憎めないあいつらみたいなところを楽しく作業できたのが、すごい良かったなと思うところです
──本作品へのオファーをいただいた時のお気持ちと、実際に収録を終えられてみてのお気持ちを聞かせてください。
竹内「やっぱり嬉しかったですし、僕としては声優を目指す前から作品を知っていて、原作やアニメにも触れていたので、そういう作品に出られるという喜びはすごくありました。なおかつ今回、“テニスギャング?”というクエスチョンが付いて、“ラップするぜ!”っていう、驚きもあって。だから、本当に楽しかったっていうのが素直な気持ちです。ラップも歌えたし、『テニプリ』の世界に出られたし、リョーマとのいろんな絡み、(ロサンゼルスのマフィア、エメラルドを演じた)朴璐美さんとの絡みとか、物語の中でいろいろ掛け合うことができたので、“楽しかったな、また演じたいな”と思うようになりました」
武内「歴史ある作品の中で初の3DCGアニメーションですし、様々な人に『テニプリ』の世界を改めて楽しんでもらう機会に関われたのが、僕はすごく嬉しかったです。個人的には僕の上司役の(杉田)智和さんだったりとか、今でもそうですけど、駆け出しの頃、すごく良くしていただいた先輩の下っ端をやれたこともすごく嬉しかったです。あと、良太さんと、お仕事でご一緒することはあっても、コンビで、しかも兄弟役で一緒にやれたことも、個人的に本当すごく嬉しかったことで。2人の声とか持っている雰囲気で共通する部分がありつつも、でもそれぞれ違う個性、特徴があって、それが台詞もそうですし、ラップという音楽の中でも表現できたことが、すごくありがたい機会でした」
──武内さんと竹内さん、ダブル“タケウチ”として、双子の兄弟を演じられたというのはいかがでしたか?
竹内「ダブル“タケウチ”っていうのも、やっぱり嬉しかったです。低音とか、自分に親しい声質の人と一緒にタッグを組んで何かするっていうことがほとんどなかったので。どっちかっていうとライバル関係というか、一つの役に対して、僕たちがその役をオーディションとかからやり合う。そういう形が多かったのに、今回は双子としてどっちもどっち、おいしいところをとれるって思うと、自分の中で“すごく楽しくなりそうだな”っていう予感と、“どういう結果になるんだろう”っていうワクワク感が結構ありました」
武内「僕は本当に嬉しかったです。この現場でご一緒する前も良くしていただいてましたし。同じ低音で、“タケウチ”という共通点があるだけでもちょっとご縁を感じるのに、そこに加えてさらに兄弟役っていうのをやれたところで、率直に楽しいなと思いましたし。いい意味で2人揃って低音ボイスの魅力を世の中に届けられたらな、なんていうのもちょっと考えたりしてて。実際、収録は、良太さんと2人でやる時は、何となくあうんの呼吸感を大切にしつつも、おのおのの台詞の時は結構おのおのの魅力を出していく。でも細かいリアクションとか、特に僕らだとアクションシーンとか、結構、肉体派担当のキャラクターだったので、そういうところの2人の息の合ったグダグダ感というか。2人とも息は合ってるんだけど、その息の合い方が上手く絡み合わない……」
竹内「双子なのにね」
武内「“あっちに行け!”“どっち?”みたいな。どっちに行くか迷うところは息が合う。そこじゃないんだよなぁ、みたいな(笑)」
竹内「あれ、楽しかった」
武内「そういう風に、憎めないあいつらみたいなところを楽しく作業できたのが、すごい良かったなと思うところです」
リョーマさん、タイムスリップしてまたこっちに来てほしい。またやろうぜ!
