90年代ヒップホップ東西抗争とは?
80年代後半に登場したヒップホップ・グループ“N.W.A”の人気沸騰ぶりが米西海岸のハードなヒップホップシーンを一変させた。やがて“N.W.A”を抜けたドクター・ドレーがシュグ・ナイトと組んで設立したのがデス・ロウ・レコードで、2PACらが所属し西海岸の覇王的存在になる。
それに対立するかのように東海岸にできたのがニューヨークのバッド・ボーイ・レコード。こちらにはノトーリアス・B.I.G.(ビギ―)などの強力アーティストが所属。両社は米東西にありながら、同様にヒット性を生み出すレーベルとしてライバルあるいは敵のような存在だった。1994年に2パックが射殺されそうになる事件が起きると対立が激化する。2パックは元友人のビギーに疑惑を抱き、“デス・ロウ”と“バッド・ボーイ”はことあるごとに非難しあい、ヒップホップ界史上最悪の抗争に発展してしまう。この経緯は2パックの人生を描いた映画『オール・アイズ・オン・ミー』(2017)に詳しい。
ジョニー・デップ勝訴のその後は?
SCREEN8月号にて前妻アンバー・ハードとの名誉棄損裁判に勝訴したところまでお伝えしたが、その後ジョニーにどんな変化があったかを追いかけてみよう。
まずジョニーからSNSで勝訴した心境を動画で公開。「私の最も大切な、忠実で揺るぎないすべてのサポーターに」とこれがファンのために贈られたものであると示して、「私たちはいつも一緒にいて、すべてを一緒に見てきた。私たちは一緒に同じ道を歩いた。あなたが気にかけてくれたから、私たちは一緒に正しいことをした。そして今、私たちはみんなで一緒に前進する」とメッセージを伝え、最後に感謝の言葉で結んだ。
一方ジョニーに向けてお祝いの言葉を贈る人も次々。友人ロバート・ダウニーJr.は裁判終了早々にビデオ電話で「やっと終わって良かった」とジョニーに労いの言葉をかけた。他にもSNSでジョニーの勝利を祝うセレブたちが続出。また判決の時、ジョニーはジェフ・ベックのコンサートにサプライズ出演していたようで、翌日そのベックがジョニーとコラボした新アルバム「18」の発売を発表。ジョニーの再起動はどうやら音楽活動からスタートするようで、この後、ジョニーが人気アーティストたちと組んだバンド〝ハリウッド・ヴァンパイアーズ〞が来年6月にヨーロッパツアーを行うこともオープンになっている。
では映画出演の方はどうなのか? いきなり噂になったのが、『パイレーツ・オブ・カリビアン』シリーズの最新作に破格のギャラで出演するというもの。しかしこれは眉唾だったようで、すぐに代理人が否定の見解を表明している。いまのところ(2022年6月末現在)ジョニーの新作は、判決前に決まっていたルイ15世を演じるフランス映画『Jeanne duBarry』までだ。ハリウッド復帰作の発表を待ちたい。
またいい話ばかりでもなく、ジョニーは別の件で訴えられてしまった。実は4年前に撮影した『L.A.コールドケース』の撮影中にスタッフとトラブルがあり、いまになってこのスタッフがジョニーを訴えると息まいているという。なぜアンバーとの裁判の判決直後なのか、その理由は不明だが、こちらも本当に裁判になるか注目せざるを得ない(後日、和解を見た模様)。
さらにジョニーは自身のインスタグラムで、彼のニセのSNSアカウントに気をつけるよう、呼びかけた。ジョニーは「僕は、この他に個人的なアカウントは持っていない。僕とチームが運営しているのはこれだけだ」として、次の4つのアカウントを掲載した(下記囲み参照)。ジョニーとアンバーの裁判騒動が注目を集めてから、ジョニーのなりすましは増えているそうだ。裁判終了後もまだ本当に心休まる時間は持てていないのかもしれない。
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L.A. コールドケース
2022年8月5日(金)公開
英=米/2018/1時間52分/キノフィルムズ
監督:ブラッド・ファーマン
出演:ジョニー・デップ、フォレスト・ウィテカー、トビー・ハス、マイケル・パレ
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