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“初めてブラックアダムに息を吹き込む存在になれるのはとても名誉なこと”
ハリウッド最強の男ことドウェイン・ジョンソンがついにDCユニバースデビューを飾った。彼が選んだのは、誰もが知るポピュラーなキャラクターではなく、マニア向けとも言っていい“ブラックアダム”。その名の通り、スーパーヒーローでありつつブラックな部分もあわせもつ特異なキャラクターだ。
映画完成までには長い時間を費やした本作をずっと支え続けたきたジョンソン。その熱い想いを語って貰った。
ドウェイン・ジョンソン プロフィール
1972年5月2日、アメリカ・カリフォルニア州生まれ。プロレスラーの父を持ち、自身もプロレスラー“ザ・ロック”として絶大な人気を獲得。2001年に『ハムナプトラ2/黄金のピラミッド』で映画俳優デビュー、そのスピンオフ『スコーピオン・キング』で映画初主演を飾った。2019年から2年連続で“世界で最も稼ぐ俳優”に。近年の主な映画出演作は『レッド・ノーティス』(2021)、『DCがんばれ!スーパーペット』(2022)など。
── 本編を完成させるまで、かなりの時間がかかっています。なぜ、そんなに時間を要したのでしょう。
最初に映画化の話が浮上したのは2006年くらいだったと記憶している。もう15年以上もまえだよ(笑)。でも、そう簡単にことは進まなかった。それにはいろんな事情があるが、もっとも大きいのはやはりブラックアダムというキャラクターの知名度が、そう高くはなかったということだろう。
私にとっては子どものころから憧れの存在だったんだけど、一般的に見るとスーパーヒーローの王道的キャラクターでもなかったし、彼を演じたがっている私の立ち位置も、いまほどはっきりはしていなかった。
そうやって10年以上が過ぎてしまったとはいえ、その間もちゃんと自分なりにブラックアダムを支え続けた。ゴーサインが出てからは、ことあるごとに「これが『ブラックアダム』の初めての脚本」とか「今やっているのが映画用のワークアウト」とか、SNSを通じてブラックアダムの紹介に努めて来たんだ。
── そこまであなたを夢中にさせたブラックアダムの魅力はどこにあるのでしょう。
コミックベースの実写映画に出演するのは『ヘラクレス』(2014)に続いて2本目なんだが、ブラックアダムとヘラクレスには共通点があって、それは「歴史」なんだ。両者ともにルーツが古代にある。
私は「オタク」と言っていいくらい古代史が大好きで、そこにファンタスティックな要素や魔法が加わると、もうたまらない(笑)。果たして彼らはこの力をどうやって得たのか? 一体どういうふうに使うのか? それは語るに値する物語だと思っている。
── なるほど!
もうひとつは、まだ誰も演じたことのないキャラクターという部分だ。私が初めてブラックアダムに息を吹き込む存在になるというのはとても名誉であると同時に、とてつもなく興奮することだよ。
同じような理由でJSA(ジャスティス・ソサエティ・オブ・アメリカ)を紹介出来るのも嬉しい。彼らはジャスティス・リーグより古い歴史をもっているにもかかわらず、スクリーンで活躍するのは今回が初めてだ。つまり、登場するメインのキャラクターはすべて、本作でスクリーンデビューということになる。これはクールだよ(笑)。
── ブラックアダムは破壊神でもあり、ストレートなスーパーヒーローとは違います。その部分をどう解釈していますか。
ブラックアダムのもつ道徳的な曖昧さは、彼を演じる上でもっともワクワクしたことのひとつなんだ。スーパーヒーローの世界には倫理的な決まり事があり、ほとんどのヒーローがそれに従って生きている。その価値観があるからこそスーパーヒーローと呼ばれると言ってもいい。
一方、ブラックアダムの善と悪の境界線はあやふやで、シチュエーションによって善人になったり悪人になったり、ちょっと意地悪になったりする。これは役者としてとても刺激的だ。カテゴリーに収められないスーパーヒーローなんて滅多にいないんだから!
グレーの領域をもっているとは言え、本当の悪人を相手にしたときは何の躊躇もなくぶっ潰す。「悪人には空気すら吸う権利はない!」というくらいの勢いでね。私に言わせれば、かっこいい!だよ(笑)。
── アクションについてはどうでしょう? ブラックアダムのアクションスタイルをどうやって創造しましたか。
ブラックアダムは5000年もの眠りから覚めたばかりのスーパーヒーローだ。そういう者がどんな戦い方をするか考えたときに浮かんだアイデアが、最小限の動きで最大の効果を得るというスタイルだった。結果的にこのアクションはとてもクールになったと自負している。
もうひとつは、彼の容赦なさだろう。ほかのヒーローは防御的な戦いをする傾向が強いのに対し、ブラックアダムの場合はほぼ攻撃型。しかも、相手がヴィランであろうがJSAであろうが、同じようなパワーで攻撃する。
多くのヒーローはまず相手をコントロールしようとするが、彼は初っ端から殺そうとしている。だからとてもデンジャラスで厳しいんだ。そういったファイトスタイルを考えるのはとても楽しい仕事のひとつだった。
── アクションもかなり過激ですよね。
ブラックアダムは怒れる神であり破壊神だ。だったらアクションもPG–13ギリギリまでやろうということでわれわれは同意したんだ。当初はシャザムとの共演という話もあったけれど、それだとアクションは限られてしまう。徹底的にやるためにそれぞれの映画を作ったと言ってもいいくらいだよ。私はこのアクションにもとても満足している。
ブラックアダム
2022年12月2日(金)公開
アメリカ/2022/2時間5分
配給:ワーナー・ブラザース映画
監督:ジャウマ・コレット=セラ
出演:ドウェイン・ジョンソン、ピアース・ブロスナン、オルディス・ホッジ、ノア・センティネオ、サラ・シャヒ、マーワン・ケンザリ、クインテッサ・スウィンデル、ムハンマド・アーメル
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