新作『ザ・ホエール』で主演を務め、第95回アカデミー賞では主演男優賞を受賞するなど奇跡的なカムバックを遂げた。
今回、プロモーションのため15年ぶりに来日したブレンダンのインタビューが実現。取材部屋に現れた彼は柔らかい笑顔で「ハロー」と挨拶し、取材中は時おり繊細な瞳を覗かせながら、穏やかで丁寧に受け答えをしていたのが印象的だった。ブレンダンが語る作品への想いや撮影エピソードをお楽しみください。(取材・文/奥村百恵)
“本作の出演は、まさに人生が一変するような大きな出来事”
ーーダーレン・アロノフスキー監督とご一緒する前はどのような印象を持っていましたか?
「どの役者もアロノフスキー監督と仕事をしたいと思っているはずで、本作で主演として声をかけてもらえたことは僕にとって本当にラッキーなことでした。ただ、最初はクリエティブな意味で少し脅威を感じたんです。なぜなら彼はアーティストであり、役者にレベルの高いことを求める方だとわかっていたから。でも、だからこそ役者としての能力を引き上げてもらえましたし、自分が表現できることは全て出し尽くす勢いで挑むことができたんですよね。本作の出演は、まさに人生が一変するような大きな出来事でした」
ーー『ブラック・スワン』や『マザー!』などを鑑賞すると、“アロノフスキー監督は冗談など言ったりするのだろうか?”と、普段の様子が全く想像つかないのですが(笑)、ブレンダンさんから見た監督はどんな方でしたか?
「正直に言うと、アロノフスキー監督のユーモアのセンスは結構ドライでした。この表現でなんとなく伝わりますよね?(笑)。あと、監督がよく言っていたのは、『もし映画監督になっていなかったら、野球の審判になっていたと思う』という言葉で、実際に俯瞰で全体を見ることができる方なんです。それって監督にとってすごく重要な要素ですよね。それと同時に柔軟な面も持ち合わせていて、例えば現場で誰かがアイデアを出した時に、その人がどの部署の誰であろうと良い提案であればちゃんと認めて採用してくれるんです。そんな彼から一緒に仕事をする仲間へのリスペクトを感じましたし、僕にも大きな信頼を寄せてくれているのが伝わる現場でした」
『ザ・ホエール』
TOHOシネマズ シャンテ他にて全国公開中
配給:キノフィルムズ
© 2022 Palouse Rights LLC. All Rights Reserved.