったのでしょうか?女優をぜひ、やりなさいというような。

「いいえ、そうではなかったですね。娘の方から私に言って来たんです。ママの監督する映画に出たいと。7歳の時でした。私が監督・脚本を手がけた『LOL ~愛のファンタジー~』(2008)に彼女が出演しています」

──この作品も、「シングル・マザーも恋をする」というような生き方が描かれました。どうして、お母様の映画に出たいと思うようになったんですか?

「(アレサンドラン)本当に映画が好きで、演じることが好きで、どうしても出たかったんです、母の映画に」

母親の映画に出て、女優志願

──演じることはどこかで学んでいらした?

「学校とは別に、8年間、演劇の学校に通い、授業や講座を受けました」

──そうさせる力は、おばあ様やお母様のDNAが影響していると思いますか?

「(アレサンドラン)女優という仕事に関しては、母をひと世代飛び越えていますが、やはり、環境や遺伝子的なもの、両方が影響していると思います」

──目標はマリー・ラフォレさんのような女優ですか?

「(アレサンドラン)まず私は、祖母のように歌が上手ではないのです(笑)。書くことが好きなので、自分が原作あるいはシナリオを書いて、演じてみたい。母の監督で。そんなことを思い描いています」

──フランスには女優でありながら監督や脚本も手がけるという女性が珍しくないし、お母様も多才ですから、アレサンドランさんにも、そういう才能の遺伝子がおありでしょう。楽しみですね。

「そうですね。今の時代なら、監督でもあり女優でもあり、そして子供を持つ母親になっても、めざす仕事を映画界ですることが可能ですからね」

──結果的に女性三代にわたり、映画界で仕事をやり抜いているということは、女系の系譜というか、女系家族と言って良いのでしょうかね。

「私には息子もいますよ(笑)。3人子供がいて、女の子2人と男の子が1人」

──あ、それでも、どうしても女性が多いですね(笑)。女性が強い家系なんでしょうね。

「そうです。強い女性たちです(笑)」

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