アナ・デ・アルマス プロフィール
1988年4月30日、キューバ・ハバナ生まれ。ハバナの国立演劇学校に通い、『カリブの白い薔薇』(2006)で映画デビュー。2014年からロサンゼルスに拠点を移し、『ノック・ノック』(2015)などを経て、『ブレードランナー 2049』(2017)のヒロイン役でブレーク。『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』(2021)でボンド・ウーマンの一人に抜擢されるなどハリウッドで今最も売れっ子の一人に。今後『ジョン・ウィック』のスピンオフ映画『バレリーナ(原題)』に出演予定。
『ブロンド』は間違いなくアナのキャリアでひとつの頂点に
人気スターの階段を駆け上がっていく俳優には、2つのパターンがある。ファンが求める自分のイメージを忠実に守るため、得意な作品に多く挑むこと。もうひとつは、まったく違う役にチャレンジして、何でも演じられる実力を証明すること……。アナ・デ・アルマスの躍進を見ていると、その両パターンにチャレンジしているような気がする。
この両面へのチャレンジということで、映画の歴史を振り返れば、あるスターが重なる。マリリン・モンローだ。セクシーシンボルと称され、その路線の役が得意だったと思われがちだが、じつは演技を基礎から勉強し、その確かな実力を発揮できる役を模索していた。そのモンローの素顔に迫る新作『ブロンド』で、アナ・デ・アルマスが主演を務めることは必然だったのかもしれない。
モンローとして認められる前のノーマ・ジーンとしての葛藤、スターになっていくプロセスに、深いトラウマとの闘い、切ない恋の運命など、事実とフィクションを交えて展開されていく。演じるアナも、9ヶ月かけてマリリンの話し方を習得するなど渾身の思いで挑んでおり、実際に映像を観れば、マリリンがスクリーンに甦ったかのような〝激似〞の瞬間が何度も! ヴェネチア国際映画祭コンペティションに選出され、今後の賞レースに絡む可能性もある『ブロンド』は、間違いなくアナのキャリアでひとつの頂点になるはずだ。
一方で、アナ・デ・アルマスをみんなが大好きになったのが『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』(2021)のボンドガールで、その魅力を、さらにワンステップ進化させたのが『グレイマン』。「007」では短い登場シーンだったため、「もっと観たかった!」とフラストレーションがたまった人も多かった。『グレイマン』ではスナイパーとしてスゴ腕の能力を持つエージェントとして、ライアン・ゴズリング演じる主人公とともに全編にわたって大活躍。そのうっぷんを晴らしてくれる。「007」の小悪魔的なムードから、カリスマ性も放つ本格アクション女優へ変貌をとげた印象だ。主人公をサポートするのか、罠にはめようとしているのか、ミステリアスな面もアナは名演している。
バラエティに富んだ作品や役でその実力に磨きをかけている
そして公開が待たれていたのが、ベン・アフレックと共演した『底知れぬ愛の闇』。『危険な情事』(1987)などで知られるエイドリアン・ライン監督ならではの禁断のエロティック・サスペンス。アナが演じるのは夫と娘がいながら、次々と別の男性たちと関係をもつヒロイン。その裏で衝撃の事件が進行していくのだが、物語上ではアフレック演じる夫と同等の役割でありながら、明らかにアナのインパクトが強すぎ!
キューバ出身のアナは、母国で俳優のキャリアをスタートさせ、10代で出演した『カリブの白い薔薇』(2006)で大胆なヌードシーンにもこなして注目を集めた。その後、スペイン映画を経てハリウッドに進出してからも、キアヌ・リーヴスを誘惑する美女を演じた『ノック・ノック』(2015)など、セクシー系路線も目立った。『底知れぬ愛の闇』は、アナが自身の持ち味のひとつを、うまく利用した一作と言ってもよさそう。本作の共演をきっかけに一時、ベン・アフレックと恋人関係になったのは有名な話。
アクション系、セクシー系という得意ジャンルをこなしつつ、『ブレードランナー 2049』(2017)でのAI搭載の〝人間ではない〞ヒロインや、『ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密』(2019)の純粋そうで、じつはしたたかな面もある看護師など、きめ細やかな演技力が要求される役で、観ているこちらを知らず知らず引き込んでしまう。バラエティに富んだ作品や役で、アナ・デ・アルマスはその実力に磨きをかけているのだ。
今後も、『ボヘミアン・ラプソディ』(2018)などのデクスター・フレッチャー監督の新作で、クリス・エヴァンスと『グレイマン』に続いて共演を果たした、ロマンス色も濃厚のアドベンチャー『Ghosted』など話題作が続く。現在34歳。キュートな笑顔はそのままに、アナ・デ・アルマスの快進撃はしばらく止まりそうもない!
アナ・デ・アルマスの魅力満載! 注目の最近作3
マリリン・モンローを熱演
『ブロンド』
今もなお語り継がれる伝説的ハリウッド女優、マリリン・モンローの生涯をアナ・デ・アルマス主演で映画化。
ノーマ・ジーンとしての不安定な幼少期から、数多くの複雑な男性遍歴を経てスターの座へと駆け上がっていくまでを、事実とフィクションの境界線にとらわれることなく新たな視点で描く。ジョイス・キャロル・オーツのベストセラー小説を原作に、『ジャッキー・コーガン』(2012)のアンドリュー・ドミニクが監督・脚色を務めた。
Netflixにて2022年9月28日(水)より配信
主人公を援護する工作員に
『グレイマン』
世界的メガヒット作『アベンジャーズ/エンドゲーム』(2019)を手掛けた“ルッソ兄弟”ことジョー&アンソニー・ルッソが監督を務めるノンストップ・アクション。
グレイマンの異名を持つCIA随一の優秀な雇われ工作員が、組織の超重要機密を知ってしまったことでCIAから命を狙われることに。ライアン・ゴズリングが主演を務め、クリス・エヴァンスが主人公を追う元CIAの工作員役。アナ・デ・アルマスは主人公を援護する工作員を演じる。
Netflixにて配信中
ベン・アフレックと夫婦役で共演
『底知れぬ愛の闇』
『太陽がいっぱい』の文豪パトリシア・ハイスミスの同タイトルの小説を映画化したエロティック・スリラー。裕福なニューオーリンズに住んでいる夫婦の結婚生活が恨みや嫉妬によって崩壊し、お互いの駆け引きや心理戦が命がけのゲームと化していく。ベン・アフレックとアナ・デ・アルマスが主人公夫婦を演じる。監督を務めたのは『運命の女』(2002)『危険な情事』(1987)などで知られ、本作が20年ぶりの監督作となるエイドリアン・ライン。
Prime Videoにて配信中
アナ・デ・アルマス コメント
「私が『底知れぬ愛の闇』で演じたメリンダは、ちょっと表現しにくいんだけど、裏表がある人。一方では良い母親で、精一杯生きようとする女性だけれど、もう一方では結婚生活に不満を持ち、理解されず、怒っている。彼女は自分が期待していたような人生を送っておらず、それを変えるためなら何でもするような人。私自身とは全く異なるキャラクターだから、俳優としてとても魅力的な挑戦だった」