ウクライナの⺠謡をもとに⽣まれた有名な楽曲<キャロル・オブ・ザ・ベル>の歌に⽀えられ、ひたむきに⽣き続ける戦時下の家族の姿を描き出した『キャロル・オブ・ザ・ベル 家族の絆を奏でる詩』(7/7公開)。今回は、本作の公開を記念し、⾃分の信じる未来のために、戦争、宗教、根強い家⽗⻑制―さまざまな社会の理不尽に⽴ち向かって進んでいく⼥性たちを描いた4作品をご紹介。

『キャロル・オブ・ザ・ベル 家族の絆を奏でる詩』(23年7月7日公開)

舞台は1939年1⽉、ウクライナのイバノフランコフスク(当時はポーランド領スタニスワヴフ)。偶然、同じ屋根の下で暮らすことになった、ウクライナ、ユダヤ、ポーランドの3家族だったが、まもなく第2次⼤戦が開戦。ポーランド、ユダヤ⼈のそれぞれ娘たちがソ連軍、続くナチス・ドイツの侵攻により家族から引き離されてしまったため、⼦供達それぞれの出⽣を隠し、1つのウクライナ⼈家族として暮らすことになるー。

画像: 映画『キャロル・オブ・ザ・ベル 家族の絆を奏でる詩』本編映像《「キャロル・オブ・ザ・ベル」の歌唱》/7月7日(金) 全国公開 youtu.be

映画『キャロル・オブ・ザ・ベル 家族の絆を奏でる詩』本編映像《「キャロル・オブ・ザ・ベル」の歌唱》/7月7日(金) 全国公開

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2022年2⽉24⽇、ロシアによるウクライナへの侵攻が始まる前に作られていた本作。現在も戦渦のキーウに住み、⾃⾝も⺟親である監督は「『キャロル・オブ・ザ・ベル』を製作する時点でさえ、私たちが住む国は戦争中の状況でした。⽼いも若きも、ウクライナに⽣きる⼈々の中に戦争や悲劇的な出来事を経験せずに⽣き延びている⼈は⼀⼈もいませんので、この映画に取り組むことは私にとって⾮常に重要でした」と⾔う。偶然同じ家で暮らすことになったウクライナ、ユダヤ、ポーランドという、⺠族の違う3つの家族。やがて運命の悪戯により、この家族たちと共に暮らすことになったナチス・ドイツの少年さえも「この⼦に罪はない」と、⾃分の⼦どもたちと同じよう懸命に戦⽕から逞しく守り抜く姿は逞しい⺟の姿は<⼈間として⼤事なことは何か>を改めて観る⼈に⽰してくれます。

7月7日(金) 新宿武蔵野館、シネスイッチ銀座、
池袋シネマ・ロサ、アップリンク吉祥寺ほか全国公開
配給:彩プロ
後援:ウクライナ⼤使館 映倫 G
©︎MINISTRY OF CULTURE AND INFORMATION POLICY OF UKRAINE, 2020 – STEWOPOL SP.Z.O.O., 2020

『パピチャ 未来へのランウェイ』(2019)

1990年代、イスラム原理主義者が台頭し、テロが頻発するアルジェリア。⼥性たちが理不尽に社会的に抑圧される姿を、ムニア・メドゥール監督の実体験をもとに描き、第72回カンヌ国際映画祭「ある視点」部⾨にも出品され、話題になった。

画像: 映画『パピチャ 未来へのランウェイ』予告篇 10.30(fri) ROADSHOW youtu.be

映画『パピチャ 未来へのランウェイ』予告篇 10.30(fri) ROADSHOW

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主⼈公は、ファッションデザイナーを夢⾒る少⼥(リナ・クードリ)。ファッションデザイナーを夢⾒る彼⼥は、⾃作の服を製作し、ナイトクラブで販売する⽇々を過ごしていた。しかし街中では⼥性が頭髪や⾝体を覆うヒジャプ着⽤を強制するポスターが⾄るところに貼られるようにー。⾃分の着たい服を着て、⾃由におしゃれがしたいと⾔う願いが、死の恐怖と隣り合わせになるという現実。社会の⾔いなりにならず、⾃らの夢のためにファッションショーを開こうとする主⼈公(リナ・クードリ)の姿は<今いる場所から逃げない強さ>も教えてくれます。

『裸⾜になって』(23年7月21日公開)

『パピチャ 未来へのランウェイ』の監督による⻑編新作。舞台は『パピチャ』と同じく、北アフリカのイスラム国家、アルジェリア。内戦の傷が癒えきらぬ不安定な社会の中、バレエダンサーになることを夢⾒る少⼥(リナ・クードリ)は、貧しくもささやかな⽣活を送っていたが、ある夜、男に階段から突き落とされ⼤怪我を負い、踊ることも声を出すこともできなくなってしまう。すべてを失い、死んだも同然の抜け殻となったフーリア。

画像: 映画『裸足になって』本予告【7月21日(金)全国ロードショー】 youtu.be

映画『裸足になって』本予告【7月21日(金)全国ロードショー】

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そんな失意の中、彼⼥がリハビリ施設で出会ったのは、それぞれ⼼に傷を抱えたろう者の⼥性たちだった。「あなたダンサーなのね。わたしたちにダンスを教えて」その⼀⾔から始まったダンス教室で、また再び“⽣きる”情熱を取り戻していく―。内戦後、未だ⼥性への偏⾒・抑圧が根強いアルジェリア。他者からの壮絶な暴⼒によって⾃分を⾒失いかけた少⼥が、他⼈と触れ合い、寄り添い、そして⾃分の踊りを⾒つけることで⾃分の⼈⽣を再び取り戻す。<本当に⽣きる>ということはどういうことなのか︖改めて問いかけるような作品となっています。

『はちどり』(2020)

主⼈公である中学2年⽣の少⼥を通して、誰しも経験したであろう思春期特有の揺れ動く思い、男性が優遇されることが当たり前の家⽗⻑制の閉塞感、そして家族との関わりを繊細に描き、世界各国で50以上の賞を受賞、韓国はもちろん⽇本でも単館系としては異例のヒットを⾶ばした本作。

画像: 6/20(土) 公開!『はちどり』予告編 www.youtube.com

6/20(土) 公開!『はちどり』予告編

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舞台は、88年にオリンピック開催を果たし、急速な国際化と経済発展を続けていた1994年の韓国・ソウル。家族と集合団地で暮らす14歳の少⼥ウニは、学校にも馴染めず、別の学校に通う親友と遊んだり、男⼦学⽣や後輩⼥⼦とデートをしたりして⽇々をやり過ごしていた。⾃分に無関⼼のない両親や⼤⼈に囲まれ、孤独な思いを抱えていたウニ。ある⽇、通っていた塾で、「⼤学を休学中」だという、少し⾵変わりな⼥性ヨンジがやって来る。初めて⾃分の話に⽿を傾けてくれる⼤⼈に出会い、⼼を開いていくウニだったがー。

「誰かに殴られたら黙っていてはダメ」、怪我をして入院中のウニにヨンジが励ますシーンなど、⼥性であるという理由で我慢しなくてはいけなかったこと、それがおかしいということに気がつかなかったこと。社会の仕組みや⾃らの⼼の声に気づいた少⼥が、それでも必死に世界に⽻ばたいていこうとする姿に胸を打たれます。

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