いま、“父と娘”の物語を描く作品が続々公開とされている。人が生まれていちばん最初の関係、家族。その繋がりには、他人には決してわからない、それぞれの事情や葛藤、思いがある。世界が認める実力派俳優たちの競演に胸を打たれる話題作をピックアップしてご紹介しよう。

『選ばなかったみち』(2月25日(金)公開)

画像1: 『選ばなかったみち』(2月25日(金)公開)

ニューヨークのアパートにひとりで暮らす父レオ(ハビエル・バルデム)を娘モリー(エル・ファニング)が病院へ連れていくために彼を訪ねるある朝から始まる24時間。

ひとりでは生活もままならないレオは、幻想として見ている自身がかつて選ばなかった人生とニューヨークでの現実が混然一体となり、どこか混乱しているよう。一方、記者として忙しい日々を送るモリーは、この日、大事なプレゼンに参加することになっているが、レオが行く先々で面倒を起こし予定通りにいかず、思わず苛立ちを募らせる。それでも父に対して強い愛情を持ち寄り添うことを諦めない、どこか陽気さと強い信念を感じさせるキャラクターだ。

画像2: 『選ばなかったみち』(2月25日(金)公開)

バルデムは「ある意味、これは父と娘のラブストーリーでもあります。父は娘には捉えることの出来ない世界を彷徨っていますが、次第に娘は彼が見ている世界を理解し、どう付き合っていけばいいのか知るようになるのです」と、レオとモリーの関係性を語っている。

ファニングは本作での演技について「モリーとレオの関係はかけがえのない繊細なものだからこそ、ハビエルと私は、自分たちのシーンに関して前もってそれほどたくさん話すことを望みませんでした。普段やるほどのリハーサルもしてないんです」と明かしている。

同じ場所にいながら全く異なる光景を見ているふたりが、長い1日を経て辿り着くのはどんな光景なのか。ぜひ劇場で確かめてみてほしい。

『選ばなかったみち』
2月25日(金)ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国公開

監督・脚本:サリー・ポッター
出演:ハビエル・バルデム、エル・ファニング、ローラ・リニー、サルマ・ハエック
配給:ショウゲート

©BRITISH BROADCASTING CORPORATION AND THE BRITISH FILM INSTITUTE AND AP (MOLLY)LTD. 2020

『ドリームプラン』(2月23日(水・祝)全国公開)

画像: 『ドリームプラン』(2月23日(水・祝)全国公開)

アカデミー賞6部門(作品賞、脚本賞、主演男優賞(ウィル・スミス)、助演女優賞賞(アーンジャニュー・エリス)、歌曲賞(ビヨンセ)、編集賞)でノミネートされた話題作。

世界最強のテニスプレイヤー、ビーナス&セリーナ・ウィリアムズ姉妹を世界チャンピオンに育て上げた実父リチャードにまつわる実話を基に描く。リチャードはふたりが生まれる前に、優勝したテニス選手が4万ドルの小切手を受け取る姿をTVで見て、「娘を最高のテニスプレイヤーにしよう!」と決意。テニス未経験ながらその教育法を独学で研究し、ふたりを世界チャンピオンにする78ページの計画書<ドリームプラン>を作成。既存の発想にとらわれない手段と「子を守る」強い意志で、ビーナスとセリーナを導いていく。

ウィル・スミスはそんな破天荒なリチャードを演じるにあたり「僕の実娘ウィローとのつながりが役づくりのきっかけになったんだ」と自身の娘との関係性から、劇中のビーナスやセリーナとの距離を掴んだことを明かしている。

娘たちを信じる父。父を信じる家族。「信じる」ことの大切さに胸が熱くなる一本だ。

『ドリームプラン』
2022年2月23日(水・祝)より全国ロードショー

監督:レイナルド・マーカス・グリーン
出演:ウィル・スミス、アーンジャニュー・エリス、サナイヤ・シドニー、デミ・シングルトン、トニー・ゴールドウィン、ジョン・バーンサル
配給:ワーナー・ブラザース映画

©2021 Warner Bros. Entertainment Inc. All Rights Reserved 

『コーダ あいのうた』 TOHOシネマズ日比谷ほか全国公開中

画像: 『コーダ あいのうた』 TOHOシネマズ日比谷ほか全国公開中

フランス映画「エール!」(2014)のリメイク作。タイトルでもある「CODA」とは“ Child of Deaf Adults の略語で、 ろうあの親を持つ子供 という意味。サンダンス映画祭で史上最多の4冠に輝き、第94回アカデミー賞では作品賞、脚色賞(シアン・へダー)、助演男優賞 (トロイ・コッツァー)の3部門にノミネートされた話題作だ。

4人家族の中で唯一の健聴者であるルビー(エミリア・ジョーンズ)は、幼い頃から家族のために“通訳”となり、家業の手伝いも欠かさない。そんなある日、入部した合唱クラブの顧問がルビーの歌の才能に気づき、都会の名門音楽大学の受験を勧めると、顧問の先生がルビーの歌の才能に気づき、都会の名門音楽大学を受験するよう強く勧める。だが、ルビーの歌声が聞こえない両親は娘の才能を信じられず、家業の方が大事だと猛反対。家族と夢の間で揺れるルビー。しかし、思いがけない方法で娘の才能に父フランク(トロイ・コッツァー)が気づき・・・・・・。

音楽好きならピンと来るかもしれないが、「CODA」という言葉には、前述の意味だけでなく楽曲の締めくくり部分を表す音楽記号の意味もある。一つの終わりを迎えて、新たな一歩を踏み出そうとする登場人物たち。その姿にきっと胸が熱くなるはずだ。

『コーダ あいのうた』
大ヒット公開中

監督:シアン・ヘダー
出演:エミリア・ジョーンズ、フェルディア・ウォルシュ=ピーロ、マーリー・マトリン 、 トロイ・コッツァー
配給:ギャガ
PG12

© 2020 VENDOME PICTURES LLC, PATHE FILMS

番外編:『gifted/ギフテッド』配信中

父と娘ではないが、心打たれる家族愛を描いた作品もご紹介しよう。

生まれてすぐに母親を亡くした7歳のメアリー(マッケナ・グレイス)は、独身の叔父フランク(クリス・エヴァンス)が親変わりとなりささやかながら幸せに暮らしていた。しかし、メアリーが数学のずば抜けた才能を持っていたことが明らかになり、その静かな生活が揺らぎ始める。フランクはメアリーに他の子どもと同じように育ってほしいと願っていたが、メアリーの祖母であるフランクの母が現れ、彼女に英才教育を施すため2人を引き離そうと画策。メアリーの養育権を巡って裁判となってしまう。

メアリーを演じるのは『ゴーストバスターズ/アフターライフ』でも話題沸騰中のマッケナ・グレイス。叔父フランクを演じるのは、『アベンジャーズ』クリス・エヴァンス。亡き姉の想いを受け継ぎぐ弟を好演している。『(500)日のサマー』のマーク・ウェブ監督らしい爽やかな色使いも印象的な一本。

『gifted/ギフテッド』

監督:マーク・ウェブ
出演:クリス・エヴァンス、マッケナ・グレイス、リンゼイ・ダンカン

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