映画「ブラック・ウィドウ」のテーマの一つは“家族”
──「ブラック・ウィドウ」がマーベル・スタジオ版ファミリー・ドラマのような形になった経緯を教えてください。
「本作がファミリー・ドラマになると予想できた人なんていたかしら？ この映画のテーマの一つは家族。当初〝ファミリー・ドラマのナターシャ・ロマノフ〞というケヴィン・ファイギのアイデアは誰も予想していなかった。
彼が天才的な理由の一つは、ファンが何を期待しているかを考えたうえで、夢にも思っていなかった何かを提供できることにあるの。どういうことになるのか私にもなかなか理解できなかったわ」
──フローレンス・ピュー演じるエレーナ・ヴェロワはどのような人物ですか。
「ナターシャにとって妹のような存在よ。ナターシャは淡々としているけれど、エレーナは感情がすべて。本物の家族のような姉妹関係を作り出しているから、二人が一緒にいるのを見るのは本当に楽しいの。
今回ナターシャとエレーナが最初に会ったときはとても久しぶりの再会だったと思う。二人は愛と裏切りと競争意識を併せ持ちながら相手をやっつけようとする姉妹のように戦うけれど、あのシーンを暴力的に感じるものにしたくなかった。
なぜなら、愛と情熱から来ているものだから。私はあの関係にも、それぞれの過去やトラウマにも、すごく共感できる。共有するダークな過去の存在が絆を深めているから、二人の間にはたくさんの愛情があるの。そういうシーンをフローレンスと演じられたことは本当に素晴しかったわ」
この映画で大切なことは、ファミリーがナターシャという人間を形成させた経緯を理解すること
──レイチェル・ワイズ演じるメリーナ・ヴォストーコフはいかがですか。
「メリーナはナターシャの母親的存在で、基本的に第一世代のウィドウ。ナターシャが経験させられた過程を全部経験していて、それはナターシャが経験した以上に人間性を奪われるものだった。
彼女はすべての人生をこの体制の中で生きてきたから、彼女の自己価値の感覚は体制という大きい力によるものなの。そのせいで彼女の心は硬化していったの。メリーナは親密な関係性を強く求めているけれど、自分には愛される価値どころか、感情に根差した関係性を持つことさえも価値がないと感じていて、それが心の傷になっている。
だけどそんな彼女の強さの中にある脆い弱さ、そしてストイックな彼女のパフォーマンスにヒビが入り始めるの。それは見ていてとても美しいのよ」
──デヴィッド・ハーバー演じるアレクセイ／レッド・ガーディアンについても聞かせてください。
「ナターシャは孤児だったと聞かされているけれど、彼女はそこからの道のりの中でこの新しいファミリーを授かっていった。その一人がアレクセイで、ある意味、親のような存在になる。
この映画で大切なのは、このファミリーがナターシャという人間を形成させた経緯を理解することだと私たちは考えていて、ナターシャが彼らと過ごした年月は、彼女にとって形成期に当たる年月ではないかしら。
彼らに裏切られたと感じていることが、彼女のDNAの大きな部分を占めていると思う。心を開くことに慎重な理由も、様々な顔や仮面を持っている理由も、そこにあるんだと思うわ。彼女は彼女にとって最も大切だった人々によって深く傷つけられていたの」
──全員がそれぞれのシチュエーションを抱えた状態の中で、あなたたちは“ファミリー”の化学反応をどのように見い出しましたか。
「私たちはとても早い段階でファミリー・ディナーのシーンを撮影したの。そのシーンについてはたくさん話し合ったわ。なぜなら、どんな家族にでもあるようなとても複雑な過去がこの4人にもあるのだということを観客に理解してもらうために、すごく重要だったのよ」
ブラック・ウィドウ
2021年7月8日（木）劇場公開
2021年7月9日（金）ディズニープラス＆プレミアアクセス公開
※プレミア アクセスは追加支払いが必要です。
MCU フェーズ4の幕開けを飾るマーベル・スタジオ待望の最新作。「アベンジャーズ／エンドゲーム」での切ない運命も印象深いナターシャ・ロマノフ／ブラック・ウィドウの過去を描く。孤独な暗殺者だった彼女がなぜアベンジャーズになったのか。彼女と同等の能力を持つ妹的存在のエレーナなど“ 偽りの家族” の存在がストーリーのカギに。
監督：ケート・ショートランド
出演：スカーレット・ヨハンソン、レーチェル・ワイズ、フローレ
ンス・ピュー、デーヴィッド・ハーバー
配給：ウォルト・ディズニー・ジャパン
©Marvel Studios 2020
Photo by Tristan Fewings/Getty Images
