【インタビュー】映画『マッド・ハイジ』「キャスパー・ヴァン・ディーンがアイデアを出してくれた」とヨハネス・ハートマン監督、サンドロ・クロプシュタイン監督が語る

日本からも11人がクラウドファンディングに参加

──制作資金はクラウドファンディングによって集めたそうですね。

ヨハネス「『50～100万スイスフランくらい集まれば上出来かな』と思って、ポスターやティザーを作ったところ、それらの受けがよかったようで、最初の数日で脚本開発のための金額が集まりました。それだけでも驚いたのですが、全額をクラウドファンディングで集めるのは無理なので、クラウドインベストメントという映画の売り上げが配当されるシステムへの個人投資家を募り、設定を200万フランにしたところ、数百人の投資家が集まって、達成できたのです。これには本当に驚きました。

最終的には合計で 19 カ国 538 人から 200 万スイスフランン（1フラン＝約 145 円の計算で、約２億9千万円）を集め、日本からは 11 人、各 500 スイスフラン（約 72,500 円）を投資してもらいました。ちなみに最高額を寄付してくれた人の寄付額は10 万スイスフラン（約 1450 万円）以上でした」

──完成した作品に対する国内の評価はいかがでしたか。

ヨハネス「国内での公開時の反応はよかったです。いわゆるジャンル映画好きの人が見てくれるだろうと思っていましたが、想定していた以上の人に受け入れられたのを感じました。『普段はこういう作品は見ないけれど、スイス初というので見に来た』という方が結構いたのです。主要なメディアの批評家の方々からも概ねいいレビューを書いていただきました」

──A・A・ミルン原作の児童小説「クマのプーさん」をホラー映画化した『プー あくまのくまさん』が日本で公開されます。本作にとってライバルになりそうですね。

ヨハネス「『くまのプーさん』のホラー版に関しては、この作品に取り掛かっているときに聞きました。子ども向け作品を別バージョンで実写化という話は他にもあるようなので、そういうトレンドがあるのかもしれません。ライバルというよりも互いに応援し合えたらと思います」

──最後に「ハイジ＆クララ」という続編が制作される旨がスクリーンに登場しました。現在、続編はどの辺りまで進んでいますか。

サンドロ「『マッド・ハイジ2　ハイジ＆クララ』をぜひ撮りたいと思っています。基本的には今回の『マッド・ハイジ』はオリジナルにある程度、基づいているので、ハイジ目線でした。僕たちはクララも好きですし、ハイジとクララはいいバディだと思うので、クララの登場シーンを増やしたいと思っています」

ヨハネス「いろいろ考えていますが、これから日本とアメリカで興行予定なので、その成功如何です」

『マッド・ハイジ』2023年7月14日(金)ヒューマントラストシネマ渋谷、新宿武蔵野館、池袋シネマ・ロサほか全国順次公開

＜STORY＞
チーズ製造会社のワンマン社長にしてスイス大統領でもある強欲なマイリは、自社製品以外のすべてのチーズを禁止する法律を制定。スイス全土を掌握し、恐怖の独裁者として君臨した。それから20年後。アルプスに暮らす年頃のハイジだったが、恋人のペーターが禁制のヤギのチーズを闇で売りさばいていたため、見せしめにハイジの眼前で処刑されてしまう。さらに唯一の身寄りであるおじいさんまでもマイリの手下に山小屋ごと包囲されて爆死。愛するペーターと家族を失ったハイジは、血塗られた戦士へと変貌を遂げる。復讐の鬼と化したハイジは、邪悪な独裁者を血祭りにあげ、母国を解放することができるのか。

＜STAFF&CAST＞
監督：ヨハネス・ハートマン、サンドロ・クロプシュタイン
脚本：サンドロ・クロプシュタイン、ヨハネス・ハートマン、グレゴリー・ヴィトマー、トレント・ハーガ
撮影：エリック・レーナー
衣装：ニナ・ジョーン
プロダクション・デザイン：ミリアム・ケイリン
編集：ジャン・アンドレッグ、クラウディオ・セア、アイザイ・オズワルド
202２年/スイス/カラー/スコープサイズ/5.1chデジタル/92分/英語　　
原題：Mad Heidi
配給：ハーク／S・D・P
©SWISSPLOITATION FILMS/MADHEIDI.COM
公式サイト：https://hark3.com/madheidi/