『スパイダーマン』最新作で幕を開ける新たな年もスーパーヒーロー映画の勢いは止まりません。〝マルチバース〞が最重要キーワードとなる2022年のアメコミ界を杉山すぴ豊さんが徹底解説!(文・杉山すぴ豊/デジタル編集・スクリーン編集部)
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MCUもDCEUも「マルチバース」がテーマになるのが大きな特長

2022年はMCU( ※1)、DCEU(※2)、SSU(※3)含め沢山のアメコミ・ヒーロー映画が公開されます。コロナ禍で製作&公開が延びていた作品がドドーンとこの年に集中した感がありますね。

※1 マーベル・シネマティック・ユニバース。『アベンジャーズ』などマーベル・コミックを原作とした同一の世界観の実写作品群。
※2 DCエクステンデッド・ユニバース。ヘンリー・カヴィルのスーパーマン『マン・オブ・スティール』や『ジャスティス・リーグ』路線のDC映画。最近ワーナー、DCもこの名称を正式に使うようになったようです。
※3 ソニーズ・スパイダーマン・ユニバース。ソニー・ピクチャーズ系のスパイダーマン映画の総称。

大きな特長としてはMCUもDCEUもマルチバースをテーマにした映画が封切られることです。MCU『ドクター・ストレンジ』の続編、DCEUの『ザ・フラッシュ(原題)』、ソニーの『スパイダーマン:スパイダーバース』続編です。マルチバースは“たら・れば”(可能性)の数だけ様々な世界が存在し、パラレル・ワールド的にそれぞれの世界が存在するという考え方です。これは映画においては現状の映画の世界観と違う過去作もマルチバースの関係だったと説明することで過去の映画キャラをいまのシリーズに登場させることができます。だから『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』にトビー・マグワイア版やアンドリュー・ガーフィルード版のスパイダーマンのヴィランが登場するのはこのためです。

従ってエズラ・ミラー出演の『ザ・フラッシュ(原題)』においては、なんとマイケル・キートン版のバットマンが登場。本来エズラ・ミラー版のフラッシュの世界のバットマンはベン・アフレックですから。さらに噂として『スパイダーバース』続編には東映版スパイダーマンの巨大ロボ、レオパルドンが、『ドクター・ストレンジ』の続編については過去のX︲MEN映画の重要キャラが登場とも言われており、過去作のファンにとっても嬉しい限りです。

ヴィランを主人公にした作品も今後ますます増加していく

もう一つ注目はMCU『ブラックパンサー:ワカンダ・フォーエバー(原題)』とDCEU『アクアマン2(仮題)』。『ブラックパンサー』の方には、マーベルの海のヒーロー、ネイモア/サブマリナーがフィーチャーされるとの噂があります。つまりマーベルとDCの海のヒーロー(しかもどっちもアトランティスの王)の姿をスクリーンで観ることが出来るかも!

さて『ヴェノム』2作や『ジョーカー』(2019)『ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結』(2021)等の成功により、ヒーローではなくヴィランを主人公にした映画も増えていきそうです。その代表格がSSUの『モービウス』、DCEUの『ブラックアダム(原題)』。

前者は元々スパイダーマンのコミックに登場するヴィランで吸血怪人、ジャレッド・レトが演じます。後者はシャザムのライバルとも言うべき強力な魔人、ドウェイン・ジョンソンが扮します。こうしたダークな魅力を持つ超人たちの活躍も楽しみですね。

ファン待望という意味ではMCUの『ソー:ラブ・アンド・サンダー(原題)』、DCの『THE BATMAN -ザ・バットマン-』でしょうか? 前者はとにかくクリス・ヘムズワースのソーが帰ってきます! ナタリー・ポートマンが女性版ソーを演じたり、ガーディアンズ・オブ・ギャラクシーの面々も登場したり、なんとクリスチャン・ベールがヴィランで登場したりと注目すべき点がいっぱいです。アイアンマン=ロバート・ダウニー・Jr .、キャプテン・アメリカ=クリス・エヴァンスが事実上卒業しているだけにクリス・ヘムズワースのソー復活は嬉しい。

2022年は“バットマン”が何人も見られるかも!?

一方『THE BATMAN』。これは基本DCEU、つまりベン・アフレックのバットマンとは違う世界観なのでDCEUではなくDC映画です。(もっともこれもマルチバース設定に組みこめば広義の意味でDCEUですが)。バットマンがまだ駆け出しのヒーローで悪人に対して容赦のない危険人物として描く、という異色作です。ロバート・パティンソンがベン・アフレックから一転して細身のバットマンを演じます。

予告を観る限り、ヒーロー物というより『セブン』(1995)とかの雰囲気ですね。なおもし『ザ・フラッシュ』にベン・アフレックも登場すれば、2022年は3人のバットマンをスクリーンで観ることが出来るし、さらに『ソー』でクリスチャン・ベールも映画に出てきますから、バットマン映画ファンにとっては最高にハッピーでしょう。

この『THE BATMAN』は配信(米ではHBO Max)でスピンオフ・ドラマが予定されています。一足先に『ザ・スーサイド・スクワッド』のピースメイカー(ジョン・シナ)のドラマも配信開始。MCUはすでにディズニープラスでマーベル・ドラマを展開しています。映画と配信ドラマの融合も来年はますます進むかもしれませんね。

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