──本作でブーとフーは、リョーマ(皆川純子)、ウルフ(杉田智和)とラップの楽曲『RAP FESTIVAL』披露されています。お二人はキャラソンで歌われることもありますが、今回この劇中歌を歌う時に、どういうお気持ちで取り組まれたかを教えてください。
竹内「ウルフ、フー、ブーのラップは結構ダイレクトなディスり方が多くて、言葉選びも本当に端的でわかりやすいフレーズだったので、そういうところをダイナミックに歌うことができればいいなと思いながら、やらせていただきました。ワンシーンの中での言葉も短い分、どうやって印象付けられるのかなって思いながら、今回は臨ませていただいたのが大きいのかな。リョーマさんのラップがものすごく早口で、明瞭で、クールにディスってくるので、その対比ができるともっといいなって収録の時に思い、僕としては力強いラップのほうを意識しました。駿輔くんが先にブーの収録をしてて、次がフーの収録だったんです。だからブーのラップを聴きながらフーの収録ができたのも、僕にとってはすごく助かってて。“めっちゃ力強いじゃん、ブーの声。マジかー! よーし、じゃあ、俺は俊足のフーだから!”みたいな。そうやって考えながら楽しくラップできたのは良かったなって思います」
武内「『テニプリ』っていうと、キャラクターソングライブや、舞台のほうでもミュージカルだったりするので、そういうものも含めて“『テニプリ』の世界が好き”っていう方が結構いらっしゃると思うんです。だから、ゴリゴリのミュージカル映画ではないですが、ミュージカル、音楽っていうところをベースにしつつ、今回は年代問わずというか、お子さんが見ても楽しめるような内容になっているので、そういった意味では、いい意味でワルに憧れるマインドを引き出せたらなというところで、わかりやすくがなってみたり、ガツガツした感じを前面に出す作業をしていきました。あと、個人的には、杉田さんがラップするってことは、もう金輪際ないんじゃないかっていう」
竹内「ないの? すごく良かったのに」
武内「たぶん、ものすごく貴重。杉田さんがなぜラップをしたかっていうと、やっぱり『テニプリ』の世界だからっていうのと、ミュージカル映画として見ても完成度が高いようにしていきたいっていう想いを汲んでだったと思うんです。そういったところに上手く花を添えられるように、いい具合に下っ端感を出していければなと。盛り上げ役としてできたらなという風に考えながら作業しました」
──実際、ラップシーンは見どころの一つと思うんですけども、お二人から見て、その出来栄えとしてはどうですか。何点ぐらいあげられそうですか。
武内「でも、こうやって息が合ってるダンスってすっごく面白いんだよなぁ」
竹内「そうだよね。でも、思い返すと“もうちょっとやりたかったな……”っていう」
武内「たしかに」
竹内「“ここの韻の踏んでるところをもっと強調できたよな”とか。収録の時は100パーセント力を出すんですけど、改めて落ち着いて観た時に、“あれはもっとフーっぽくできる”って。そんな欲みたいなものがすごく出てきた記憶があります」
武内「『テニプリ』のパワーというか、画力もそうですし、キャラクター力もそうですし、表情作りとか、動きとかそういう作り方にすごくソウルを感じるというか。今回、初3DCGというところで、僕らも試行錯誤しながらやった中ではベストだったとは思うんですけれども。なので、また次、このような機会があった時は、もっとバージョンをアップしたものができるんじゃないかなって」
竹内「どんどんタイムスリップしてほしい。リョーマさん、タイムスリップしてまたこっちに来てほしい。またやろうぜ!って」
──ちなみに、お二人はヒップホップのどういうところに魅力を感じますか?
