スイスの有名な児童文学を基にした、高畑勲と宮崎駿によるTVアニメ「アルプスの少女ハイジ」(1974年)は日本やヨーロッパを含む世界各地であらゆる世代を超えて愛され続けています。この名作をヨハネス・ハートマン監督、サンドロ・クロプシュタイン監督とプロデューサーがB級エログロバイオレンスバージョンにアレンジしたのが映画『マッド・ハイジ』です。世界19カ国538人の映画ファンによるクラウドファンディングで、約2億9000万円ものの資金が集まり、“スイス映画史上初のエクスプロイテーション映画”として話題を呼びました。公開を機に、両監督に取材を敢行。作品に対する愛を語っていただきました。(取材・文/ほりきみき)

士官学校で学んだキャスパー・ヴァン・ディーンがさまざまな提案を

──リアルに撮ったバイオレンスシーンが満載でした。どんなところに苦労されましたか。

ヨハネス「予算的に大規模なセットを作ったり、デジタルエフェクトを使ったりすることができなかったので、手作り感が満載になりました。そのため効果を狙ってうまくいったものもあれば、うまくいかなかったものもあります。ハイジが森の中で兵士に手裏剣を投げるシーンはある効果を狙っていたのですが、ちょっと血が流れるだけになってしまいました。コスチュームが血糊で汚れてしまったこともありましたが、できる範囲で手作りのエフェクトを楽しみました」

画像: 士官学校で学んだキャスパー・ヴァン・ディーンがさまざまな提案を

──ハイジを演じたアリス・ルーシーが大奮闘していましたね。

ヨハネス「予算のこともあって撮影日数が限られていて、2週間半で全てのアクショントレーニングをこなした上で、クライマックスのアリーナでの撮影は2日間という制約がありました。これがハリウッドの作品であれば、トレーニングだけで数週間どころか数ヶ月掛けるでしょうし、『キル・ビル』は東京が舞台のシーンは8週間掛けて撮ったそうです。それを短期間でやってもらったわけですから、本当にキツい撮影だったと思いますが、アリスははテコンドーで黒帯二段の持ち主で、スタント無しで見事にやり切ってくれました」

──巨大チーズ企業の経営者で、邪悪な独裁者マイリは「アルプスの少女ハイジ」には登場しない、本作オリジナルのキャラクターですが、キャスパー・ヴァン・ディーンをキャスティングしたのはどうしてでしょうか。

ヨハネス「この役はどうしてもキャスパーに演じてほしかった。というのも『スターシップ・トゥルーパーズ』のときから彼を見ていて、一緒に仕事をするのは僕たちの夢だったのです。あれから20〜30年が経っていますが、今でも見た目が最高。この役にぴったりですよね。キャスパーであればちょっと馬鹿げたヴィランを最高にカッコよく演じてくれるに違いないと思ったのです。アメリカ人俳優が出演していることでアメリカのマーケットで優位になるかと考えた部分もありました」

画像: (中央)独裁者マイリ(キャスパー・ヴァン・ディーン)

(中央)独裁者マイリ(キャスパー・ヴァン・ディーン)

サンドロ「キャスパーがオファーを受けてくれたときはうれしかったです。正直、まさかと思いましたけれどね(笑)。彼はいろいろなアイデアを出してくれました。彼とのコラボレーションで作品を作っていけた気がします」

──具体的にはどんなアイデアを出してもらったのでしょうか。

サンドロ「キャスパーは俳優になる前に士官学校で学んでいて、軍のトレーニングを経験したことがあり、それに基づいたアイデアを出してくれたのです。ネタバレになるので、これ以上はお話しできないのですが、実体験を反映させてくれました」

ヨハネス「ほかにも笑えるシーンをいくつか提案してくれました。その1つは矯正施設の女囚キャンプを訪れたときのこと。汗を拭いたナプキンをぱっとそこにいた施設長のロットワイラーに渡すと、彼女がそれの匂いを嗅いで喜ぶというシーンは彼が提案してくれました」

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