次代のハリウッドを牽引する存在
『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』(2019)でオスカー候補となり、主演作『ミッドサマー』(2019)が熱烈な支持を集める。タイプの違う2作で一躍注目の存在となったフローレンス・ピュー。
小柄でがっちり体型のリアル女子感とオーラを増幅するハスキーボイスが魅力の25歳は、スカーレット・ヨハンソンの向こうを張る『ブラック・ウィドウ』の公開も控え、いまや次代のハリウッドを牽引する存在と目されている。
1996年にイギリスのオックスフォードでレストランオーナーの父とダンス教師の母の間に生まれた彼女の映画デビューは、厳格な女子校を舞台に思春期の不安定な心理を描いた『フォーリング 少女たちの目覚め』(2014)。
初めてのオーディションで掴んだのは、『ゲーム・オブ・スローンズ』のアリアことメイジー・ウィリアムズ演じる主人公の奔放な親友という役どころ。兄のセバスチャン・ピューが『GOT』にマーテル王子役で出演していることを考えると、この共演は感慨深い。
そのデビュー作でもセックスシーンも厭わない女優魂を見せていたフローレンスは、初主演映画『レディ・マクベス17歳の欲望』(2016)で大きな飛躍を遂げる。抑圧された生活の中で使用人との情事に溺れ、欲望に従う怪物へと変貌していく若妻キャサリンを演じて、目をみはらせたのだ。
その才能を業界が放っておくはずがなく、2018年には出演作が続々と登場することに。それも、クリス・パイン演じるロバート1世の毅然とした妻を演じた『アウトロー・キング スコットランドの英雄』(2018)、リーアム・ニーソン主演作『トレイン・ミッション』(2018)、コーデリアを演じたテレビ映画『アンソニー・ホプキンスのリア王』と、ビッグネームとの共演で。
さらに、パク・チャヌク監督初のテレビドラマとなったジョン・ル・カレ原作のミニシリーズ『リトル・ドラマー・ガール 愛を演じるスパイ』の主人公チャーリーも高評価。これまた主演を務めた映画『呪われた死霊館』(2018)でも、『ミッドサマー』と同じく、たんなるホラー映画ではなく、家族の自死に囚われた主人公の極限の精神状態を体感させてくれた。
しかも、アクションもイケる高い身体能力は『ファイティング・ファミリー』(2019)で、プロレス技に挑戦したことで証明済み。ジャンルも役柄もオールラウンドなフローレンスが、ヒーローたちの苦悩にも焦点を当ててきたMCUでどんな飛躍を見せてくれるのか。期待は高まるばかり!
まずはここから!フローレンス・ピューの演技に慄く2作!
本作が注目を浴びるきっかけに!
『レディ・マクベス17歳の欲望』(2016)
舅の断末魔に平然と食事を続ける。キャサリンの冷酷さと狂気を淡々とした中に浮かび上がらせる才能に戦慄。ソファに座る彼女の表情だけで内面を物語る演技力はもちろん、それだけで画になる存在感にも圧倒される。
アカデミー助演女優賞にノミネート!
『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』(2019)
わがままな末っ子イメージが強い少女時代も、成長後のエイミーも、1人で演じられるのがそもそも驚異的。自分を客観視できる大人の女性となったエイミーに深みを与えて、女子の共感を呼ぶ存在にしてくれたことに拍手!
Photo by Charley Gallay/Getty Images for Netflix