横浜流星 プロフィール
1996 年9月16日生まれ。神奈川県出身。2011年に俳優デビュー。『愛唄 −約束のナクヒト−』(2019)、『いなくなれ、群青』(2019)、『チア男子!!』(2019)の3作品で、第43回日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞。近年の出演作は『きみの瞳が問いかけている』(2020)、『あなたの番です 劇場版』(2021)、『嘘喰い』(2021)など。2022年は1月期ドラマ日曜劇場「DCU」、Netflix配信ドラマ「新聞記者」などに出演。今後は『アキラとあきら』(8月26日公開予定)、『線は、僕を描く』(10月21日公開予定)が控えている。
“僕にとっては監督の演出や言葉など、全てが幸せなことに感じられ、とても温かい現場でした”
── 本作のお話がきたときの心境からお聞かせいただけますか。
自粛期間中に、タイトルに惹かれて手にとったのがこの小説で、さらに帯に書かれた『愛ではない。けれどそばにいたい。』という文字を見て“どういう意味なんだろう”と思いながら読み始めたら一気に引き込まれていました。オファーをいただいたときはすごくうれしかったですし、李相日監督とはずっとご一緒してみたかったので『ぜひやらせてください』とお返事しました。
── 最初に原作を読まれたときは亮のことをどう思いましたか?
元誘拐犯の佐伯文の目線で読んだので、更紗の恋人である亮のことを“なんだこの男は!”と思いましたが(笑)、オファーをいただいてから亮目線で読んでみると、また全く違った印象を受けました。
── 亮という役をどのように捉えて演じられたのでしょうか。
亮の過去を知ると、“愛に飢えていて可哀想な人なんだ”ということがわかりますし、更紗と住んでいる部屋をよく見ると、亮のスペースがほとんどなくて更紗のための仕様になっていたりするので、本当は愛に溢れた人だと気付かされるんです。
更紗への思いが強すぎるが故に、彼女に対して絶対にやってはいけないことをやってしまうので、そこは苦しいけれどちゃんと理解して、なるべく亮の“人間らしさ”を表現できたらという思いで演じていました。
── 念願の李監督の現場はいかがでしたか?
厳しい面もある方ですが、だからこそ作品への愛が伝わってきましたし、とても温かい現場でした。僕にとっては監督の演出や言葉など、全てが幸せなことに感じられました。映画の撮影ではなかなか難しいと言われる順撮りを、李監督は今回実現してくださったので、役の感情を作りやすかったですし、俳優のことを第一に考えてくださる方だと思います。
基本的に監督は『こうしてほしい』という具体的な言葉ではなく、ちょっとしたヒントを与えて、そこから役者がどう演じるかを見るやり方をされていたので、自分のお芝居に対して“これは正解なのか?”と思うこともありましたが、とにかく監督を信じて、“亮として更紗を愛すこと”を大事にしながら演じていました。
── 最近おすすめの映画は何かありますか。
藤井道人監督からおすすめされて観た『SKIN/スキン』(2018)がおもしろかったです。実在する元人種差別主義者ブライオン・ワイドナーの半生を映画化したもので、かなりメッセージ性のある見応えタップリな作品でした。あと最近観た『ドント・ルック・アップ』(2021)もおもしろかったのでおすすめです。
── 昔ご覧になった映画で衝撃を受けた作品を教えていただけますか。
『ギルバート・グレイプ』(1993)で知的障がい者の役を演じたレオナルド・ディカプリオのお芝居には衝撃を受けました。ディカプリオは19歳のときにあの役を演じていたそうで、僕がこの映画を観たときもちょうど19歳だったので、この年齢であの役がやれるってすごいなと思ったのを覚えています。
そのあと彼が『太陽と月に背いて』(1995)や『タイタニック』(1997)など全く違う役を演じているのも興味深かったです。ユ・アインも『バーニング』(2018)や『♯生きている』(2020)、ドラマ『地獄が呼んでいる』(2021)など作品ごとに同じ人とは思えないほど顔つきや纏っている空気が変わるので、いつも刺激をもらっています。
── 今後はどんな役に挑戦したいですか?
人間臭い作品が好きなので、今後もそういったものに積極的に参加していきたいです。あと、今しかできない役をやっておきたい気持ちもあるので、バランスを考えつつ様々な作品に挑戦していけたらと思っています。
hair&make/永瀬多壱(VANITES)styling/伊藤省吾(sitor)
シャツ31,900円(税込)/コグノーメン(サカス ピーアール)パンツ42,900円(税込)/エトセンス(エトセンス オブ ホワイト ソース)
流浪の月
2022年5月13日(金)公開
日本/2022/1時間54分/ギャガ
監督・脚本:李相日
出演:広瀬すず 松坂桃李 横浜流星 多部未華子
©2022「流浪の月」製作委員会
原作は2020年本屋大賞を受賞した凪良ゆうの小説。世間を騒がせた小学女児誘拐監禁事件の元誘拐犯と被害女児が15年後に再会し、恋愛とも友情とも違う揺るぎない絆を紡ぐ物語を描く。元被害女児の家内更紗を広瀬すず、元誘拐犯の佐伯文を松坂桃李、事件から15年たった現在の更紗の恋人・中瀬亮を横浜流星、文に寄り添う看護師・谷あゆみを多部未華子、ほかに趣里、三浦貴大、内田也哉子、柄本明など豪華俳優陣が集結。
中瀬亮 (横浜流星)
誘拐監禁事件から15年たった現在の更紗の恋人。更紗を愛しながらも、彼女の過去を受け止めきれず、更紗の心が自分から離れているとわかった途端に自分を見失ってしまう。
※2022年4月27日(水)に公開した内容を5月2日(月)に一部修正しました。