今度のオスカーはA24作品がリード!
マルチバースとカンフーで世界の危機を救う? 気鋭のスタジオ、A24が製作した奇想天外なアクション・エンタテインメント最新作で、同スタジオ史上最大のヒット作となり、全米でいくつもの主要な批評家賞を受賞。第95回アカデミー賞では作品賞、主演女優賞、助演男優賞など10部門11ノミネートで、最多候補となっている。
監督は異色作『スイス・アーミー・マン』(2017)で話題を呼んだダニエル・クワンとダニエル・シャイナートのコンビ=ダニエルズ。製作を『アベンジャーズ/エンドゲーム』(2019)の監督、ジョーとアンソニーのルッソ兄弟らが担当している。出演は『ポリス・ストーリー3』(1992)などハードアクションもこなしてハリウッド進出したミシェル・ヨーはじめ、『インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説』(1984)など子役として活躍し、本作で見事復活したキー・ホイ・クァン、「ハロウィン」シリーズのジェイミー・リー・カーティス、『シャン・チー/テン・リングスの伝説』(2021)のステファニー・スー、『ブレードランナー』(1982)などのベテラン、ジェームズ・ホンら。
各映画賞で快進撃!
アカデミー賞でも11個のノミネートで今回最多となっている『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』だが、その前哨戦となる全米各映画賞でも次々受賞しており、2月初旬現在260以上の賞を受賞している。作品賞ではロサンゼルス、ワシントンDC、シアトル、ラスベガス、ハワイ、ジョージア、フロリダ、デンバー、アトランタなどの映画批評家協会賞をことごとく受賞。監督賞もニューヨーク、カンザス、ネバダなどで、主演女優賞(ミシェル・ヨー)と助演男優賞(キー・ホイ・クァン)も先日のゴールデングローブ賞はじめ数々の賞を獲得。この勢いでオスカーも受賞なるか?
あらすじ
家族で経営しているコインランドリーに国税庁の監査が入り、イライラしている中国移民のエヴリン(ヨー)。彼女には他にも春節を兼ねた老父ゴンゴン(ホン)の誕生パーティの準備もあるし、国税庁で通訳係をしてくれるはずの娘ジョイ(スー)が同性の恋人を連れてきたことで言わなくていいことを言ってしまいジョイを怒らせてしまった。優柔不断な夫ウェイモンド(クァン)は優しいが助けにならない。
国税庁に父と夫を連れて出かけたエヴリンは、監査官ディアドラ(カーティス)にこってり絞られている間に気が遠くなったかと思うと、所具室にワープ! すると別の宇宙で別の人生を歩んでいるという別のウェイモンドが乗り移った夫から、「全宇宙にカオスをもたらす巨大な悪ジョブ・トゥパキを倒せるのは君だけだ」と、いきなり世界の命運を託されてしまった。信じられないエヴリンだが、別のウェイモンドから戦う術を伝授され、違う世界の自分が持つ技能とアクセスできるバース・ジャンプの能力を体得。果たしてエヴリンはジョブの魔手から世界を救えるか?
マルチバースを駆け巡る人々
<アカデミー賞主演女優賞ノミネート>
エヴリン・ワン(ミシェル・ヨー)
コインランドリーを経営する中国移民の中年女性。しかし別の世界では大スター?
<アカデミー賞助演女優賞ノミネート>
ジョイ・ワン/ジョブ・トゥパキ(ステファニー・スー)
エブリンとウェイモンドの娘。同性の恋人がいる。別世界では人類の敵となる。
<アカデミー賞助演男優賞ノミネート>
ウェイモンド・ワン(キー・ホイ・クァン)
エヴリンと共にアメリカに移住してきた夫。いい人だけど気弱そう。でも実は…。
<アカデミー賞助演女優賞ノミネート>
ディアドラ(ジェイミー・リー・カーティス)
ワン一家の財務を担当する国税庁の厳しい監査官。エヴリンと対立する。
ゴンゴン(ジェームズ・ホン)
誕生日を迎えるエヴリンの父。LGBTQなどは理解できない昔気質の人。
『エブエブ』を語るキャストたち
ミシェル・ヨー(エヴリン)
「私が演じるエヴリンは社会的弱者でおよそヒーローになるような人物ではないけれど、みんなに希望を与えるんです。彼女には反抗期の娘がいたり、なりたいような自分になることを諦めたり、自分のことを考える暇がなくて、物事をうまく進めるようにするだけで精一杯なんです。多くの人たちが現実に抱えているのと同じ問題ですね。そして誰もが人生に同じものを求めているんですよね。誰もがチャンスの到来を待っていて、自分の能力を証明する機会を掴もうとしているんです。そういうところに演じる魅力とやりがいを感じました。
この作品の根底にあるテーマは、喜びや愛、思いやりといったものを日常に見つけ出すことだと思うんです。何があってもあきらめず、私たちの愛が自分たちを引き戻し、難しい人生を乗り越えていくんです。そしてマルチバースの魅力ですが、『わあ、こんなことも?』と思いもよらなかったことが急にできるようになるところですね(笑)」
キー・ホイ・クァン(ウェイモンド)
「この映画に関わりたいと思ったのは、中国人家族を主人公にした素晴らしい脚本だったからなんだ。アジア人がハリウッド映画に登場する時、多くは名前もないキャラだったり、中味のない同じタイプの役ばかりでがっかりすることが多いけど、今回は素晴らしかった。
僕は20年も演技から離れていたから、この機会をくれた二人のダニエル(監督)には本当に感謝している。ミシェル(ヨー)と一緒に仕事ができるのも特別なことだった。彼女が映画デビューしたのは1984年で、僕が『インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説』に出たのと同じ頃。違う場所からこの世界にやってきてめぐりあうまで38年かかったけど、僕はずっとミシェルのファンで彼女の作品はすべて見ているほど。ステファニー(スー)やジェームズ・ホンも含めてみんな本当の家族のようだった。この映画に出られて一番良かったことはこうした共演者たちと友情が育めたことだと思う。一生心に残るだろうね。」
『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』
2023年3月3日(金)公開
アメリカ/2022/2時間20/ギャガ
監督:ダニエル・クワン、ダニエル・シャイナート
出演:ミシェル・ヨー、キー・ホイ・クァン、ジェイミー・リー・カーティス、ステファニー・スー、ジェームズ・ホン
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