今回のアカデミー賞で8部門にノミネートされた『イニシェリン島の精霊』。本作で主演男優賞初ノミネートとなったコリン・ファレルには、最有力か? との評判も。あらためてコリンとはどんな俳優なのかを振り返ってみましょう。(文・米崎明宏/デジタル編集・スクリーン編集部)
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アカデミー賞主演男優賞ノミネート
コリン・ファレル

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コリン・ファレル

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『イニシェリン島の精霊』で第95回アカデミー賞の主演男優賞候補となったアイルランド出身のコリン・ファレル。すでに本作では第79回ベネチア国際映画祭で男優賞、第80回ゴールデングローブ賞で主演男優賞などを次々受賞しているが、いよいよ賞レースの総本山、アカデミー賞での受賞が期待されている。

コリンが演じるのはパードリックという誰からも好かれている素朴な男。時代背景は1923年のアイルランドということで、折しも内戦が勃発している時期だが、パードリックの住むのどかなイニシェリン島は本土の戦闘など対岸の火事で、日々パブ通いに明け暮れている。だが、そんな彼の無二の親友であるはずのコルムが、ある日突然、パードリックに絶縁を告げてくる。一体何があったのか? パードリックに落ち度があるのか、コルムが心の病にかかったのか、観客も本当の理由がよくわからないまま予想外の物語が進んでいく。コリンは絶交されて困惑しつつも、友情の復活に向けて突き進むパードリックの悲喜劇的なキャラクターを完璧に体現する名演。

監督は『スリー・ビルボード』(2017)で絶賛を受けたマーティン・マクドナー。彼とコリン、そして共演のブレンダン・グリーソンは2008年の『ヒットマンズ・レクイエム』(日本はDVD公開)でチームを組んでおり、もう一度一緒に仕事をしたかったという(コリンとマクドナーだけ組んだ2012年の『セブン・サイコパス』もある)。『ヒットマンズ…』は、コリン扮する新米殺し屋をブレンダン演じるベテラン殺し屋がボスの指令で命を狙うことになる犯罪ドラマ。この作品でもコリンはゴールデングローブ賞主演男優賞を受賞しているが、今回はオスカーに手が届くかもしれない。

コリンは21世紀初頭に『タイガーランド』(2000)『マイノリティ・リポート』(2002)など次々話題作に主演して、彗星のように現れた若手ホープだったが、最初はやんちゃそうな印象だった。やがてオリヴァー・ストーン、ウディ・アレン、テレンス・マリック、ヨルゴス・ランティモス、ソフィア・コッポラ、ティム・バートンといった個性派監督たちに起用されるようになり、昨年は『アフター・ヤン』『13人の命』『THE BATMAN-ザ・バットマン-』にも出演して、演技派俳優として着実に成長してきた。

私生活では一度女優アメリア・ワーナーと結婚したものの、すぐに離婚し、その辛さからか再婚はしていないが、その後交際した二人の女性との間に生まれた子供二人をどちらも引き取り、コリンが育てている。そのうち長男のジェームズに難病(アンジェルマン症候群)があることも公表しており、裏表のないところがコリンらしさ。今乗りに乗っている彼が待望のオスカー俳優となるか、授賞式本番が楽しみだ。

コリン・ファレルからオスカー・ノミネート・コメント

「『イニシェリン島の精霊』(バンシーズ)のキャストとクルーに愛情を注いでくれたアカデミーにただただ感謝です。そして素晴らしい候補者と共にノミネートされたことをとても光栄に思います。全ての仲間たちに心からの祝福を!」

アカデミー賞作品賞ほか8部門9ノミネート
『イニシェリン島の精霊』

アイルランド西海岸沖のイニシェリン島でのどかに暮らすパードリックは、ある日突然親友のコルムから絶交を言い渡される。身に覚えのないパードリックはコルムの真意を探ろうとするのだが……。

画像: 公開中/ウォルト・ディズニー・ジャパン配給 ©2022 20th Century Studios. All Rights Reserved.

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