最新インタビューを通して編集部が特に注目する一人に光をあてる“今月の顔”。今回は『ノースマン 導かれし復讐者』で叔父に父を殺され、母を連れ去られた、復讐に燃える王子アムレートを演じるアレクサンダー・スカルスガルド。過酷だったアクションシーンについてや、製作にも携わっている今作への思いを語ってもらいました。
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“この映画に出てくるノースマンは、遠征に出て勇敢なことをするヒーローではない。”

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アレクサンダー・スカルスガルド プロフィール

1976年8月25日、スウェーデン・ストックホルム生まれ。名優であるステラン・スカルスガルドの長男。子役として活動後、学業と兵役を終えるとイギリスとアメリカで演技を学んだ。TVドラマ「トゥルーブラッド」(2008-2014)のエリック役でその名を知られるようになり、ドラマ「ビッグ・リトル・ライズ」(2017-2019)では、第69回プライムタイム・エミー賞、第75回ゴールデングローブ賞で助演男優賞を受賞。

── ロバート・エガースとのお仕事について語っていただけますか?

ロブがこのプロジェクトにかかわりたいと決めてくれた時、僕はすごく興奮したよ。彼はディテールまで徹底してこだわり、歴史に忠実であることを大事にする。ロブはとても独特な方法で監督をする。僕は『ウィッチ』(2015)も『ライトハウス』(2019)も大好き。

この映画で彼は初めて大型アクション映画に挑戦した。だけど撮影監督はいつもと同じ人。映画作りの姿勢も同じ。ほとんどの部署のトップは、短編映画を作った頃からずっと彼と仕事をしてきた人だ。そのメンバーでこの作品を作るというのは面白いチャレンジだったよ。

これは巨大なキャンバスの上で展開するアクション映画。それをロブはカメラ1台で撮影するんだ。そして彼はひとつのシーンを撮影している間、カットをかけない。だから、「念のため」のショットはない。そのビジョンに、僕は100%賛成した。

それがとても難しいであろうことはわかっていたよ。アクション映画はそういうふうに撮影されるものではないから。いくつものカメラを違った場所に置くのには理由があるんだ。

でもロブには自分のビジョンがある。それを貫く彼を僕は尊敬した。監督がやろうとしていることを信じ、自分たちはほかのアクション映画と違うものを作ろうとしているんだと感じていたら、その価値はあると思えるものだ。

── カットなしの長回しでアクションシーンを撮影されましたが、大変だったのではないでしょうか?

大変だったね。今作はとても独特なやり方で撮影をしている。アクション大作においては、こんなやり方をするのは珍しい。普通はいろいろな場所に5、6台のカメラを置いて同時に撮影する。そうやって一度アクションシーンを最初から最後まで撮影し、見直して、必要であればその一部だけをまた撮影する。つまり、編集の段階で使える素材はたくさんあるんだ。

でもこの映画でロブは、アクションシーンであっても、感情的なシーンであっても、カットをかけず、継続的に撮影した。すごく込み入ったファイトコレオグラフィーが必要とされるシーンでも。だから僕らは非常に入念なリハーサルをやらなければいけなかった。撮影開始の数ヶ月前から、肉体的トレーニングに加えて、ファイトコレオグラフィーの練習をしたよ。

激しく怒るシーンや、クライマックスの戦いのシーンなどでは特にきつかったよ。精神的にも、肉体的にもね。だけど、同時に素敵でもあった。ロブはこの映画の世界を一から作った。(グリーンスクリーンではなく)全部そこにリアルにあるんだよ。実際に触ることができるんだ。そして僕たちはシーンを途中で止められることなく最初から最後まで演じる。それは特別な経験だった。初めての経験だ。

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