第95回アカデミー賞 脚色賞受賞・作品賞 ノミネート
実話を基にしたベストセラー小説をサラ・ポーリー監督と豪華キャストで映画化
2005年から2009年にボリビアの宗教コミュニティで起きた実際の事件に発想を得たミリアム・トウズによる同名ベストセラー小説を、『死ぬまでにしたい10のこと』(2003)『アウェイ・フロム・ハー 君を想う』(2006)などで監督や女優などとして幅広く活躍するサラ・ポーリーの監督・脚本で映画化。
連続レイプ事件の起きた村を舞台に、尊厳を奪われた女性たちによる未来を懸けた話し合いを描く。本年度アカデミー賞作品賞・脚色賞の2部門にノミネートを果たし、脚色賞を受賞した。
『キャロル』(2015)などで2度アカデミー賞にノミネートされたルーニー・マーラが主演を務めるほか、「ザ・クラウン」のクレア・フォイ、『MEN 同じ顔の男たち』(2022)のジェシー・バックリー、「007」シリーズのベン・ウィショーなど豪華キャストが集結。
出演とプロデュースを務めるのは『ノマドランド』(2020)のオスカー女優フランシス・マクドーマンド。彼女が本作のオプション権を獲得後、ブラッド・ピットが率いる映画制作会社PLAN Bへ話を持ち込み、映画化が実現した。
【あらすじ】赦すか、闘うか、それとも去るか 未来を懸けた話し合いが始まる
2010年、自給自足で生活する、あるキリスト教一派の村で少女たちがレイプされる事件がたびたび発生する。これまで女性たちはそれが「悪魔の仕業」「作り話」だとして男性たちによって否定されていたが、ある日寝室に飛び込んできた青年に気づいた少女が声をあげ、それが村の男による犯罪だったことが明らかになる。
町へ出た男性たちが戻ってくるまでの2日間、女性たちは大きな納屋に集合する。そして、尊厳を奪われた彼女たちによる未来を懸けた話し合いが始まる。限られた時間内での解決を図り、最年長のアガタ一家とグレタ一家の計8人に考えが任されることに。
怒りを露にし、闘う姿勢を隠さないのはアガタの下の娘サロメ(クレア・フォイ)。グレタの娘マリチェ(ジェシー・バックリー)は闘いたいが、赦さざるを得ないと半ば諦めかけている。アガタの上の娘オーナ(ルーニー・マーラ)は父のわからぬ子を宿し、白熱する会話を静かに聞いている。赦すか、闘うか、それとも去るか。女性たちは2日間で決断を迫られる。
登場人物紹介
オーナ(ルーニー・マーラ)
アガタの長女。父のわからぬ子を宿している。オーガストと恋仲で彼に議事録を取るよう頼む。
サロメ(クレア・フォイ)
アガタの次女。事件に怒りを露にし、闘う姿勢を隠さない。「残って闘う」ことを主張。
マリチェ(ジェシー・バックリー)
グレタの長女。自分たちが闘いに負けて、男たちを赦さざるを得ないと思っている。
オーガスト(ベン・ウィショー)
話し合いに記録係として参加を許された唯一の男性。大学で学んで帰郷した教師。
スカーフェイス(フランシス・マクドーマンド)
「男たちを赦す」という少数派の代表。破門のリスクと信仰による赦しを訴える。
『ジョーカー』で オスカー受賞の才人が音楽を担当
音楽を手掛けたのは『ジョーカー』(2019)でアカデミー賞に輝き、時の人となったアイスランドの作曲家ヒドゥル・グドナドッティル。当初はスケジュールが合わなかったが、監督の熱烈なラブコールもあり、映画編集中に並行して作曲をするという形で携わることに。
彼女は物語に共鳴し「女性たちが集まって互いの権利のために立ち上がる強さに勇気づけられました。コロナ禍でDVが増加しているという報告をたくさん聞き、この物語はリアルタイムで私たちの周りに起こっていることだと気づきました」と語っている。