今度のアカデミー賞でどんな記録が生まれそうなのか、ノミネートされた中で気になる候補作や候補者は? ここを抑えておくとさらにオスカーが楽しめるトリビアを揃えてみました!(文・米崎明宏/デジタル編集・スクリーン編集部)
カバー画像:『ウエスト・サイド・ストーリー』のアリアナ・デボース © 2022 20th Century Studios. All Rights Reserved.

トリビア1:Netflix作品が作品賞を初受賞か

画像: 『パワー・オブ・ザ・ドッグ』 Netflix映画『パワー・オブ・ザ・ドッグ』独占配信中

『パワー・オブ・ザ・ドッグ』

Netflix映画『パワー・オブ・ザ・ドッグ』独占配信中

作品賞の本命に挙げられている『パワー・オブ・ザ・ドッグ』だが、もし受賞すればNetflix作品なので、映画会社製作による劇場公開長編作品でなく動画配信系オリジナル作品として初の受賞となる。

近年は毎年のように『ROMA/ローマ』(2018)『アイリッシュマン』(2019)や昨年の『MANK /マンク』などが作品賞本命あるいは対抗などと噂されたが、いまだ受賞には至っておらず、今回実現すればまさに時代が変わったということに。オスカーも変革期が来ているので、いよいよその時がやってくるかもしれない。

トリビア2:カップル同時受賞なるか

キルステン・ダンストとジェシー・プレモンス

ハヴィエル・バルデムとペネロペ・クルス

今回の演技賞部門で目が付くのが夫婦・婚約者カップルの同時候補が2組いること。まず主演男優賞候補のハヴィエル・バルデム(『愛すべき夫妻の秘密』)と主演女優賞候補のペネロペ・クルス(『パラレル・マザー』原題)はどちらもすでに助演賞を受賞している夫婦。共に4回目の演技部門候補で、これはスペイン俳優最多という共通点も。

もう一組は『パワー・オブ・ザ・ドッグ』で共演したキルステン・ダンストとジェシー・プレモンスの婚約者カップル(すでに2児あり)で、それぞれ助演女優、助演男優部門に初ノミネート。映画の中では結婚する設定だが、2人同時受賞なるか注目。

トリビア3:ケネス・ブラナーが生み出した記録とは

画像: 『ベルファスト』演出中のケネス・ブラナー(左) © 2021 Focus Features, LLC.

『ベルファスト』演出中のケネス・ブラナー(左)

© 2021 Focus Features, LLC.

『ベルファスト』で作品賞と監督賞、脚本賞にノミネートされているケネス・ブラナーは異なる7つの部門で候補者になった史上初めての人になった。

これまでに彼は主演男優賞(『ヘンリー5世』)、助演男優賞(『マリリン 7日間の恋』)、脚色賞(『ハムレット』)、実写短編映画賞(1992年の『スワン・ソング』)にノミネートされた経歴があり、これだけ多岐の部門にわたって選ばれた人は他にいないという。ただしいずれでもまだ受賞経験がなく、今回いずれかの部門で初の受賞に輝くかチェックしておきたい。

トリビア4:スピルバーグ対カンピオン再び

画像: スティーヴン・スピルバーグ監督

スティーヴン・スピルバーグ監督

画像: ジェーン・カンピオン監督

ジェーン・カンピオン監督

『パワー・オブ・ザ・ドッグ』で監督賞候補になっているジェーン・カンピオンは女性監督として初めて2度目の候補に挙がった人物となったが、今回この部門で本命視されている。もし受賞すれば、『ハート・ロッカー』(2008)のキャスリン・ビグロー、昨年の『ノマドランド』のクロエ・ジャオに次ぎ3人目の女性監督受賞者になり、2年連続で女性が監督賞を受賞すれば史上初。

また今回カンピオン監督の対抗馬に『ウエスト・サイド・ストーリー』のスティーヴン・スピルバーグ監督が挙がっているが、28年前、カンピオンが『ピアノ・レッスン』で初候補になった時のライバルは『シンドラーのリスト』(1993)のスピルバーグだった。その時はスピルバーグが受賞したが、今度は反対の立場となるか?

トリビア5:6つの世代で候補になったスピルバーグ

さて、そのスピルバーグが今回の『ウエスト・サイド・ストーリー』での監督賞ノミネートで大きな記録を作った。彼は1970年代から2020年代まで六つのディケードでいずれも監督賞候補になるという偉業だ。

70年代は『未知との遭遇』(1977)で、80年代は『E.T.』(1982)などで、90年代は『シンドラーのリスト』と『プライベート・ライアン』(1998)で2度受賞、2000年代は『ミュンヘン』(2005)で、10年代は『リンカーン』(2012)でと、どの時代にも名作を生み出してきたハリウッドが誇る巨匠のこの記録は史上初という。

Photos by Getty Images

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