今度のヒュー・ジャックマンは"記憶潜入エージェント"!
人の記憶への〝潜入(レミニセンス)〞を描くSFサスペンス
気象変動により海面が上昇したことで、大半の人が水浸しの土地での生活を強いられている近未来。記憶を映像化する技術「レミニセンス」で、クライアントが見たいと望む思い出を再体験させるサービスを提供する男ニックと助手のワッツのもとに、謎の女性メイがアポ無しで訪れる。それをきっかけに、彼はメイとの恋に落ちる。が、メイは突然失踪し、ニックの心はかき乱され、彼女を探すために自らレミニセンスを繰り返すことに……。
『グレイテスト・ショーマン』(2017)での共演が記憶に新しいヒュー・ジャックマンとレベッカ・ファーガソン、それにタンディ・ニュートンなど豪華な面々が名を連ねた『レミニセンス』。ノーラン印(といっても、ジョナサン・ノーラン製作)がついているから、本作がSFアクションと思い込んでいる人は要注意。もちろんその要素はメインになっているものの、スリラー、ミステリー、ラブロマンス、人間ドラマとさまざまな要素を詰め込んだ作品になっている。
記憶をたどる謎解きや、戦争がもたらした心理的影響、魅力的なガジェットなどは、ノーランっぽさプラス、リサ・ジョイ監督の出世作『ウエストワールド』を彷彿とさせる。
もっとも特徴的なのは、ラブロマンスの要素だろう。ニックがメイとの恋に溺れたことがきっかけとなり、物語は思わぬ方向に転がり始める。いわば、この恋がなければ、物語は進行しないし、意外な結末にもつながらない。ここまでラブロマンスが大きな要因になるとは思っていない人が多いだろう。だからこそ、そこは覚悟して観てもらいたい。
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ジョナサン・ノーラン
本作の製作を務めるジョナサン・ノーランは『インセプション』(2010)『TENET テネット』(2020)などの天才監督クリストファー・ノーランの弟。『メメント』(2000)の原案でアカデミー賞脚本賞にノミネートされ、『ダークナイト』(2008)『インターステラー』(2014)などの脚本も手がけた“もう一人の天才”だ。
本作の監督リサ・ジョイは彼の妻で、ともに手がけた『ウエストワールド』(2016)も高い評価を受けている。
登場人物紹介
ニック(ヒュー・ジャックマン)
記憶潜入エージェント。人の記憶に潜入し、その記憶を360度の空間映像に再現することができる。ビジネスとして人々に過去の記憶を提供。
メイ(レベッカ・ファーガソン)
ニックのもとに新たな顧客として現れる歌手。失くした探し物のために「記憶潜入」を依頼するが、その謎めいた過去がニックを翻弄する。
ワッツ(タンディ・ニュートン)
※画像左
ニックとともに過去の記憶を蘇らせるサービスをビジネスとして営む。優しくクールで、ニックが誰より信頼する友人でもある。
インタビュー/リサ・ジョイ監督
カズオ・イシグロの小説や宮崎駿作品にインスパイアされました
リサ・ジョイ プロフィール
米ニュージャージー州出身。本作のプロデューサーを務める夫ジョナサン・ノーランとは公私のパートナーで、人気SFドラマシリーズ『ウエストワールド』のショーランナーもともに務める。本作で映画監督デビュー。
「この作品は私にとって初めての長編映画となりますが、テーマにしていることは、私が手掛けた『ウエストワールド』と似ています。それは“記憶”です。“もし、あのときの記憶があったら”と思うことはよくありますよね? でも、人間は今を生きることで精一杯だから、ハードディスクからメモリを取り出すように簡単には細かい記憶にアクセスできないものです。
ニックがやっているレミニセンスは、まさにそれ。彼はそれを人に施すのを仕事にしていて、他人のことには一切興味がなかったというのに、メイという女性を探すために、自分自身だけでなく周りの世界をも理解しようと記憶の旅に出ます。
近未来SFではあるものの、私の信念として“これはおかしい”と思うことは一切なくすこと。リアルを追求することにはこだわりました。そのため、セットや衣装、VFXの入念なチェックはもちろんですが、脳科学やテクノロジーのリサーチも大量にしましたね。
また、私がこれまで影響を受けた映画や文学にインスパイアされたシーンもいくつかあります。たとえば、カズオ・イシグロの小説や、宮崎駿の『千と千尋の神隠し』(2001)など、本作を観たら気づく人もいるんじゃないかな」
レミニセンス
2021年9月17日(金)公開
アメリカ/2021/1時間56分
配給:ワーナー・ブラザース映画
監督:リサ・ジョイ
出演:ヒュー・ジャックマン、レベッカ・ファーガソン、タンディ・ニュートン、ダニエル・ウー
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