ネタバレが含まれていますので未見の方はご注意ください。
キーワード1
1984
本作の舞台は1984年。監督のパティー・ジェンキンズは『80年代は現在の価値観が生まれた時代だから、いまについてのコメントが出来る』と言っていたが、実際、そんなコメントがてんこ盛り。
先日のアメリカ大統領選を念頭に置いていたとしか思えないネタがちりばめられている。当初は、1984年に限定した理由にジョージ・オーウェルの小説『1984』は関係ないと言っていたジェンキンスだが、それを意識したとしか思えない展開になっている。
キーワード2
スティーブ復活!
今回の大きな話題のひとつが、世界を救うために命を落としたはずのスティーブ・トレバーことクリス・パインの復活。ダイアナが、その人の望みをひとつだけ叶えると言われる魔法の石に、思わず『スティーブを甦らせて!』と願ってしまったからだ(一応、からくりはありますが)。
彼が戦死した1917年からずっと孤独を抱えていた彼女が、恋人の復活で輝く姿が美しく、突然の84年に馴染めず右往左往状態のスティーブも、かなりかわいい。
キーワード3
新たなる二人の敵
公開以前は、最強の敵はバーバラ・ミネルバ=チーターかと思われていたが、それ以上にデンジャラスだったのが怪しいビジネスマンのマックス・ロード。破産寸前だった彼は、バーバラを通じて魔法の石を手に入れ、そのパワーによって世界を牛耳ろうとする。
ジェンキンズは公開前、『トランプは関係ない』と言っていたが、そのすさまじい野心はトランプそのもの。彼の野心が世界を滅ぼす? という恐ろしさを描き、トランプへの痛烈な批判になっている。
キーワード4
セミッシラ
冒頭に登場するのは、ダイアナの生まれ故郷、アマゾネスたちが暮らす孤島、セミッシラ。最強の女戦士たちが競い合うオリンピックに、まだ幼いダイアナも参戦し、大人のツワモノたちを打ち負かすほどの力を見せるものの、大きな過ちを犯す。
今回の物語の根幹となるのは、そのときダイアナが教えられたことだ。ちなみにダイアナが参加するのは、あらゆる身体能力を試されるトライアスロン。このシーン、開催予定だった東京オリンピックを意識した?
キーワード5
ゴールドアーマー
ポスター等でも明らかになっていたワンダーウーマンの新コスチューム、ゴールドアーマー。自宅に保管していたこれをまとった彼女が対峙するのは、チーターへと変身し、心も曇ってしまったバーバラ。背中の大きな羽で、彼女の執拗な攻撃をかわしながら闘うのだ。
とはいえ、あまり機能的にはみえず登場シーンは少なめ。むしろ、ゴージャスでバブリーでキラキラしている80年代を象徴するようなアイテムとしての役目を果たしている。
禁断のパワーをめぐって戦う4人
ヒーロー界最強と呼ばれる美しき戦士
ダイアナ=ワンダーウーマン(ガル・ガドット)
神のDNAを受け継ぐ最強の戦士。普段はダイアナ・プリンスを名乗りスミソニアン博物館のキュレーターとして働いている。ある事件によって不死身だったはずのパワーが徐々に薄れて行くことになる。
演じるガル・ガドットは『パティは出来る限りスタントを使わず、私にやらせようとした。それに応えるのはとても大変だったけど、やりがいはあったわ。もうひとつはあのゴールドアーマー。着心地は最悪でも、まとう意味は十分にあったと思っている』
かつて世界を救うために戦って死んだはずの元パイロット
スティーブ・トレバー(クリス・パイン)
ワケあって84年に甦ったヒーローパイロットでありダイアナの最愛の人。最初はカルチャーショックで笑わせてくれるが、最強の敵と命がけで戦う事態に陥り、ある決断を迫られることになる。今回もスティーブのヒロイズムがさく裂して、映画を盛り上げまくってくれるのだ。
スティーブがハマり役になったクリス・パインは『こんなに明るい役はデビュー当初以来かもしれない』と言っていたものの、蓋を開けるとドラマチックでかっこいい役だった。
恐るべき禁断の力を手にして人類滅亡の危機を呼ぶ起業家
マックス・ロード(ペドロ・パスカル)
石油ビジネスで財を築いた大金持ち……というのは見せかけで、その内実は火の車。愛する幼い息子のためにも復活を目指す彼が選んだ邪悪な方法が、あの魔法の石。果たして彼は何を願うのか? 今回の真の敵はこのマックス。魔法の石に驚くべき願いをして、世界中を混乱させるのだ。
『ビジュアル面では80年代のトランプが少し入っていると思う』と演じたペドロ・パスカルは言うが、少しどころかいっぱい。マックスの大暴れっぷりを楽しんで!
同僚のダイアナと正反対の性格で、ある欲望を抱く博士
バーバラ=チーター(クリステン・ウィグ)
スミソニアンに勤める冴えない女性考古学者。唯一、優しくしてくれたダイアナと友情を育む。が、魔法の石に『ダイアナのようになりたい!』と願い魅力的な女性に大変身。さらに、驚くべきパワーも授かってしまう!
『1作目の「ワンダーウーマン」が大好きだったから、パティーに声をかけて貰ったときは、本当に大喜びだった』というのは名コメディエンヌのクリステン・ウィグ。ダサい女子からイケまくっている女子への大変身っぷりがさすがなのだった。