ラーム・チャランが自ら最高傑作のひとつと述べる作品
本作は、小さな農村“ランガスタラム村”を舞台に、ラーム・チャラン演じる青年チッティの恋物語を交えながら、村を牛耳る金貸しの自称「プレジデント」から村を救おうと、チッティが兄のクマールと共に危険を顧みず立ち上がる物語。
変化に富んだダンスや骨太なストーリーが人気を呼び、インドでの封切時に幾つもの劇場で100日超えの連続上映を達成。興収においても21億6千万ルピー(約35億円)を記録して、同年公開のテルグ語映画としては2位以下を大きく引き離すかたちでの首位となった。また、フィルムフェア賞サウスでの最優秀主演男優賞(ラーム・チャラン)、第66回インド国家映画賞の最優秀音響賞など、数々の映画賞を獲得するなど高い評価を受けている。
本作の監督のスクマールは、寡作ながらじっくりと練り込んだ脚本によって知られる個性派で、現在最も注目を浴びる映画人のひとり。文芸的な香気とアクション映画としてのスリルとを併せ持つ本作は、2010年代のテルグ語映画の秀作リストでは必ず上位に挙がる作品にもなっている。
予告編では、ラーム・チャラン演じる、難聴だが気のいい若者チッティが、美しい娘・ラーマラクシュミ(サマンタ)に一目ぼれする姿など、のどかな農村の風景を映していく。そして、長年村を牛耳ってきた金貸しの村長「プレジデント」から村人を救おうと、チッティが兄と共に立ち上がるシーンから、スリルあふれるアクションシーンへと続いていく。「ここは舞台<ランガスタム>ではない 戦場だ!」という演説の声が、不穏な物語の展開を予感させる。
<STORY>
1980年代半ばのアーンドラ・プラデーシュ州中部、ゴーダーヴァリ川沿岸の田園地帯、ランガスタラム村。チッティ・バーブ(ラーム・チャラン)は、モーターを使って田畑に水を送り込むことを生業にする労働者。難聴で、他人の声がよく聞き取れない障碍を持っているが、さほど気にせずに毎日を楽しく暮らしている。彼は近所に住むラーマラクシュミ(サマンタ)に惚れて、調子はずれな求愛をする。一方、村は「プレジデント」を自称する金貸し兼地主のブーパティ(ジャガパティ・バーブ)によって牛耳られている。チッティ・バーブの兄で中東ドバイで働いているクマール・バーブ(アーディ・ピニシェッティ)は、プレジデントが好き放題にする故郷の村の有様を帰省した際に見て心を痛め、州会議員ダクシナ・ムールティ(プラカーシュ・ラージ)の力添えで、村長選挙に立候補して政治家として村の生活を改善していこうと思い立つ。
『ランガスタラム』
7月14日(金)より
新宿ピカデリー、ヒューマントラストシネマ渋谷、シネ・リーブル池袋ほか全国公開
配給:SPACEBOX
©Mythri Movie Makers