この春から夏にかけて注目の女性監督・クリエイターによる必見作が続々登場! 今年のアカデミー賞を賑わせた話題作『ウーマン・トーキング 私たちの選択』もいよいよ日本上陸です。サラ・ポーリー監督が語る本作の重要性とは?

【インタビュー】サラ・ポーリー監督が語る『ウーマン・トーキング 私たちの選択』の重要性

「議論が可能であるということが一縷の希望」

画像: ©Derek Shapton
©Derek Shapton

サラ・ポーリー

1979年、カナダ生まれ。子役から活躍し、『スウィート ヒアアフター』(1997)、『死ぬまでにしたい10のこと』(2003)などに出演。『アウェイ・フロム・ハー 君を想う』(2006)で長編映画監督デビューを飾り、アカデミー賞脚色賞にノミネート。『物語る私たち』(2012)では全米脚本家組合賞を受賞。本作が10年ぶりの監督復帰作となった。2022年には自伝的エッセイ集を出版するなど、多方面で才能を発揮している。

──なぜこの作品の監督・脚色を手掛けようと思ったのでしょうか?

厳しい現実、償い、怒り、有責性、信仰、赦しに関する難しい哲学的な問いを呈しつつ、最後には戸惑うほどの希望を抱かせてくれる作品のように思えました。世界を変えること、ジェンダーロールの縛りを解き放つことだって可能。何を取り壊したいのか? 何を創造したいのか? 世界をどう作り変えたいのか? このようなことについて語ることが可能なのだと感じられ、希望が膨らみました。

原作が出版された当時は、ジェンダーにまつわる問題について前向きになれない世の中でした。だから、本質的に異なる視点を持つ女性たちが一堂に会し、世界を大胆に変革させる糸口となるような議論を描くことがとても重要に思えたのです。

──主演のルーニー・マーラとの仕事はいかがでしたか?

ルーニーは、役柄のオーナと同じようなエネルギーをセットにもたらします。思いやりと共感に満ちた人であり、あの納屋で湧き上がってきたさまざまな感情をすっと受け止める器があります。誰もがルーニーに支えられていて、味方してもらえていると感じていたと思います。彼女はその場に意識を集中させ、周りの人に注意を注ぐことにすごく長けています。生き生きとした女優だとも思います。自分を曝け出すことも厭わない。エゴがなく、生きた愛の器のような存在です。

彼女が現場にもたらしたもの、そして皆にもたらしたものは素晴らしく、ただただ、さまざまな視点やエネルギーが交差できるような空間を作り、皆をまとめる存在でいてくれました。とてもおとなしい人なのだけど、その優しさと思いやりは雄弁でした。素晴らしい人間だと思います。

──この物語を語る重要性について教えていただけますか?

私たちの生きる時代は多くの間違ったことがまかり通っています。変えなければならないこと、取り壊していかなければならないことがたくさんあります。そういう意味において、この映画も原作もとても大切な存在だと思います。

納屋でなされる会話は、今の権力構造、力の不均衡、暴力による害悪など、あらゆることに言及します。一方で、意見を異にする人同士が、新たな世界と新たな道を創造するためにじっくりと腰を据えて話し合う様をも見せていく。そういう議論が可能であるということが一縷の希望となります。私が原作を読んでインパクトを感じたのはそういうところでした。この映画も人々にそういうインパクトを与えることができたら嬉しいです。

キャストが語るサラ・ポーリー監督

画像: 撮影合間のサラ・ポーリー監督とルーニー・マーラ

撮影合間のサラ・ポーリー監督とルーニー・マーラ

ルーニー・マーラ

サラはキャストだけでなく、あらゆる部門のスタッフに対してもきちんと気が行き届く人で、この映画が完成に漕ぎつけたのは、監督がそういう環境を整えてくれたからにほかならないと思います。私は、女性監督と組むのがおそらく10年ぶりなのですが、(監督が女性だったことで)現場のエネルギーが少し違いました。

フランシス・マクドーマンド

サラのこの作品に対するビジョンに一番驚きました。私は至近距離から撮ったような素朴な作品を想像していたのですが、サラは最初から『これは叙事詩的な大作に仕上げたい。そろそろ女性の物語をスケール感たっぷりに描いても良いはず。撮影も華麗に壮大にシネマティックに撮るべき』と語っていました。

そしてそれを撮影監督のリュック・モンペリエとともに見事に実現しています。必ずしも美しくなくとも、壮大に撮ることがこの作品の要であり、何よりもそういう壮大さを要するストーリーだったのです。

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『ウーマン・トーキング 私たちの選択』
2023年6月2日(金)公開
アメリカ/2022/1時間44分/配給:パルコ ユニバーサル映画
監督:サラ・ポーリー
出演:ルーニー・マーラ、クレア・フォイ、ジェシー・バックリー、ベン・ウィショー、フランシス・マクドーマンド

©2022 Orion Releasing LLC. All rights reserved.

※本作は、性暴力・性的被害を扱っている作品です。日本の映倫審査ではG(全年齢)となっておりますが、北米ではPG-13で公開されています。作中に直接的な性暴力描写はございませんが、フラッシュバック等の恐れがある方はご注意ください。

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