\今月のイチオシ/
鬼才スパイク・リー監督の集大成!
現代のベトナムを舞台に“アメリカの罪”を描く
ザ・ファイブ・ブラッズ
ジャンル:アクション
「ドゥ・ザ・ライト・シング」「マルコムX」など、自身と同じアフリカ系アメリカ人を題材に、米国社会に対する問題提起を継続。一昨年の「ブラック・クランズマン」で第91回アカデミー賞の脚色賞に輝き、悲願のオスカーを初受賞した鬼才スパイク・リー。同監督が米国現代史で重要なベトナム戦争を、やはりアフリカ系アメリカ人の視点から描いた、話題の戦争アクション。監督のファンがリー・ワールドの集大成と感じるであろう、渾身の力作だ。
ベトナム戦争の最前線で兵士として戦ったアフリカ系アメリカ人男性5人のうち4人、ポール(デルロイ・リンド)らは数十年ぶりにベトナムのホーチミンで再会する。彼らの目的は仲間であるノーマン(チャドウィック・ボーズマン)の遺骨と、彼らが戦時中に見つけて隠した金ののべ棒の回収だった。ところが向かったベトナムの地方はまだ地雷地帯があるなど、危機の連続に4人のノスタルジーはもろくもかき乱される。
ここに注目するとさらに面白い!
1.アフリカ系アメリカ人への鎮魂歌鬼才スパイク・リー監督の集大成!
米国史上ずっと差別されてきたアフリカ系アメリカ人を題材にし続け、彼らにシンパシーを寄せてきたリー監督。前作「ブラック・クランズマン」も現在の社会運動“ブラック・ライヴズ・マター(アフリカ系市民の命も重要だ)”を先取っていたのだ。本作はそんなリー監督によるアフリカ系アメリカ人への鎮魂歌である。
2.映画を愛し、知り尽くした監督の斬新な実験的演出に思わず唸る!
画面のサイズが、各場面が舞台としている時代によって異なるという実験的演出に本作はチャレンジ。過去を描く各場面はスタンダードサイズだが、以後の時代はアメリカン・ビスタとシネスコの両方がある。映画を愛し、各時代それぞれでどんな画面サイズが流行ったかを知り尽くしたシネフィル、リー監督ならではの技が光る。
このキャラに注目!
ポール(デルロイ・リンドー)
“ブラッズ(兄弟たち)”と呼び合うチーム5人のひとり。息子デヴィッド(ジョナサン・メージャーズ)も今回の捜索に加わる。
デローシュ(ジャン・レノ)
オーティス(クラーク・ピーターズ)の元恋人が紹介してくる、“ブラッズ”に協力するという謎めいたフランス人ビジネスマン。
ノーマン(チャドウィック・ボーズマン)
戦時中、最前線で命を落とした“ブラッズ”の勇敢なリーダー。仲間は今も彼のことをしょっちゅう思い出し、忘れない。
Photo by JB Lacroix /Getty Images, Elisabetta A. Villa/Getty Images
ザ・ファイブ・ブラッズ
Netflixにて配信中