ーー今回の坊主頭に髭というスタイルもマッツさんが『やりたい』とおっしゃった?
「そうです(笑)。ただ、マークスは特殊部隊に属している軍人なので、坊主頭に髭というのは間違いではなかったですね。マッツの坊主頭といえばニコラス・ウィンディング・レフン監督の『プッシャー』が印象に残っているけど、マークスはそれに負けないインパクトがあります(笑)」
ーー(笑)。これまでお仕事されてきた中で、マッツさんのファンの方が驚くような意外なエピソードがあれば教えて頂けますか。
「彼は子供かと思うぐらい負けん気なところがあって、例えばゲームなんかは勝つまでやらないと気が済まないんです(笑)。あと撮影中に『あの柵は高すぎるから走って飛び越えるなんて無理だよね』なんて話を振ると、絶対に走って行ってチャレンジしたり(笑)。そういう彼の一面はファンのみなさんもあまり知らないんじゃないかな」
ーー監督がこれまでに影響を受けた人物や作品を教えていただけますか。
「僕は映画オタクだからこれまで本当にたくさんの映画を観ていて、中でも古いハリウッド映画を観ることが多かったかな。ビリー・ワイルダー監督の作品とか。あとデヴィッド・リーン監督の『アラビアのロレンス』を初めて観た時の衝撃も覚えています。好きな映画監督はたくさんいて、黒澤明やスタンリー・キューブリック、コーエン兄弟の映画はかなり観ています。僕の作品のイメージからユーモアのセンスがあるものを好きだと思われがちなのですが、実は壮大な作品も好きでよく観るんですよ」
ーー監督の映画館での思い出を教えていただけますか。
「すごく恥ずかしい思い出だけど大丈夫ですか?(笑)」
ーー是非お願いします!
「むかしパリのシャンゼリゼ通りにある映画館にコーエン兄弟の『未来は今』を観に行ったことがあって、上映開始直前だったから場内に入った時はすでに真っ暗だったんです。それで空いている席に座ったんですけど、ちょっと違和感を感じて。そしたら僕の背中あたりから『すみません』と声がしたんです。振り返ったらお年を召した小柄の女性がいて、僕はその方の膝の上に座ってたんですよ(笑)。でも映画館ってそういうハプニングがあるからおもしろいですよね。あの時の女性には申し訳なかったけど(笑)」
アナス・トマス・イェンセン
Anders Thomas Jensen
1972年4月6日、デンマーク・フレズレクスヴェアク生まれ。監督を手掛けた短編が1997年から3年連続でアカデミー賞短編映画賞へノミネートされ、『Valgaften(原題)』(98)が第71回アカデミー賞短編映画賞に輝く。
2000年に『ブレイカウェイ』で長編監督デビュー。その後、『フレッシュ・デリ』(03)、『アダムズ・アップル』(05)、『メン&チキン』(15)で監督・脚本を務めた。本作が長編監督5作目となる。
『ライダーズ・オブ・ジャスティス』
2022年1月21日(金) より 新宿武蔵野館ほか全国ロードショー
監督・脚本:アナス・トマス・イェンセン
出演:マッツ・ミケルセン、ニコライ・リー・コース、アンドレア・ハイク・ガデベルグ、ラース・ブリグマン、ニコラス・ブロ、グスタフ・リンド、ローラン・ムラ
配給:クロックワークス
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