「この作品との出会いで僕の俳優人生が大きく変わるかもしれない」
18年の時を経て『マトリックス』シリーズの新章『レザレクションズ』が誕生するなんて、感無量だ。そして公開を機に思い出すのは、2003年にロサンゼルスで行われた2作目『リローデット』&3作目『レボリューションズ』のプロモーション・インタビュー。2作同時に行われた撮影が終了したばかりのキアヌは、「この作品との出会いでボクの俳優人生が大きく変わるかもしれないな」とつぶやいたのだ。そして、その予感は、いまとなっては大当たり。このシリーズによって、まるで演じた人類の救世主ネオのように、稀有な〝資質〞が覚醒され、磨き抜かれ、究極のアクション・スターになったのだから。
1984年、カナダからロサンゼルスへ。中古のボルボに乗ってやって来た20歳のキアヌが初めて出演したハリウッド映画が『栄光のエンブレム』(1986)。それから下積みを経験し、いまやカルト人気を誇る『リバース・エッジ』(1987)に起用され、『ビルとテッドの大冒険』(1989)やリヴァー・フェニックス共演の『殺したいほどアイ・ラブ・ユー』(1990)でコメディの才能も発揮。撮影中に意気投合したリヴァーと「君がやるならボクもやる、君がやらないならボクもやらない」と約束を交わして出演したのが、インディーズの新鋭ガス・ヴァン・サント監督の『マイ・プライベート・アイダホ』(1991)で繊細な演技に注目が集まった。
最初にキアヌの美貌を際立たせ、女性ファンが急増したのは『ハートブルー』(1991)。サーファー強盗団を捕らえるためにビーチに潜入するエリート捜査官役。キビキビしたスーツ姿も、ワイルドなサーファーぶりも、とにかく美しい! 1991年、10月。この作品を携えて初来日した時の〝熱狂〞は、いまでも語り草。女性たちは、彗星のごとく現れた美貌の若手俳優にうっとりし、その初々しい佇まいとコメントぶりに母性本能を直撃され……。とにかく大騒ぎだったのだ。
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