トム・ホランド主演の『スパイダーマン』シリーズ最新作『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』が、2022年1月7日(金)より全国で公開される。同作のカギとなる要素「マルチバース」について専門家が解説!

全米公開前のワールドプレミアで「『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』はスパイダーマンへのラブレターだ」、「マーベル版スパイダーマン3部作の最高傑作!」、「涙が出てきた。観客の大歓声を聞いたのは『アベンジャーズ/エンドゲーム』ぶりだ」と絶賛の声が相次ぐ本作。

今回の物語は前作『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』の直後よりスタート。ミステリオの策略で自身がスパイダーマンであることをバラされたピーター(トム・ホランド)は、大切な人に危険が及ぶことを案じ、共にサノスと闘ったドクター・ストレンジ(ベネディクト・カンバーバッチ)に力を借りに行く。

(左から)ピーター・パーカー/スパイダーマン(トム・ホランド)、ドクター・ストレンジ(ベネディクト・カンバーバッチ)

“ピーターがスパイダーマン”という記憶を世界から消す為に、ドクター・ストレンジが危険な呪文を唱えた結果、ピーターたちのユニバースに、『スパイダーマン』(2002)に登場したグリーン・ゴブリン(ウィレム・デフォー)、『スパイダーマン2』(2004)に登場したドック・オク(アルフレッド・モリーナ)、『アメイジング・スパイダーマン2』(2014)に登場したエレクトロ(ジェイミー・フォックス)ら強敵たちが現れてしまう。そう、ついに「マルチバース」が本格始動するのだ。

画像: ドクター・オクトパス(アルフレッド・モリーナ)

ドクター・オクトパス(アルフレッド・モリーナ)

画像: エレクトロ(ジェイミー・フォックス)

エレクトロ(ジェイミー・フォックス)

画像: グリーン・ゴブリン(ウィレム・デフォー)

グリーン・ゴブリン(ウィレム・デフォー)

今回そんな「マルチバース」について、マルチバースを専門に研究されている野村泰紀教授とアメコミライターの杉山すぴ豊氏という「専門家」のお二人にコメントを基に理解を深めてみよう。

物語の鍵となる「マルチバース」とは?

『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』でキーとなるのが「マルチバース」だが、そもそもマルチバースとは一体なんなのか?カリフォルニア大学バークレー校でマルチバース理論を専門とする野村泰紀教授は「簡単に言うと、僕らが宇宙だと思っているもの以外に、違うユニバースがあるということ」と答えてくれた。

日本語では「多元宇宙論」、「パラレルワールド」、「並行世界」とも呼ばれており、宇宙は一つ(ユニ)ではなく複数(マルチ)の宇宙が存在すると仮定した理論のことを指す。

しかし、研究者の中でも一口にマルチバースと言っても、現存の歴史とは違う歴史を辿った「ヒストリーだけが違うユニバース」、また銀河もないし、電子も原子もなく、「素粒子の法則など根本からまったく違うユニバース」といったように、バリエーションがあるという。

宇宙が加速膨張して、現実にも「マルチバース」は誕生する!?

メジャーではないものの、マルチバースが提唱され始めたのは1970、80年代のこと。その始まりについて野村教授は、「まず、そこに至るまでに『宇宙が膨張している』という考えがあります。それがすごく膨張してしまうと、僕らとつながっていないくらい、すごく遠い領域というのができてしまう。そうすると、そこがここと一緒だっていう証拠はどこにあるんだということで、全然違う世界もあるんじゃないか、という考えが生まれてきました」と考えを明かす。

そしてその後、実際に宇宙が加速膨張していることが観測された。

「本来、物質の間にはたらく重力は引力なので、膨張はかならず減速するはずなんです。ところが、加速していることが観測されてしまった。つまり『宇宙は加速膨張している』ことが分かってしまった。それで、『なぜ?』と考えたときに、70~80年代のマルチバース理論を考えると腑に落ちるぞと」

こうして、それまではフィクションとしか捉えられていなかったマルチバース理論に少しずつ科学的根拠がつき、よりリアリティを持って描かれていくようになった。

<選択>しなければどちらの世界も崩壊する?専門家のストーリー予想

それでは、マルチバースを専門にする野村教授は本作のストーリーをどのように予想するのか?

予告編を観て予想してもらったところ、現存の歴史とは違う歴史を辿った「ヒストリーだけが違うユニバース」ではないかという回答があった。

「例えば、ピーターがスパイダーマンだとバレちゃっている世界。もう1つは、バレていない世界。そこにドクター・ストレンジが干渉して、バレていない世界を創ろうとする。でも、そうすると多分そっちは、バレた世界より悪いこともある。ピーターは行ったり来たりできるようになるんだけど、最後にはどちらかを選ばないと世界がグチャグチャになっちゃって、両方消えたり大変なことになる。そんな感じになるんじゃないかと思っています。きっと、基本的には(ピーターの正体が)「バレている/バレていない」のヒストリーだけが違う世界で、物理法則だったりそのほかのことは同じなんだと思います。でも本当にそれだけだったら、絶対にバレていない世界を選びますというだけで終わっちゃうはずですよね。ですので、おそらく映画的には、バレていない世界の方が都合の悪いこともあって、どっちかを選ぶ必要性が出てくる。選ばないと両方がなくなるんだ、などという設定になっていて、そこでドラマが起こるのではないかなと思いました」。

無限の可能性を生むマルチバース

今回、ドクター・ストレンジがマルチバースの扉を開いたことで、ピーターの運命は変わり、大きな事件を巻き起こしている。だが、マルチバースによって影響を受けたのは「スパイダーマン」シリーズだけではない。アメコミ系映画ライターの杉山すぴ豊氏は「さらにもっとすごいのが出てくるかもです」と明かす。

画像: 無限の可能性を生むマルチバース

「皆さんが期待している“俺たち”の人とか(笑)。大どんでん返しで、ワンダ姉さんが最後に出てきて、大変なことになっちゃうとかもあるかもしれない。『ドクター・ストレンジ・イン・マルチバース・オブ・マッドネス(原題)』に絶対つなげるんでしょうから、どうつながっていくんだろうなと思っています。マーベルは本当に、何をやってくるのか観てみるまで分からない……」と語るように全く予想できないのが「マルチバース」。今後マーベル作品においても無限の可能性があり、今後のMCU作品にも大きな影響を与えることは間違いないだろう。

予告編では、マルチバースの扉が開いたことによって、異なるユニバースのヴィランたちが同時に存在する様子が描かれる。それによって逆にこのユニバースの存在が危うくなってしまうとストレンジから知らされたピーターは<選択>を突き付けられている。

画像: 『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』予告3 1月7日(金)全国の映画館で公開!  #全ての運命が集結する ── youtu.be

『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』予告3 1月7日(金)全国の映画館で公開!  #全ての運命が集結する ──

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果たして、ピーターの正体が明かされていない世界になるのか、ヴィラン達をもとのユニバースに戻すことができるのか、そして、ピーターは今いるユニバースと愛する人達を守ることができるのか。今後のMCUにも多大な影響を与えるに違いない<選択>をぜひ見届けてほしい。

『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』
2022年1月7日(金)全国の映画館にて公開

監督:ジョン・ワッツ

出演:トム・ホランド、ゼンデイヤ、ベネディクト・カンバーバッチ、ジョン・ファヴロー、ジェイコブ・バタロン、マリサ・トメイ、アルフレッド・モリーナ、ウィレム・デフォー、ジェイミー・フォックス

原題:Spider-Man: No Way Home

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