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杉山すぴ豊
アメキャラ系映画ライター。雑誌や劇場パンフレットなどにコラムを執筆。アメコミ映画のイベントなどではトークショーも。大手広告会社のシニア・エグゼクティブ・ディレクターとしてアメコミ映画のキャンペーンも手がける。
予告編は24時間で8350万再生! 期待大な「マンダロリアン」シーズン3
3月1日より、いよいよディズニープラスで「マンダロリアン」シーズン3が配信されます。スター・ウォーズの世界観を使った、初の実写ドラマ・シリーズ。2019年にシーズン1が配信され、たちまち人気作となりました。
一応ざっと説明しておくと“マンダロリアン”とは惑星マンダロアを拠点に置く武闘集団の名前。本作の主人公はマンダロリアンの一人であるディン・ジャリンという男です。実は映画版スター・ウォーズに登場したボバ・フェットもマンダロリアンの流れをくむ戦士であり、従ってマンダロリアンは皆ボバ・フェットっぽいルックスです。ディン・ジャリンは悪の銀河帝国が滅びたものの、まだ混とんとしている銀河の中で賞金稼ぎとして生きていますが、ふとしたことでヨーダの同種族の子どもであるグローグーと出会う。ディンはその子を連れて銀河を旅する身となります。
ボバ・フェットとヨーダという、スター・ウォーズの中でも人気のキャラを彷彿させる主人公たちが活躍するので今までのファンもワクワクする。そしてグローグーはまだ幼く、乳母車みたいな浮遊カプセルに乗ってディンとの冒険に同行するので、これはもう宇宙版子連れ狼なんですね(笑)。
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シーズン3ではどうやら銀河に散らばっていたマンダロリアンたちが集結し、大いなる敵(多分帝国の残党)と戦うことになりそうです。予告編にもありましたが、とにかくかっこいいマンダロリアン軍団のアッセンブル&戦うシーンに興奮しますね。
昨今のスター・ウォーズ人気、そして「オビ=ワン・ケノービ」「キャシアン・アンドー」等のドラマが作られる土壌を作ったのは、やはり本作の成功が大きいでしょう。このシーズン3の予告編は24時間で8350万再生されたそうで、これは今までの最高記録が「オビ=ワン・ケノービ」の5800万回生ですからいかに期待されているかよくわかります。
スター・ウォーズのルーツとも関係が! 『フラッシュ・ゴードン』
さて3月末にはそのスター・ウォーズと縁の深い映画がリバイバル公開されます。1980年公開の伝説のアメコミ・ヒーロー映画にしてカルト・ムービー『フラッシュ・ゴードン』の4K版です。本作は1980年に作られたSF冒険活劇。
もともとフラッシュ・ゴードンというのは1934年にアメリカの新聞漫画として人気を博し1936年には連続活劇映画にもなりました(日本では『超人対火星人』等のタイトルで公開)。フラッシュという地球の若者が惑星モンゴに行き、その星を支配する残酷な皇帝ミンと戦うというのが基本ストーリー。スーパーマンのコミック・デビューは1938年ですからアメコミ・ヒーローとしては彼の先輩になりますね。
この連続活劇映画版を子どもの頃TV放送で楽しんだジョージ・ルーカスはたちまちこの物語の虜になり、いつかこういう映画を作りたいと思うようになる。それが『スター・ウォーズ』につながります。なのでフラッシュ・ゴードンはスター・ウォーズのルーツみたいに言われるのです。
その後イタリア人の映画プロデューサー、ディノ・デ・ラウレンティスが映画化権を獲得。『スター・ウォーズ』のヒットをみて今がチャンスとばかりに作ったのが、この80年版の『フラッシュ・ゴードン』です。当時は『スーパーマン』映画も大ヒットですから、それも本作の製作を後押ししたと思います。
先ほど“カルト・ムービー”と書きましたが、この映画の魅力はそのけばけばしい世界観とキッチュな面白さ(バカバカしさ、安っぽさが一周まわってクールに感じられる)にあります。要はお金をかけた駄菓子みたいな映画なのです。というわけでこの『フラッシュ・ゴードン』には根強いファンがいて、あのおやじぐま映画『テッド』でも主人公たちが好きな映画として紹介されています。
そして本作の知名度を高めたのは、なんとクイーンが主題曲を提供しているということ! クイーンによるフラッシュのテーマはまさに特撮ヒーロー物の主題歌のノリです。これを聴くだけでも価値はあり!ぜひこの機会にご覧ください。
『フラッシュ・ゴードン 4K』
2023年3月31日(金)ヒューマントラストシネマ渋谷、 新宿シネマカリテ他公開
監督:マイク・ホッジス
出演:サム・ジョーンズ、メロディ・アンダーソン、オルネラ・ムーティ、マックス・フォン・シドー
配給:ファインフィルムズ
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