『ザ・ホエール』でアカデミー賞主演男優賞を受賞したブレンダン・フレイザーと『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』で助演男優賞を受賞したキー・ホイ・クァン。実は彼らには若いころ共演した一つの作品があり、そこから2人の道は大きく分かれ、長い時を経て同じ晴れ舞台に立つことになったのです。(文・米崎明宏/デジタル編集・スクリーン編集部)
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オスカー2023を沸かせた2人
様々な話題を提供してくれた今年のアカデミー賞。その中でユニークな組み合わせが注目されたという視点から、今気になる2人を3組ピックアップ。彼らの栄光への道のりを探ってみましょう。

かつての共演作で大きく分かれた2人の道はオスカーで繋がった!

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ブレンダン・フレイザーとキー・ホイ・クァン

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今回のアカデミー賞で並みいるライバルたちと競りあった末に、主演男優賞を受賞したのは『ザ・ホエール』で久々のスクリーン・カムバックを果たしたブレンダン・フレイザー。また助演男優賞も子役として成功したものの、大人になってからは長らく俳優業から退いていたキー・ホイ・クァンが『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』の演技で受賞。

どちらもかつて人気を誇ったスターだったものの、理由あってキャリアを中断し、イメチェンを図った復帰作で最大の栄誉を手にしたことで喝采を浴びることになり、その受賞スピーチも感動を呼びました。さらにこの2人は若いころ共演も果たしていて、授賞式会場では旧友同士がお互いの栄誉を喜び合う姿も見られ、周囲の祝福ムードも一層盛り上がりました。

ちなみに2人の共演作は1992年の学園コメディ『原始のマン』で、カリフォルニアを襲った地震で氷河時代から甦った石器人が、彼を掘り起こした高校生コンビに交換留学生に仕立てられ巻き起こす騒動を描いたもの。新人だったフレイザーはこの石器人役でその名を一躍高めたヒット作。クァンは高校生コンビの同級生役で、当時は芸名を英語風にしてジョナサン・クァンとしていました。

主演男優賞受賞 ブレンダン・フレイザー

『原始のマン』を機に、フレイザーの人気はハリウッドでぐんぐん上昇。1992年の学園ドラマ『青春の輝き』では同じころ新人だったマット・デイモン、ベン・アフレックを共演者に主人公を演じ、コメディもシリアスもいけることを証明。続いて『きっと忘れない』『ハードロック・ハイジャック』(共に1994)『くちづけはタンゴの後で』(1996)『ジャングル・ジョージ』(1997)『ゴッド・アンド・モンスター』(1998)『タイムトラベラー/きのうから来た恋人』(1999)などあらゆるジャンルの作品で引っ張りだこに。

その頃出会ったのがアクション・アドベンチャー『ハムナプトラ/失われた砂漠の都』(1999)のリック役で、大ヒットし3作目までシリーズ化されました。ちなみにこの3作目で今回のアカデミー主演女優賞ウィナー、ミシェル・ヨーとフレイザーの共演が実現しています。

そんな順調な俳優業を送っていたフレイザーでしたが、2003年頃に彼は当時ハリウッド外国人映画記者協会の会長だった人物からセクハラを受けていたと2018年になってから雑誌のインタビューで告発しました。これが元でうつ状態となり、第一線から退くことになったと明かしています。

2013年以降俳優業をかなり縮小していたフレイザーは2019年あたりから少しずつキャリア復帰を目指していましたが、2021年に公開されるはずだった久々の大作『バットガール』がお蔵入りするという不運も。

こうした光と影を乗り越え、余命少ない体重272キロの男の役をこれまでのイメージを覆して熱演した『ザ・ホエール』が今回のオスカー受賞につながり、映画界や世界中のファンの賞賛を浴びるに至ったのです。

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助演男優賞受賞 キー・ホイ・クァン

一方『原始のマン』で共演したクァンはベトナム出身で中国系難民一家がスタート地点。香港経由でアメリカに移住し、オーディションで発見され『インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説』(1984)のショート・ラウンド役で人気爆発。続いて『グーニーズ』(1985)のデータ役も大好評で、一躍アイドルとなりました。

その人気にあやかって台湾映画『ドロボーズ』(1986)や日本映画『パッセンジャー/過ぎ去りし日々』(1987)にも出演しましたが、米国ではアジア系ということで次第に役は減り、『原始のマン』以降はほとんど俳優としての活躍を諦め、USCで映画を学んだ後、裏方に回る決心をしました。『Xメン』(2000)ではスタントなどを務めましたが、それでもなかなか仕事を得るのに苦労したようです。

そんな状況が変わったのは、アジア系俳優ばかりが出演している『クレイジー・リッチ!』(2018)が米国で大ヒットし、ハリウッドでもアジア系俳優が成功する時代が来たと確信した時。2021年に俳優業を再開した頃、『エブエブ』の役と出会い、数々の主要映画賞を総なめにするという以前には考えられなかった快挙が生まれたのです。

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栄光の道を再び歩み始めた2人の今後

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ブレンダン・フレイザーとキー・ホイ・クァン

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『原始のマン』という映画をきっかけに上昇気流に乗ったフレイザーと俳優を諦めたクァンの別々の道のりは、大きな挫折を乗り越えて、同じ年のアカデミー賞の晴れ舞台で繋がったのです。

フレイザーは続いてマーティン・スコセッシ監督、レオナルド・ディカプリオ共演の新作『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』が完成間近で、クァンはMCUシリーズの「ロキ」第2シーズンへのレギュラー出演が発表されています。栄光の道を再び歩み始めた2人の今後に期待が集まっています。

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