不可思議な“家族と愛”の物語を描く映画『この子は邪悪』(9月1日公開)で、主演を務める南沙良。ドラマ「ドラゴン桜」や「鎌倉殿の13人」など話題作への出演が続く南が本作で演じる主人公の窪花は、かつて一家で交通事故に遭い、心に深い傷を負っている。片岡翔監督が「鋭さと天才性に驚いた!」と大絶賛する南に、撮影の思い出や本作のキーワード“催眠”、“愛”、そして“幸せ”について語ってもらった。(取材・文/タナカシノブ 撮影/久保田司)

ーーー玉木宏さん演じる父・司朗の歪んだ愛をどのように感じましたか?

「ある意味純粋に感じました。純粋であるが故に歪んでしまった愛は切ないと思いました。玉木さんはとても優しい方で、撮影していないときは、役とはまるで違う雰囲気を纏っていらっしゃいました。真夏の撮影でとても暑かったのですが、“まったく暑くなさそうな顔しているね”と笑顔で話しかけてくださったりして。待ち時間はずっとそんな感じで、不穏な空気は一切なかったです。ほっこりとした他愛もない会話をしていました」

画像: “自分の中にあるものや似ている部分、理解できるところを役にのせて演じました”

ーーー顔に火傷を負った妹の月(ルナ)ちゃんは、マスクをつけています。最初に登場したときのインパクトはかなり強かったですが、撮影現場で見たときはいかがでしたか?

「私も最初はとても怖かったです。と同時に、頭によぎったのは、顔が見えない相手とのお芝居についてです。見えているのは目だけ。表情が見えない分、お芝居のきっかけや間の取り方は、普段とは違ったものになるのかなということでした。徐々に、月役の渡辺さくらちゃんが出てくるというのでしょうか。マスクを通してさくらちゃんの芝居を感じ取れるようになった頃には、かわいい妹にしか見えなくて、マスクの存在はすっかり忘れていました(笑)。でも、出来上がった映像を観たときには、“やっぱりインパクトがある!”と思いました」

ーーーインテリアもすごく気になる作品でした。

「ルナの部屋がすごく素敵で、お芝居しているときもときめいてしまいました。最初に部屋に入ったときに“すごく作り込まれている!”と感動しました。リビングは和室になっていて、そこにピアノが置いてあるという和と洋のミックスした感じがすごくいいなと思いました。独特の世界観が出ていて、個人的にとても好きな場所でした」

ーーー制作に向けて何度かタイトルが変わったと伺っています。最初は『ザ・ドールハウス・ファミリー』ついていたというだけあって、衣装などもドーリーな印象があります。

「普段の私は全然着ないテイストの洋服なのですが、本当に可愛らしくて素敵でした。フリルがたっぷりついていたり、ちょっと現実離れしている感じもあって、映画の世界観にピッタリでしたし、とても新鮮でした。袖の部分はふわっとしているドレスがすごく素敵だと思ったのですが、“私に似合うかな”という不安は正直ありました…」

ーーーとても可憐でしたし、お人形さんのようでとても似合っていました。

「ありがとうございます!」

ーーーそれぞれの幸せが描かれる物語です。南さん自身が幸せに感じることは?

「休みの日は大好きなアニメを思いっきり楽しんでいます。外出する用事がないときは、ほとんどずっとアニメを観て1日が終わります(笑)。コミケとかもよく行ってましたし、今でも時間が取れたら行きたいと思っています。アニメが絡むとアクティブにもなります!」

PROFILE
南沙良

2002年6月11日生まれ、東京都出身。14年からモデルとして活躍し、『幼な子われらに生まれ』(17)で女優デビュー。主な出演映画は、『志乃ちゃんは自分の名前が言えない』(17)、『居眠り磐音』(19)、『もみの家』(20)、『太陽は動かない』(20)、『女子高生に殺されたい』(22)。ドラマは「ドラゴン桜」(21)、「鎌倉殿の13人」(22)など。

作品情報

画像: 9/1公開『この子は邪悪』予告編 www.youtube.com

9/1公開『この子は邪悪』予告編

www.youtube.com

9月1日公開
この子は邪悪

STORY
心理療法室院長・窪司朗(玉木宏)の娘・花(南沙良)はかつて一家で交通事故に遭い、司朗は足に後遺症が残り、母は植物状態、妹は顔に重度の火傷を負った。事故により心に深い傷を抱えていた花のもとに、母の心神喪失の原因を探る高校生・四井純(大西流星)が訪れ、二人は次第に心を通わせていく。ある日突然、司朗が5年間の植物状態から目を覚ました。母(桜井ユキ)を連れ家に帰ってくるが、花は違和感を覚える。「この人、お母さんじゃないーー」。

出演:南沙良 大西流星(なにわ男子) 桜井ユキ 渡辺さくら 桜木梨奈 稲川実代子 二ノ宮隆太郎 玉木宏

監督・脚本:片岡翔

配給:ハピネットファントム・スタジオ

© 2022「この子は邪悪」製作委員会

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