2月といえばバレンタインデー。1年のうちでも特に恋愛映画が似合う時期です。本特集では、身も心も温まるラブストーリーをたっぷりとお届け。今回は、SCREEN1月号で募集した読者の「好きな恋愛映画」より、恋愛映画の変遷をご紹介します。時代によって移り変わっていく恋愛テーマの在り方にも注目です。(文・山村祥子/デジタル編集・スクリーン編集部)
カバー画像:『ゴースト/ニューヨークの幻』(1990)Photo by Getty Images

2000年代はリアルな共感&純愛がテーマ

2000年代に入ると、等身大の主人公や恋愛のあるあるを描いた、共感系ラブストーリーが増加。

画像: 『ブリジット・ジョーンズの日記』(2001) Photo by Getty Images

『ブリジット・ジョーンズの日記』(2001)

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酒好きのアラサー女性が減量して彼氏を見つけようとする『ブリジット・ジョーンズの日記』(2001)や『ホリデイ』(2006)、『幸せになるための27のドレス』(2008)は、恋に不器用な女性たちが、一歩踏みだして幸せをつかんでいく。

画像: 『エターナル・サンシャイン』(2004) Photo by Getty Images

『エターナル・サンシャイン』(2004)

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男性目線の恋愛映画も製作され『(500)日のサマー』(2009)では、運命の恋を信じる青年と現実主義のヒロインの恋愛へのスタンスの差が、『エターナル・サンシャイン』(2004)では、忘れられない元恋人との思い出が交差する時間軸とともに描かれる。

リアリティのある作品が人気を博すなか、純愛をストレートに描いたのが『きみに読む物語』(2004)。良家の子女と貧しい青年が、格差や戦争に翻弄されながらも一途な愛を貫こうとする。

画像: 『ブロークバック・マウンテン』(2005) Photo by Getty Images

『ブロークバック・マウンテン』(2005)

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同性愛がタブーだった時代を舞台に男性同士の純愛を描いた『ブロークバック・マウンテン』(2005)、女子高生とヴァンパイアが恋に落ちる『トワイライト〜初恋〜』(2008)でも、根底にあるのは曇りのない純愛。

画像: 『トワイライト〜初恋〜』(2008) (C) 2008 SUMMIT ENTERTAINMENT, LLC. ALL RIGHTS RESERVED.

『トワイライト〜初恋〜』(2008)

(C) 2008 SUMMIT ENTERTAINMENT, LLC. ALL RIGHTS RESERVED.

『猟奇的な彼女』(2001)、『私の頭の中の消しゴム』(2004)など、韓国の恋愛映画が人気を集めたのも2000年代の特徴だ。

画像: 『私の頭の中の消しゴム』(2004) (C)2004 CJ Entertainment Inc.&Sidus Pictures Corpo

『私の頭の中の消しゴム』(2004)

(C)2004 CJ Entertainment Inc.&Sidus Pictures Corpo

垣根を越えた愛の形を描く2010年代

2010年以降では、ミュージカル映画『ラ・ラ・ランド』(2016)を挙げる読者が多数。女優の卵とジャズピアニストが恋に落ちるが、それぞれの夢を追う中ですれ違いが生まれてしまう。

LGBTQをはじめ、より多様な恋愛が描かれるようになったのも2010年代。

画像: 『キャロル』(2015) (C)NUMBER 9 FILMS (CAROL) LIMITED / CHANNEL FOUR TELEVISION CORPORATION 2014 ALL RIGHTS RESERVED

『キャロル』(2015)

(C)NUMBER 9 FILMS (CAROL) LIMITED / CHANNEL FOUR TELEVISION CORPORATION 2014 ALL RIGHTS RESERVED

『キャロル』(2015)、『君の名前で僕を呼んで』(2017)では、同性の相手への静かに燃え上がる感情が繊細に綴られ、グサヴィエ・ドラン監督の『わたしはロランス』(2012)ではトランスジェンダーの生きづらさとともに、恋愛という枠を越えた深い人間愛が描かれる。

画像: 『わたしはロランス』(2012)

『わたしはロランス』(2012)

シェイプ・オブ・ウォーター』(2017)は、生物の違いをも超越した愛の物語。SMという性的趣向で結ばれた男女を描く『フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ』(2015)もヒットを記録した。

画像: 『フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ』(2015) (C)2015 Universal Studios

『フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ』(2015)

(C)2015 Universal Studios

恋愛を軸に、人生の尊さや社会の不条理を描いた作品も。

不治の病を患う若いカップルが、限りある時間を懸命に生きようとする『きっと、星のせいじゃない。』(2014)に、愛する人たちと過ごす時間の尊さが込められた『アバウト・タイム〜愛おしい時間について〜』(2013)、『ムーンライト』(2016)でオスカーに輝いたバリー・ジェンキンス監督の『ビール・ストリートの恋人たち』(2018)は、白人警官の怒りを買い無実の罪で投獄された青年と、彼の子を身ごもった女性の愛と信念の物語だ。

画像: 『ビール・ストリートの恋人たち』(2018) (C)2018 ANNAPURNA PICTURES, LLC. All Rights Reserved.

『ビール・ストリートの恋人たち』(2018)

(C)2018 ANNAPURNA PICTURES, LLC. All Rights Reserved.

2020年代の新作恋愛映画も続々登場

画像: 『リコリス・ピザ』(2021)

『リコリス・ピザ』(2021)

2020年代も魅力的な作品が続々。ポール・トーマス・アンダーソン監督が1970年代を舞台に少年の恋と青春を描く『リコリス・ピザ』(2021)、1950代のジェニファー・ロペスが王道ロマコメに帰ってきた『マリー・ミー』(2022)。

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そして新作『ボーンズ アンド オール』(2023年2月17日公開)で描かれるのは、ともに人を食べたい衝動を抱えて生きる若者たちの葛藤と純愛だ。禁忌の趣向だけに賛否両論あるが、それだけ恋愛のきっかけや形が様々だということに気づかされる。

画像: 『ボーンズ アンド オール』より © 2022 Metro-Goldwyn-Mayer Pictures Inc. All rights reserved.

『ボーンズ アンド オール』より

© 2022 Metro-Goldwyn-Mayer Pictures Inc. All rights reserved.

ときめき、切なさ、衝撃。いつの時代も、恋愛映画は見る人の心に様々な感情をもたらしてくれる。これからどのようなラブストーリーが私たちを魅了してくれるのだろうか。

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