サッカーの神様"と呼ばれ、昨年急逝したディエゴ・マラドーナの光と影を描く話題作『ディエゴ・マラドーナ 二つの顔』(公開中)。現在ヒット中の本作を鑑賞したFC 東京キャプテンの東慶悟選手が、伝説の男マラドーナについて、映画の見どころについて語ってくれました。(文・佐藤いづみ/デジタル編集・スクリーン編集部)

東 慶悟 プロフィール

1990年7月20日生まれ。福岡県北九州市出身。2009年にプロ入り。ポジションはミッドフィールダー。2012年にロンドン・オリンピックに日本代表で出場。

翌2013年にFC東京入り。背番号は10。19年からキャプテンを務め、チームをまとめている。プライベートでは一児の父。2020年には骨折というトラブルもあったが、最終的にはJリーグYBCルヴァンカップでチームを久々の優勝に導く。

同じサッカー選手でも自分には想像できない立場にいた人

画像: 同じサッカー選手でも自分には想像できない立場にいた人

── 2020年11月25日にマラドーナさんが亡くなったというニュースをお聞きになった時の心境はいかがでしたか。

「ちょうどACLでカタールに遠征をしていまして、その遠征先で聞いたんですが、まずまだ60歳と若いのでビックリしたことと、サッカー界では伝説に残る方だったので、残念だなと思いました」

── 東選手にとってマラドーナさんはどんな存在で、どんなイメージをもっていますか。

「正直、僕は現役時代を観ていた世代ではなく、アルゼンチンの代表監督をしていたイメージが強かったです。いろんな伝説があると聞いていたので、すごい選手だったのだろうなとは感じていました」

── そんな中、この映画を観て印象に残ったシーンはありますか。

「ファンのアツさが本当にすごいなと思いました。彼が移籍したイタリア・ナポリでの熱狂的な歓迎ぶり。英雄が来たという雰囲気の中、素晴らしい結果も残して、神様に近い存在になっていくのは、僕には想像できないですね。

一方で彼の光と影も捉えた作品だったと思います。同じサッカー選手とは思えないような立場、環境だったのだろうなと感じました」

── 映画を観たことで今まで東選手が持っていたイメージが変わったことはありますか。

「僕の最初の正直なイメージですと、薬物とか、神の手ゴールといった悪いイメージというか、ずる賢しこい印象もあったのですが、観ていくと、なぜそうなっていったのか納得させられる部分も多く、偉大な選手としてのプレッシャーとか、その人気がそうさせた部分もかなりあるのかなと感じられました。もちろん薬物は良くないですけど、あの環境ではそうなってしまうのじゃないかなと……」

── ナポリという土地柄もあってか、マフィアとの関わりというのも大きな影響を及ぼしていますよね。

「まったく関わらないようにするとそれはそれで生活しにくかったりして、うまく付き合わざるをえないというのはマラドーナさんの気持ちの中にもあったと思います。これほどの選手になるとサッカーだけではなくて、私生活にも影響するんだなと思いました」

Photos by Ayano Miura (c)F.C.TOKYO

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