いまを生きるひとりの女性の悲しみと喜び
本作は、ハンセン=ラブ監督自身の父親が病を患っていた中で脚本を書いた自伝的作品。サンドラといういまを生きるひとりの女性の等身大の姿を監督の定番ともいえる35ミリフィルムで詩的に描き出し、第75回カンヌ国際映画祭でヨーロッパ・シネマ・レーベル賞を受賞。
主演は『007 ノー・タイム・トゥ・ダイ』(21)のレア・セドゥ。主人公サンドラはセドゥをイメージして当て書きされたという。『エディット・ピアフ 愛の讃歌』(07)の名優パスカル・グレゴリーが主人公の父ゲオルグに扮し、サンドラの恋人クレマンを『わたしはロランス』(12)のメルヴィル・プポーが演じる。
解禁となった日本版予告編は、賑やかな街中で主人公サンドラが父ゲオルグのかつての教え子から声をかけられる場面からスタート。
会話の途中でひとりで暮らす父をケアする様子が挿入され、涙を堪えきれなくなったサンドラはその場を立ち去ってしまう。父の介護のかたわら通訳の仕事、子育てなど懸命に日々を送る中で、旧友のクレマンと偶然再会し、自然に恋に落ちていく様子を捉えていく。
クレマンとの関係を娘のリン(カミーユ・ルバン・マルタン)とオープンに話す様子や3人でのデートなど、ささやかな変化の兆しとともに、父に自分の姿が見えていないことに打ちのめされる様子など、喜びと悲しみが織り交ざったサンドラの姿が、移ろいゆく季節の風景とともに描き出されている。
ミア・ハンセン=ラブ監督は、前作『ベルイマン島にて』を手掛けた後、当時病床にあった父親の病から得たインスピレーションも盛り込みながら脚本を執筆。このことについて監督は「私の周りで起きていることを、なんとか理解しようとしていました。悲しみと再生という、正反対の二つの感情がどのように同時に存在し、影響し合うのかを、この映画で表現したかったんです」と振り返っている。
新場面写真では、サンドラが献身的に父ゲオルグの介護に臨む姿に加えて、通訳として仕事に臨む様子、クレマンとのデート中に彼に視線を向ける姿、家族と過ごすクリスマスなど、劇中セドゥが魅せる様々な表情が収められている。
本作の<フランス版ビジュアルポストカード>付き全国鑑賞券(税込1,500円)を、メイジャーオンラインおよび新宿武蔵野館ほか一部上映劇場にて発売中。
『それでも私は生きていく』
5月5日(金・祝)より、新宿武蔵野館、シネスイッチ銀座ほか全国順次公開
配給:アンプラグド