竹内「やっぱり歌詞かな。言葉の詰め込み方とか、共感する部分が多くて。よく聴いていた頃のヒップホップを聴くと、その時の自分の感情とリンクする歌詞がすごく多かった気がします。僕はリズムよりもまず歌詞が先行する派なので、歌詞が良ければどんどん沼にはまっていきますね」
武内「たしかにリリックが全てというか。バックのトラックももちろんですけど、リリックとアーティストのラップがいまいちだと全く成り立たないと思うので。でも、結局は音楽っていうところがヒップホップの面白いところで。ルーツ的にはストリートギャングの対立っていうところで、銃で血を流すんじゃなく音楽に変換して、その戦いを通して、共通の楽しいもので盛り上がる面白さというか。なので、そういった意味では、リリックの内容の濃さとか、韻とかもそうなんですけど、どんなにバカっぽいフレーズでも、ビートに乗るとすごくカッコよく聴こえる。そういうところがヒップホップの面白さかなという風に思います」
──そういう意味では、本作では歌詞もちゃんと聴いてほしい。
武内「そうですね。言葉はよく聴こえるように、良太さんもそうですし、智和さんもそこはすごく明瞭にやられていたので」
──最後に、本作を楽しみにされている方へメッセージをお願いします。
竹内「誰もなし得なかったような、究極のエンターテイメント作品になっていると思いますし、本当にこれから『リョーマ!』『テニプリ』を知る、観に行くっていうお客さまはぜひ、100パーセント、120パーセント楽しめる作品となっております。本当においしいとこ取りというか、歌もあり、ラップもあり、物語も深い。なので、すごく楽しみにしていただきたいですし、ここを起点にして、『テニスの王子様』『新テニスの王子様』っていう風に、その物語にどんどん興味を持っていただければなと思っております。ぜひ楽しんでいただければなと思っております」
武内「親子関係を描いているので、既存のファンの方は、リョーマのルーツを知っていくのもすごく面白いと思います。どういう過去があって、そこにリョーマが介入することによってどうなっていったのかみたいなところは、ぜひ既存のファンの方には楽しんでいただきたいですし、単純に親子の物語としてもすごく幅広い年代の方に楽しんでいただける内容になってるかと思いますので、そこにもぜひ注目していただいて、ぜひ劇場で。こんなご時世ですけども、足を運んで楽しんでいただけたらと思います」
(作品紹介)
全国大会決勝の死闘を制した3日後、越前リョーマはさらなる高みを目指して武者修行のために単身渡米する。しかし、LAに到着早々、家族旅行で来ていた同級生の竜崎桜乃が、ギャングに絡まれている場面に遭遇。彼女を助けようと放ったボールがきっかけで、リョーマと桜乃はタイムスリップしてしまう。
たどり着いたのは、リョーマの父・越前南次郎が引退に追い込まれた全米オープン決勝の数日前。父の引退の理由を知るため、リョーマたちは若き南次郎と行動を共にする。だがその時、桜乃が何者かに連れ去られてしまう。救出に向かうリョーマだったが、この事件は南次郎の引退に深く関わっていたのだった──。
シリーズ初のフル3DCGアニメ。原作漫画「テニスの王子様」と、連載中の続編「新テニスの王子様」の間の空白の3カ月に起きた、これまで明らかにされていなかったエピソードが、原作者である許斐剛の製作総指揮・プロデュースのもと、完全オリジナルストーリーで描かれる!
〈Decide〉〈Glory〉の2タイプで上映。
『リョーマ!The Prince of Tennis 新生劇場版テニスの王子様』
越前リョーマ(CV:皆川純子)
越前南次郎(CV:松山鷹志)
竜崎桜乃(CV:高橋美佳子)
エメラルド(CV:朴 璐美)
ウルフ(CV:杉田智和)
ブー(CV:武内駿輔)
フー(CV:竹内良太)
アダム・アンダーソン(CV:山路和弘)
クリス・バークマン(CV:奈良 徹)
ベイカー(CV:楠見尚己)
ウェズリー・ヴォーン(CV:伊藤健太郎)
<Decide>
手塚国光(CV:置鮎龍太郎)
幸村精市(CV:永井幸子)
<Glory>
跡部景吾(CV:諏訪部順一)
白石蔵ノ介(CV:細谷佳正)
原作・製作総指揮:許斐 剛
原作:許斐 剛
「テニスの王子様」(集英社 ジャンプコミックス刊)
「新テニスの王子様」(集英社「ジャンプSQ」連載)
監督:神志那弘志
脚本:秦 建日子
劇中歌全作詞作曲:許斐 剛
配給:ギャガ
9月3日(金)公開
©許斐剛久/集英社 ©新生劇場版テニスの王子様製作委員会