カバー画像:写真:Shutterstock/アフロ
【筆者が選んだ】偏愛マッツ映画3選
『悪党に粛清を』(2014)
コスチューム物から一本セレクトするなら、汚れマッツの西部劇を。最初は小市民風の新移民として出てきて情けなくもあっさり駅馬車から放り出されるが、妻子の復讐に燃えて帰って来てからは、怒らせると怖い凄腕キラーに変身。そのギャップが、キタキター! って感じ。身体能力の高さとキレのよさが発揮された掘り出し物。
一言メモ:本作のクリスチャン・レヴリング監督も、マッツの同郷デンマーク出身。ラース・フォン・トリアー、トマス・ヴィンターベアらと「ドグマ95」を立ち上げた一人でもある。
『アナザーラウンド』(2020)
正なる酔っ払いの実践(笑)。いい年こいた男たちが、いつも少し酔っている方が人間快調であると証明する、なんてバカを実践する話。お茶目マッツ全開…かと思いきや哀しい展開が…。それでもラスト、亡き友を偲び卒業する若者たちを寿ぎ、酒をラッパ飲みしながら踊りまくるシーンが最高。ダンサー・マッツの片鱗に大満足。(本人は恥ずかしかったそうだけど)
一言メモ:トマス・ヴィンターベアが再びマッツとタッグを組んだ人生賛歌。アカデミー賞国際長編映画賞を受賞し、監督賞にもノミネートされた。共演者もデンマークの名優ぞろい。
『偽りなき者』(2012)
少女への優しさゆえにあらぬ疑いをかけられ、すべてを奪われていく教師。ボロボロになりながら、自分を信じ踏みとどまる瀬戸際を演ずるマッツが気高い。疑いが晴れてももう戻らない人間関係の中、それでも優しく正しく居ようとする決意が、気高い。赦(ゆる)す人。素顔のマッツはきっとこういう人なんだと私は信じている。
一言メモ:監督はマッツと公私ともに交流のあるデンマーク映画界のキーパーソン、トマス・ヴィンターベア。本作はマッツにカンヌ国際映画祭男優賞をもたらした。