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“実はこの10年で何度も日本に来たことがあって北海道から沖縄まで各地を旅したよ”
ヘンリー・ゴールディング プロフィール
1987年2月5日生まれ。父は英国人、母はマレーシア人。マレーシア出身で7歳で渡英するが、2008年マレーシアに帰国し、テレビタレントや司会、モデルとして活躍し始める。2018年に出演したアメリカ映画『クレイジー・リッチ!』でハンサムな御曹司を演じ、俳優デビューと同時にブレイク。その後も『シンプル・フェイバー』(2018)『ラスト・クリスマス』(2019)『ジェントルメン』(2019)などに出演している。
ここ数年、ハリウッドが意識する「多様性」によって、アジア系のスターたちの躍進が止まらない。その中で最も急速にスターダムにのし上がったのが、マレーシア出身のヘンリー・ゴールディングだろう。マレーシアではテレビタレント、モデルとして活躍していたが、演技経験はごくわずか。そんな彼が、メインキャストが全員アジア系の『クレイジー・リッチ!』(2018)で、ハリウッドデビューながら、主人公の恋人であるシンガポールの御曹司役にいきなり抜擢されて大ブレイク。
同作のヒット以降、『ラスト・クリスマス』(2019)『ジェントルメン』(2019)などで順調にキャリアを重ね、ブロックバスターの大作で主演を果たしたのが、『G .I .ジョー:漆黒のスネークアイズ』だ。
すでに2本が製作された『G .I .ジョー』だが、今回はそれらの続編ではなく、人気キャラのスネークアイズが主人公となる新たな作品。日本の秘密忍者組織「嵐あらしかげ影」に誘われた男が、黒いマスクで素顔を隠したスネークアイズへと変貌するストーリーが語られていく。
ハリウッド映画として、日本で本格的なロケを行ったことも大きな話題となった本作。日本で撮影が行われたのは、2020年の初め。その直後、世界は新型コロナウイルスのパンデミックに見舞われたので、ギリギリのタイミングという幸運だった。大役を果たし、日本でもさらに人気が過熱しそうなヘンリーに、作品への思いやアクションの特訓、日本ロケについて聞いた。
アクション監督の谷垣健治さんのトレーニングで体中悲鳴をあげることになったよ
── スネークアイズというキャラクターが完成するまでの物語ですが、あなた自身との共通点もあったりするのですか?
この主人公は、自分に自信が持てず、進むべき道が定かではない。ある意味、人生の岐路に立たされているんだ。そんな男が、なりたい自分を見つけ、みんなが知っているキャラクターのスネークアイズへと進化、成長をとげていく。そうした自己探求の旅路は、まさに僕が経験してきたことに通じるね。たくさんの失敗や過ちも犯し、そこから大切な教訓も学び、最終的には生まれ変わるわけで、この試行錯誤のドラマは、『G .I .ジョー』の新シリーズの始まりにぴったりなんじゃないかな。
── 映画のトーンも過去2作とは違うということですね。
ロベルト・シュヴェンケ監督は、日本の映画や演劇に関する知識が豊かで、まさに本作にうってつけだと思う。チャンバラを含めた格闘シーンや、黒澤明監督の映画を彷彿とさせるショットなど、全編にわたってリアリティが感じられる。日本映画を観尽くした監督だから、この世界観が完成したんだ。
── 『るろうに剣心』などの谷垣健治さんがアクション監督を務めています。どのような体験でしたか?
ケンジは最高! じつは『るろうに剣心』は最も好きな映画のひとつで、(アニメ版の)『明治剣客浪漫譚』までよく観ていた。でも、谷垣さんのことは知らなかったんだ。今回の映画に参加した際に、製作陣からアクション監督は『るろうに剣心』の人だと聞かされ、思わず『えーっ、本当に?』と激しく反応しちゃった(笑)。
カナダのバンクーバーで一ヶ月半くらい谷垣さんから厳しいトレーニングを受け、身体のあちこちが悲鳴をあげることになった。でも谷垣さんの日本刀を使った殺陣は唯一無二なので、過去のハリウッド映画とはまったく違う、古典的であり、スタイリッシュかつユニークな武術と格闘のスタイルが完成されたと、自信をもって言えるよ。
日本にはハリウッド進出していない優秀な俳優さんがたくさんいることを実感した
── バンクーバーでの撮影の後、日本ロケを行ったわけですが、どんな気持ちで日本に来ましたか?
フィルムメーカーなら誰もが日本で映画を撮ることに興味があるんじゃないかな。過去に一緒に仕事をした監督たちに『今度の映画は日本で撮影するんだ』と伝えたら、みんな一様に『オーマイゴッド!』と羨ましがってた(笑)。今回は観光庁も含め日本政府の全面的なサポートがあって、撮影が可能になった。本当にラッキーだったと思うな。
── 日本での撮影の雰囲気は、これまでの現場と違いましたか? 『G .I .ジョー:漆黒のスネークアイズには日本人俳優も多く出演しています。
とくに大きな驚きはなかったけれど、日本人スタッフの働きぶりには感心した。以前から日本の人たちは勤勉だと知っていたけど、衣装やケータリングなど、ハリウッド式の映画の現場からいろいろ学び、全力で取り組んでいる彼らの姿に、なんだか僕も誇らしい気分になったんだ。
共演者に関しては、日本にはハリウッドに進出していない優秀な俳優がいっぱいいると改めて実感した。平岳大さん、安部春香さんから多くのことを学んだし、何より石田えりさんに感銘を受けた。波乱万丈の人生を送りながら、誰にはばかることなく堂々と我が道を行く彼女の雰囲気を、最高にカッコいいと思ったんだ。バンクーバーの撮影では僕らが彼らを地元のレストランでもてなしたけれど、日本では逆に僕らが居酒屋やカラオケへ連れて行ってもらえた。まさにウィンウィンってやつだね(笑)
── 『るろうに剣心』の大ファンということですが、もともと日本、および日本文化には、どれくらい関心があったのですか?
じつは日本には、この10年の間に何度も来ている。僕の妻は以前、仕事の関係で5年間、日本で生活していたので、付き合い始めた当時、頻繁に日本を訪れていたんだ。彼女は麻布十番に住んでおり、会いに来るたびに行った店が、ピザで有名なSAVOY。(日本語で)サヴォイピザ、超オイシイ(笑)!
その後、テレビの旅番組でも日本に来る機会があり、北海道から東北地方、沖縄まで各地を旅して周った。だから日本は大好きな国になり、今回、映画の撮影で長期滞在できたことを心からうれしく思っているよ。
G.I.ジョー:漆黒のスネークアイズ
2021年10月22日(金)公開
監督:ロベルト・シュヴェンケ
出演:ヘンリー・ゴールディング、アンドリュー・小路、ウルスラ・コルベロ、サマラ・ウィーヴィング
配給:東和ピクチャーズ
機密部隊G.I.ジョーの活躍を描くアクション・シリーズの最新作。日本の闇組織からある男の命を救ったことから、少年のころ父親を殺した仇を探す男が、秘密忍者組織“嵐影”への入門を許されるが、その裏にはある陰謀が隠されていた……
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