『ダークナイト』トリロジー以来のバットマン単独映画となる『THE BATMAN-ザ・バットマン-』が3⽉11⽇(⾦)に公開される。今回、監督を務めたマット・リーヴスが本作へ影響を与えたコミックや設定について明かした。
“DC=探偵物語(ディテクィブ・コミックス)”への原点回帰
『THE BATMAN-ザ・バットマン-』は、サスペンスの要素が⾊濃く、知能犯リドラーが社会に蔓延した<嘘>を暴いていくところから物語が始まる。そして、最後の標的は、若き⽇の⻘年ブルース。彼の<嘘>が暴かれ、本性が狂気に変貌していく・・・。
アメコミの中でマーベルと双璧をなし、絶⼤な⼈気を誇るDCコミックス。約80年の歴史のなかで、スーパーマンやワンダーウーマンといった数々のスーパーヒーローが誕⽣したが、「Detective Comics(探偵漫画)」の略称であることからもわかるとおり、もともとは タブロイド紙に連載される犯罪モノとして誕⽣したという。
そして1939年、ゴッサム・シティの⾃警団、“犯罪者を憎む孤⾼のヒーロー=バットマン”という今までにない斬新な設定がたちまち読者を熱狂させ、誰もが知るDCコミックスを背負って⽴つ⼈気キャラクターとなった。今作で監督・脚本を担当したマット・リーヴスは、そうしたDCコミックス初期の設定を取り⼊れることを魅⼒的に感じたようだ。
「“バットマン=探偵”という原点に回帰し、DCのスーパーヒーローが持つファンタジー要素を取り除き、地に⾜の着いた現実的なひとりの⼈間として描くというアイディアは、とても興味深く感じた。原作者のボブ・ケーンとビル・フィンガーが創り上げたストーリーが持つ、ノワールの感性、物語の暗さにはなにか惹きつけられるものがあったんだ。」
「コミックスのトーンに正⾯から向き合って、リアリティを追求した。バットマンの本当のスーパーパワーとは、彼の強迫観念的な気⼒や忍耐⼒なんだ。彼は裕福な家庭で⽣まれ育ち、莫⼤な資⾦⼒がある。でもそれ以外の⼒はなく彼はとてもリアルな⼈間だ。この作品の暗さやリアリティは、原点の犯罪スリラーや探偵物語から来ていて、DC映画の中でも最もダークな領域に踏み込めたと思う。」
また、ストーリーの構想で影響を受けた作品としては、初期のストーリーのほか、「バットマン︓エゴ」「バットマン︓イヤーワン」「バットマン︓イヤーツー」などのタイトルを挙げているが、なかでも重要になったのは、 「バットマン︓ロング・ハロウィーン」 だったことも明かしている。
「主⼈公が連続殺⼈事件を解決しようとするあまり、事件に感情的に深く⼊りこんでしまうという古典的なノワールの物語として素晴らしいバージョンだと思ったんだ。」
「バットマンが犯罪を解決する探偵として描かれていたのは、ゴッサムがとても腐敗した街であることを表現することが⽬的だった。そこから、ブルースが直⾯する事件の犯⼈がサイコキラーのリドラーであるという新しい解釈で描くアイディアを思いついた。リドラーは、“社会の柱”と呼ばれるようなエリートをターゲットにする連続殺⼈犯で、犯⾏現場にバットマンに向けて謎を残し、エリートたちの隠された真実を暴いていく。ブルースが事件を追い解決する過程は、ゴッサムの腐敗の歴史を明らかにすることにつながる。しかも、リドラーが残す暗号はブルース個⼈に向けられたものだから、それはとてもパーソナルで、彼の核が揺さぶられることになる。謎を解こうと事件をおいかけるうちに、なにかとてもエモーショナルなところに⾏き着くんだ。」
⻘年ブルース=バットマン役のロバート・パティンソンも、「(バットマンは)過去ほとんどの映画で、明確なヒーローとして描かれてきた。でも彼は内⾯に⽭盾を抱えているんだ。この映画は、そういったコミックスのトーンをとてもうまく捉えているところが新しいと思う。」とコメントしている。
社会全体に蔓延する閉塞感や声⾼に叫ばれる真実の⾏⽅を追い求める姿が、DCの原点でありながらも、2022年の現代だからこそ突き刺さる。歴史を塗り替える、狂気と感情が爆発する謎解きサスペンス・アクションに期待が⾼まる。
『THE BATMAN-ザ・バットマン-』
2022年3⽉11⽇(⾦)全国公開
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