最新インタビューを通して編集部が特に注目する一人に光をあてる“今月の顔”。今回は『ノースマン 導かれし復讐者』で叔父に父を殺され、母を連れ去られた、復讐に燃える王子アムレートを演じるアレクサンダー・スカルスガルド。過酷だったアクションシーンについてや、製作にも携わっている今作への思いを語ってもらいました。
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── この映画は、男性を原始的、女性はもっと知的に描いているように思えますが。

ヴァイキングの文化では興味深い考え方をするんだよ。人はみんな、男性的な資質と女性的な資質、両方を持っているというもの。ヴァイキングの文化には女性の精霊がすべての人の中に存在すると考えていた。僕はそれをとても興味深いと感じる。アムレートみたいな男も、自分の体内に存在する女性の精霊に自分は導かれているのだと感じているんだよ。

映画の中でオルガは「あなたは人の骨を打ち砕けるかもしれないけれど、私は人の心を打ち砕ける」という。ヴァイキングの社会で、女性はスピリチュアルな世界とつながっている。アムレートはオルガなしにこの状況を乗り切ることはできない。彼がミッションを果たし、運命をまっとうするためには、オルガが必要なんだ。

── ノースマン(古代スカンジナビア人)は、あなたにとってどんな意味がありますか?

画像: © 2022 FOCUS FEATURES LLC. ALL RIGHTS RESERVED.
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それは面白い質問だね。1000年前、アムレートのような人は何を考えていたんだろう? 多くの人は、ヴァイキングを勇敢な探検家だと思っている。好奇心に満ち、知らないところへ出かける人たちだと。

でも、アムレートを演じる上で、僕はそう考えることを避けた。アムレートは好奇心に導かれているのではない。彼を導くのは怒り。20年前、叔父によって父を殺されるのを見て以来、彼は心を閉ざしてきた。ほかの人と心をつなげることができないでいた。

そこは大事な部分。この映画に出てくるノースマンは、遠征に出て勇敢なことをするヒーローではない。彼は、壊れた男とまでは言えないが、内側にまだ傷ついた子供の心を持っている。僕らはこの映画で、強くてタフなヴァイキングのステレオタイプを描きたくなかった。アムレートは、そうじゃない。この映画で起こることは決して英雄的ではない。

── アニャ(テイラー=ジョイ)とのお仕事はいかがでしたか?

彼女との共演は最高だったよ。彼女は才能が豊かなだけでなく、これまで僕が会った中で最も優しくて正直な人。彼女はとてもオープンなんだ。そこはとても大事。

映画の最初のほうで僕らのキャラクターはあまり一緒にいる時間がないが、そんな中でもこのふたりには心をつなげる何かがあると感じさせないといけない。彼自身はまだそれを知らないけれど、アムレートには定められた運命がある。観客にはふたりが初めて会った時にそれを感じてほしい。アニャとの仕事は素敵だった。

『ノースマン 導かれし復讐者』
2023年1月20日(金)公開

監督:ロバート・エガース
出演:アレクサンダー・スカルスガルド、ニコール・キッドマン、クレス・バング、アニャ・テイラー=ジョイ、イーサン・ホーク、ウィレム・デフォー、ビョーク
配給:パルコ ユニバーサル映画

北欧を舞台に繰り広げられるヴァイキングの壮大な物語。鬼才ロバート・エガース監督にとって初のアクション映画でもある。ある日、父であり国王オーヴァンディルを叔父フィヨルニルに目の前で殺され、母を誘拐された若き王子アムレートは復讐を誓う。数年が経ち、導かれるように祖国に辿り着いたアムレートは、己の運命と対峙することになる。

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