アメリカ本国ではいまいち奮わなかったものの、日本では全作大ヒットを記録している『バイオハザード』シリーズのおかげか、ミラは「人類を救うアクション・ヒロイン」のイメージ。
いえいえ、『バイオ〜』のアリスだけじゃないんすよ。そもそもミラがブレイクのきっかけをつかんだ『フィフス・エレメント』(1997)のリールー役から数えてみると、7つの役で人類を救いまくり。
ジェンダー観の変容とともにいい方向に風向きが変わったアクション映画は、今じゃ性別に関係なく大暴れが当たり前。“ワイスピ”シリーズでも、MCUでも、ヒロインが大活躍することが気持ちいいっていう作品はごまんとありますからね。とはいえ、90年代から活躍するアクション・ヒロインはミラ!
ミラ本人のお言葉です。「私が俳優を目指そうとした80年代は、映画の主人公といえば男性。おかしいと思ったのよね。でも、1979年に始まった『エイリアン』シリーズで変わったと思う。シガニー・ウィーヴァーが演じたリプリーを観ていて“これよ!”って感じたの」そうです。
リプリーが彼女の目標を作って、アクション映画への道を拓いたと考えれば、そりゃ彼女が演じる役は人類の守り神というのが正解。ということで、90年代の作品から最新作の『モンスターハンター』まで、ズラッとミラが演じた人類の守り神の大活躍を振り返ってみましょう。
リールー/『フィフス・エレメント』(1997)
地球滅亡を体を張って阻止!
謎の生命体が襲来。人類は世界を救うとされる5つ目の要素「フィフス・エレメント」を探していたところ、いろいろあって宇宙語しかしゃべれないリールーが出現。これまたいろいろあってタクシー運転手のコーベン(B・ウィリス)と共に、1時間57分後の地球滅亡阻止に挑む、というお話(ざっくり)。
ゴルチエデザインの布切れ衣装で登場のリールーは、メンタルはそれほど強くないものの、戦闘力はMAX。肉弾戦対応のスター誕生。
ジャンヌ・ダルク/『ジャンヌ・ダルク』(1999)
イングランド軍から国を救う
百年戦争下のフランスに実在した英雄“オルレアンの乙女”ことジャンヌ・ダルクの生涯を映画化。フランスの国民的ヒロインを神格化することなく、農家出身の女性が民衆を率いて国を救い、処刑されるまでが描かれる。
ミラはもちろんジャンヌ・ダルク役。単に強いだけでなく、いつくしみ深いリーダーとしてのイメージをミラが実現。ジャンヌ・ダルクの心的描写がメインで、オルレアンの戦い以外はド迫力アクション! というわけではないのであしからず。
アリス/『バイオハザード』シリーズ(2002〜2016)
ハイブリッドに進化するアリス
いわずとしれた2002年スタートの大ヒットシリーズ。カプコンの同名ゲームを原案に、人間を襲うアンデッドを退治しまくる主人公アリスをミラが演じた。
彼女の当たり役中の当たり役であり、この主演でシリーズ全作を監督しているポール・W・S・アンダーソンとミラが結婚するきっかけにもなったのはご存知のとおり。なんせ2〜3年に一度、新作を作っていたため、ミラは作品のためにトレーニングするのではなく、かなり激しめなワークアウトを日常化させるきっかけにもなった。
作中のアリスは、最初こそ「元アンブレラ社の特殊部隊」という設定だったが、作品を重ねるごとにそんな単純な設定が通用しなくなり、アンデッドの素となるT-ウイルスと仲良し関係になるわ、超能力を使えるようになるわ。
トンデモ設定がどんどん盛り込まれたが、無茶ぶり過ぎてむしろゲームっぽいキャラに成長。最終作の『〜ザ・ファイナル』では、アリスが超人化するに値するだけの出生の秘密が明かされる。