イントロ&ストーリー
原作は、pixiv上で80万ビューを超え、「このマンガがすごい」や「マンガ大賞」に入賞した杉谷庄吾【人間プラモ】の同名漫画。
敏腕映画プロデューサー・ポンポの製作アシスタント・ジーンのもとに、ある日チャンスが訪れる。ポンポさんが脚本を書き下ろした伝説の俳優の復帰作、映画『MEISTER』の監督に指名されたのだ。ポンポさん指名の新人女優をヒロインに迎え、波乱万丈の撮影が始まる──。
監督・脚本は『劇場版「空の境界」第五章 矛盾螺旋』(2008)や『GODEATER』シリーズの平尾隆之。キャラクターデザインを『ソードアート・オンライン』シリーズの足立慎吾、アニメーション制作は『この世界の片隅に』(2016)チームが立ち上げた制作会社CLAPが担当する。
主人公ジーン役に本作が声優初挑戦となる若手俳優の清水尋也、新人女優ナタリー役にはモデル・女優として活躍する大谷凜香、ポンポさん役を声優の小原好美、伝説の俳優マーティン役を大塚明夫が務め、夢と狂気が渦巻く映画製作現場の裏側をリアルに描く!
特に注目したい3つのポイント!
1.映画ファンなら共感必至の成長譚
映画に心を奪われた青年・ジーンと子供の頃から女優に憧れる新米女優のナタリーは応援したくなるキャラクター。
成功するのは簡単じゃないけれど、強い意志と熱い想い、さらに運を味方につければ、憧れの世界で成功するのも夢じゃない。夢見る二人のがんばる姿を応援しながら、同時に観る側も勇気と元気がもらえる。
2.リアルに描かれる銀幕の裏側
舞台は映画の街ニャリウッド。伝説のプロデューサーを祖父に持ち、彼の引退とともにありとあらゆるコネクションを引き継いだ敏腕&若手(すぎる)映画プロデューサーのポンポさんの存在こそ、夢そのもの。
映画界の最高峰ニャカデミー賞を6度受賞した世界一の俳優はあの人っぽい、なんて想像しながら観るのもおもしろい!
3.アニメならではの見惚れる画作り
ポンポさんをはじめ、かわいらしいビジュアルのキャラクターが登場。バルーンのように膨らむポンポさんの表現など実にアニメらしい演出もアリ!
「映画好きなスタッフが集まって作った」という平尾監督の言葉通り、映画製作現場の裏側のリアルを描きながら、キラキラした夢の世界を感じられる画作りが活きている。
登場する映画人たち
ジーン(声:清水尋也)
製作アシスタント。ポンポさんのもとで映画作りのノウハウを学んでいる。観た映画をすべて記憶するほどの映画通。
ポンポ(声:小原好美)
映画プロデューサー。魅力的な人間性と強い決断力という映画作りの才能を持ち合わせる一方で子供っぽい言動も多い。
ナタリー(声:大谷凜香)
新米女優。ポンポさんの目にとまり、女優デビューを果たすことに!どんなときも笑顔を忘れない前向きな女の子。
ミスティア(声:加隈亜衣)
人気No.1の若手女優。物腰が柔らかく面倒見がいい。
マーティン(声:大塚明夫)
伝説と呼ばれる世界一の俳優。実は意外とフランクなおじさん。
平尾隆之(監督・脚本)×松尾亮一郎(制作プロデューサー)スペシャルインタビュー
写真:久保田司
平尾隆之(右/監督・脚本)
アニメーション演出・監督・小説家。監督作に『魔女っこ姉妹のヨヨとネネ』『劇場版「空の境界」第五章 矛盾螺旋』『GOD EATER』など。
松尾亮一郎(左/制作プロデューサー)
アニメ制作会社CLAP代表・プロデューサー。担当作に『この世界の片隅に』『BLACKLAGOON』『マイマイ新子と千年の魔法』など。
── 原作に感じた魅力、劇場アニメ化でこだわったポイントを教えてください。
平尾「マイノリティがマジョリティに一矢報いる。そんなテーマのある作品を作りたいという気持ちがありました。映画ってすごく愛されているのに、作っている人たちは僕のように社会にあまりなじめなかったマイノリティの人が圧倒的に多い気がします。本作で言えばジーンくんのようなマイノリティなキャラクターがポンポさんに見初められ、映画の世界で輝いていくストーリーに魅力を感じ、映画にするならそこをプッシュすればさらにおもしろくなる気がしていました」
松尾「映画そのものを描いたマンガはありそうでないこと。また、作中に登場する映画の“わかってる感”に惹かれました。一番驚いたのは、原作に登場するベテランのコルベット監督の好きなアニメが、平尾監督と作った『魔女っこ姉妹のヨヨとネネ』(03)だったことです。偶然でしたが、運命だったのかもしれません(笑)」
── 映画製作の現場でがんばっている人たちにおすすめしたくなりました。
平尾「実際に実写映画を撮影している方たちに取材した際、開口一番“こういう現場、うらやましいです”と言われました(笑)。映画製作現場には厳しさや大変なことも多いけれどハッピーなこともある。創作に携わっている人、これから携わろうとする人たちへの応援歌のようなものになるといいなという思いもありました」
松尾「プロデューサーという立場では、ジーンのような行動をときには止めなければいけないけれど、彼に感情移入してしまいました。ひとつひとつきちんと作っていくこと。いろいろとせめぎ合いはあるけれど、ものづくりへのこだわりは共感できました」
── 監督はジーンタイプですか?
