荒唐無稽な話を緻密に組み立てた岡田道尚
──本作は独創的なアイデアで勝負できる日本発のジャンル作品として企画がスタートし、“ワンシチュエーション”“主人公は結婚式前夜の新郎”“武器はスマホのみ”“2分に1度訪れる主人公のピンチ”“SNSを駆使した問題解決”“あっと驚くラスト”を条件に岡田道尚さんが脚本を執筆したとのこと。監督オファーを受けたときのお気持ちからお聞かせください。
プロットを読ませていただきましたが、その段階でも話の転がし方がすごく上手いと思いました。マンホールの中という狭い空間だけで繰り広げられますが、SNSの使い方が今の社会を風刺していて、広がりのある話だと感じたのです。
岡田さんは「アイデアを出し合いましょう」というスタンスの方だったので、ホン作りでは自分が思ったことをすべてお伝えしました。これまでの作品と比べて、大胆に飛躍する話です。荒唐無稽なところがあるので、普通に撮っただけでは信じきれない。それを信じ切れるところまで詰めていったのです。岡田さんが緻密に組み立ててくれました。
とはいえ場所が限定されているので、そのまま撮ったら画変わりしない。シーンをどう組み立てたら単調にならないか。映像面をいつもよりも考えました。
──狭いマンホールの中での撮影で、カット割りが大変だったのではありませんか。
これまでの作品では仕掛けのあるシーンのみ、事前に絵コンテを描き、仕掛け以外のところは頭の中でイメージは作っておくものの、基本的には現場に行って、芝居を作ってから割っていました。
今回は全シーン仕掛けがあるようなもの。マンホールの画を描き、そこに倒れている人を紙に描いて切り抜いたものを置いて、「こう動いたら、こっちからカメラが入って…」と毎日のようにシミュレーションを考えていました。そうやってほとんど全部のシーンを事前に考えて、コンテを割っておいたのですが、現場で中島君と芝居を作り直していく中で、カット割も変わっていきました。