日本公開のインド映画の興収記録を更新した『RRR』(2022)。本作だけなく、世界中でインド映画への注目は高まるばかり!今観たい話題作の紹介に合わせて、その面白さに迫ります。(文・高倉嘉男/デジタル編集・スクリーン編集部)

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インド映画を知るQ&A!

Q:インドではどれくらい映画を作っている?

インドは「世界一の映画大国」と呼ばれるが、その根拠は製作本数の多さで、長年世界一である。年間製作本数は元々1,000本を突破していたが、2010年代に映画の記録媒体が35mmフィルムからデジタルに移行したことで飛躍的に伸び、コロナ禍前には年間2,500本に達した。まだコロナ禍前の水準に戻っていないが、世界一の製作本数は維持している。

Q:インドで人気のジャンルは?

インドの大衆娯楽映画は、一本の作品に笑いと涙、ロマンスとアクション、スリルとサスペンスなど、あらゆる娯楽要素を詰め込んだ「マサーラー映画」というスタイルで知られ、結局インド人が一番好きなのもこの種の映画だ。近年はハリウッドの影響もあって、SF、ホラー、パニックなど、特定の娯楽要素に特化した映画も目立つ。

Q:インド映画=ボリウッドなの?

実は「インド映画」なる単一の産業は存在しない。多言語国家インドには公用語だけでも23あり、その映画産業はトーキー化以来、言語ごとに独立し、各地で発展してきた。もっとも話者人口の多いヒンディー語の映画が最大勢力で、これが俗に「ボリウッド」と呼ばれる。本拠地ムンバイの旧名「ボンベイ」と「ハリウッド」をもじったものだ。

「ボリウッド」以外にもインド各地には様々な「~ウッド」がある。例えば日本でも大ヒットした『RRR』(2022)を生んだのは「トリウッド」と呼ばれるテルグ語映画だ。20世紀末にインド映画ブームを巻き起こした『ムトゥ 踊るマハラジャ』(1995)はタミル語映画で、愛称は「コリウッド」だ。よって、インド映画=ボリウッドではない。

Q:インド映画では何語が使われる?

言語ごとに独立して発展してきたインドの映画産業では、各地の地元言語で映画作りが行われる。北インドではヒンディー語映画が人気だが、南インド各州ではテルグ語、タミル語、カンナダ語、マラヤーラム語の映画が観られている。数は少ないが、英語の映画も作られている。字幕は普及していないが、相互に吹替が行われることはある。

Q:インド映画って必ず踊るの?

映画中に挿入されるダンスシーンはインド映画の最大の特徴だ。優れたインド映画はストーリー、歌詞、音楽、ダンスが相乗効果をもたらす。しかし、歌や踊りは必須ではない。敢えてダンスを入れない映画もあるし、そのような映画が興行的に成功した例もたくさんある。ただし、インドの映画スターにとってダンスは必須のスキルだ。

Q:インドで人気の映画スターは?

インドでは「映画スター」といえば普通は男性スターのことで、しかも地域によって人気スターが異なる。北インドのヒンディー語映画界では「3カーン」と呼ばれる3人、アーミル・カーン、サルマーン・カーン、シャー・ルク・カーンが有名だ。同じ1965年生まれで、「カーン」姓が共通するが血縁ではなく、1990年代からトップを競い合っている。

ひとつ下の世代では『バンバン!』(2014)のリティク・ローシャン、さらに下の世代では『ブラフマーストラ』(2022)のランビール・カプールなどが人気だ。南インドでは、『RRR』(2022)のNTR Jr.とラーム・チャラン、『マスター 先生が来る!』(2021)のヴィジャイ、「K.G.F」シリーズ(2018, 2022)のヤシュなどが各地のトップスターだ。

NTR Jr.(左)/ラーム・チャラン(右)

Photo by Getty Images

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