「ハムナプトラ」シリーズなどでトップスターに昇りつめながらも、長らくハリウッドの表舞台から遠ざかっていた俳優のブレンダン・フレイザー。そんな彼がタッグを組んだのは、『ブラック・スワン』などで知られるダーレン・アロノフスキー監督。
新作『ザ・ホエール』で主演を務め、第95回アカデミー賞では主演男優賞を受賞するなど奇跡的なカムバックを遂げた。
今回、プロモーションのため15年ぶりに来日したブレンダンのインタビューが実現。取材部屋に現れた彼は柔らかい笑顔で「ハロー」と挨拶し、取材中は時おり繊細な瞳を覗かせながら、穏やかで丁寧に受け答えをしていたのが印象的だった。ブレンダンが語る作品への想いや撮影エピソードをお楽しみください。(取材・文/奥村百恵)

“台本を読んだときに「あ、この人のこと知ってる」と感じた”

ーーチャーリーを演じるにあたり、監督から何かリクエストはありましたか?

「リクエストというか、最初に『フィジカルな意味で結構大変な役だけど大丈夫ですか?』という確認を監督はしてくださいました。体重272キロのチャーリーのビジュアルを作るために、特殊メイクとファットスーツ着用で4時間かかり、脱ぐのに1時間かかると。そういう説明があったんです。だけど僕はフィルムメイキングにおける全ての作業に興味があって、ヘアメイクの技術に触れることも大好きなんですね。なので『全く問題ないですよ』と答えました。演出に関しては指示が簡潔でとてもやりやすかったのを覚えています。これまでご一緒した方でアロノフスキー監督のようにわかりやすく簡潔な指示を出す人は大抵優れた監督でしたね」

画像: “台本を読んだときに「あ、この人のこと知ってる」と感じた”

ーーチャーリーは恋人を亡くしたショックから現実逃避するように過食を繰り返してきたキャラクターですが、長らく疎遠だった娘のエリーに見せる愛情や、看護師リズとの会話のシーンを見ていると、とってもチャーミングで好きにならずにはいられなかったです。どんなことを大事に演じましたか?

「台本を読んだときに、チャーリーのことを“あ、この人のこと知ってる”という風に身近な存在に感じて、“友達になりたい”“彼のことをもっと知りたい”と思ったんです。それで、こんなにも魅力的な役ならば、それに見合う演技をしなければいけないという気持ちにもなりました。現場では、強い癖みたいなものを出す大げさな芝居ではなく、チャーリーの心情を繊細に読み取りながら、観客にリアリティを感じてもらえるように演じることを大事にしていました」

ーーチャーリーはエリーが描いたハーマン・メルヴィルの「白鯨」のエッセイを大事にしていますが、ブレンダンさんは思い入れのあるもので大事にしているものは何かありますか?

「息子が7歳の時に、「お猿さんはホットチョコレートを探している」という自身のイラスト入りの本を書いたんです。とてもよく出来ていて、僕にとってその本がすごく大切な宝物です」

『ザ・ホエール』
TOHOシネマズ シャンテ他にて全国公開中
配給:キノフィルムズ
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