ついに公開となった『シャン・チー/テン・リングスの伝説』。既にご覧になった方もこれから観る方も楽しめるような同作のトリビアを本誌でもおなじみ杉山すぴ豊さんにご紹介いただきました!(文・杉山すぴ豊/デジタル編集・スクリーン編集部)

トリビア1:実は『燃えよドラゴン』と同級生?

画像: トリビア1:実は『燃えよドラゴン』と同級生?

マーベル・コミックにおけるシャン・チーのデビューは1973年のThe Hands of Shang-Chi:Master of Kung Fu.“カンフー”というタイトルからもわかるとおり、当時アメリカでは香港のカンフー映画がブームでその流れをうけて生み出されました。なお、この年は偶然にもブルース・リーの『燃えよドラゴン』の全米公開年でもあります。

トリビア2:過去にも映画化の噂があった!

MCUが始まる前にアン・リー(『ハルク(03)』)のプロデュースで映画化の噂もありました。さらに1980年代に故スタン・リーはブルース・リーの息子ブランドン・リーでシャン・チーの映画化を考えていたそうです。

なお本作はMCUとして初めてエグゼクティブ・プロデューサーにスタン・リーの名前がクレジットされない作品です。

トリビア3:父親の設定もだいぶ違う!

1970年代、マーベル・コミックは20世紀はじめに書かれたスリラー小説に登場する“フー・マンチュー”という東洋の怪人のコミック化権を手にいれました。そこでマーベルは「シャン・チーはフー・マンチューの子」という設定を作りました。しかしこの権利が消失したためフー・マンチューの名は次第に使われなくなりました。

画像: 映画ではシャン・チーの父はシュー・ウェンウーだが…

映画ではシャン・チーの父はシュー・ウェンウーだが…

トリビア4:テン・リングスの謎が次々と明らかに

MCU第一作『アイアンマン』でトニー・スタークを拉致しアイアンマン誕生のきっかけを作ったテロ組織もテン・リングス団。その存在は『アイアンマン2』『アントマン』でも示唆され『アイアンマン3』では偽のテン・リングス団の首領マンダリンが登場。本作ではこうした過去のテン・リングス団との関係についても言及されます。

トリビア5:スパイダーマンに武術を教えるかも?

コミックにおいてシャン・チーはスパイダーマンのマーシャルアーツ(東洋系格闘技)の師匠を務めており、またアベンジャーズのメンバーとしても活躍、ウルヴァリンとも手合わせしています。この先のマーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)においてもシャン・チーがこうしたヒーローたちと共演する可能性は高いでしょう。

トリビア6:クレットン監督はMCU俳優にゆかりあり

画像: 本作以前に複数のMCU俳優と組んできたクレットン監督(左)

本作以前に複数のMCU俳優と組んできたクレットン監督(左)

監督デスティン・ダニエル・クレットンは『黒い司法 0%からの奇跡』(2019)でブリー・ラーソン(キャプテン・マーベル)、マイケル・B・ジョーダン(キルモンガー)、ジェイミー・フォックス(次のスパイダーマン映画に登場)と3人のMCU俳優を起用。ブリー・ラーソンとは『ショート・ターム』でも組んでおり彼女と仲がいいようです。

トリビア7:実は2度目のMCU!名優ミシェル・ヨー

シャン・チーの伯母を演じるミシェル・ヨー。監督のデスティン・ダニエル・クレットンは彼女の大ファンだったそうです。ちなみにミシェル・ヨーは『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス』でスタローンがボスを演じたラヴェジャーズ団の一人としてカメオ出演しておりMCUに違う役で2度登場というのは珍しい。

トリビア8:もともとは腕輪ではなく指輪だった!

画像: コミックではトニーが作った腕輪を使用

コミックではトニーが作った腕輪を使用

コミックではアイアンマンにゆかりのあるマンダリンというヴィランが特殊の力を持つ10個の指輪をはめており、当初ファンはこの指輪にちなんで“テン・リングス”と思っていましたが、映画では神秘的な力を持つ10個の腕輪として描かれます。なおコミックのシャン・チーはトニー・スターク製の特殊な腕輪をはめています。

トリビア9:『ブラックパンサー』の成功が本作実現のカギに

MCUがシャン・チーの映画化にふみきった大きな理由は『ブラックパンサー』の成功。すなわち黒人ヒーローが主役ということでアフリカ系アメリカ人に支持されました。次はアジア系アメリカ人のヒーローをMCUに登場させたいということです。これはMCUがダイバーシティ(多様性)をとり入れることに積極的だからといえるでしょう。

トリビア10:カメオ出演が超豪華!

この映画には過去のMCUから2人のキャラが登場しています。一人はウォン。ドクター・ストレンジの盟友ですね。もう一人はアボミネーション。そう『インクレディブル・ハルク』(2008)のメイン・ヴィランで白いハルクともいうべき怪人。これらは本編の中で出てきますがエンド・クレジット途中のおまけシーンにはさらに……。

杉山すぴ豊 レビューコメント

1973 年マーベル・コミックに登場したシャン・チーはアメコミにカンフー・アクションの醍醐味を持ち込み、映画『シャン・チー/テン・リングスの伝説』はMCU にマーシャルアーツ映画の楽しさをもたらしました。そう、本作は今までのMCU になかった新鮮かつ斬新なアクション・エンターテインメント。

ただしこの辺は予告編でも十分想像がつくんですが、実は後半になって予想を超えた展開になる! MCU 初のファンタジーと言っても過言ではありません。まさかこう来るとは!しかし新味を出そうと奇をてらった作品ではありません。今までのMCU の重大なテーマの一つだった“父と子”の物語が本作にも受け継がれていきます。

果たしてシャン・チーの父は『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス』に出てきたスター・ロードの父エゴやガモーラたちの父サノスのように倒すべき相手なのか?それとも?この役を演じるトニー・レオンの存在感と抜群のかっこよさが本作を引き締めます。

そして、そして!これからのMCUにつながる大事な予兆が描かれる。この時僕らは何故この映画の題名が『シャン・チー』ではなく『テン・リングスの伝説』という言葉までセットなのか、その理由がよくわかります。シャン・チーそしてケイティは今まで登場したMCU ヒーローの中で、最も普通の人たちですが冒険が進むにつれドンドン愛すべきヒーローになっていきます。

『ブラック・ウィドウ』で007的スパイ活劇を味わせてくれると思ったら、今度はジャッキー・チェン(笑)。それでいてしっかりMCU であり、両作ともフェイズ4の立ち上がりに相応しいキックオフになっている。MCU 恐るべし(笑)! 新ヒーローたちの登場を心から祝いたくなる快作です!

シャン・チー/テン・リングスの伝説
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画像: 『シャン・チー/テン・リングスの伝説』トリビア集!【杉山すぴ豊解説】

父ウェンウー(トニー・レオン)に “最強”の存在として鍛えられたシャン・チー(シム・リウ)。しかし心優しい彼は自ら戦うことを禁じる。父のもとを去ってサンフランシスコでホテルマンとして暮らしていたが、悪に染まった父が伝説の腕輪《テン・リングス》を操り世界を脅かす時、遂に封印していた力を解き放ってしまう。

アメリカ/2021/2時間12分/ウォルト・ディズニー・ジャパン
監督:デスティン・ダニエル・クレットン
出演:シム・リウ、トニー・レオン、オークワフィナ、ミシェル・ヨー
©Marvel Studios 2021

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