平尾「どうでしょう……?」
松尾「間違いなくジーンタイプです!」
平尾「現場に入るといろんな人たちから“こだわりが強い!”と言われますね。まあ、ジーンの行動や気持ちは刺さるものがあるし、原作2巻での彼のある行動は……、他人事とは思えません(笑)」
松尾「ポンポさんみたいなプロデューサーは、まずいないですね。彼女が持つ要素を切り分ければいるかもしれないけれど、ここまでの集合体となると、存在しないと言い切れます。バンバン作品を作って脚本も書けて、巨匠の孫なんて聞いたことない!」
平尾「だからこそ、憧れや夢をのせて描くことができる。リアルを描くのもいいけれど、こういうアプローチで観る人の共感や、やる気、がんばる力のようなものを引き出せる、というのがポンポさんというキャラクターにはあると感じました」
松尾「本編終盤でのある決断も、“こうありたい”と感じました。たとえ、大変なことになろうとも、いい選択であれば吟味したうえでGOと言いたいですから。でも、ポンポさんにその後あるお願いをするジーンには“どういうことだ!”って思いました」
平尾「ジーンは思ったよりもひどい。しかも、OKとなったらヘラっと笑っていますから。ものを作ることしか考えていないんでしょうね」
松尾「“また作れる!”ってね」平尾「狂気のニヤリですよね。」
── 本作の見どころをお願いいたします!
松尾「監督のオーダーに基づき、デザインにはかなりこだわっています。劇中に登場する映画ポスター、映画会社のロゴ、スタジオや撮影セットなど、映画ファンなら“おっ!”と感じるものがたくさん登場します。洋画好きなスクリーン読者の方たちにも楽しんでいただけると思います!」
平尾「映画で使われる手法を全部入れるつもりですか? と言われるくらい考えつく限りの手法を詰め込みました。スコセッシ監督の手法や、僕の大好きなダニー・ボイル監督を彷彿とさせる、オマージュのようなものが散りばめられているので、そんなところにも注目してほしいです」
好きな映画は?
平尾『ヤングガン』(1988)。今思うと主人公のマイノリティ部分に共感したのかも?!
松尾『鉄男』(1989)。映像作りに携わる人間なら、この凄さ、影響されないわけがない!
アニメ作りに興味を持つきっかけになった作品は?
平尾『機動警察パトレイバー the Movie』(1989)。今まで観てきたアニメとは違う!と衝撃的でした。
松尾「機動戦士ガンダム」シリーズ。セリフを覚えるくらい観ていました。
『映画大好きポンポさん』
2021年6月4日全国公開
原作:杉谷庄吾【人間プラモ】(プロダクション・グッドブック)
『映画大好きポンポさん』(MFC ジーンピクシブシリーズ/ KADOKAWA刊)
監督・脚本:平尾隆之
キャラクターデザイン:足立慎吾
制作プロデューサー :松尾亮一郎 制作:CLAP
声の出演:清水尋也、小原好美、大谷凜香、加隈亜衣、大塚明夫
配給:角川ANIMATION
製作:映画大好きポンポさん製作委員会
©2020 杉谷庄吾【人間プラモ】/ KADOKAWA /映画大好きポンポさん製作委員会