世界で最も有名なファッションドールであるバービーが遂に実写化! 予想を裏切る驚きの展開と、明日を明るく変える魔法のようなメッセージが待っている本作の魅力を、ピンクについてのコラムと共にお届けします!(特別寄稿・新谷里映/デジタル編集・スクリーン編集部)

『キューティ・ブロンド』の主人公が全身“ピンク”である理由

この夏に公開の映画『バービー』。予告映像を観て感じたのは「そうそう、こういう映画を待ってました!」という世界観への期待。思いきりピンク色を使ったバービーランドは、子供の頃に憧れていたバービーの世界を見せてくれる夢のような世界。

大人になるにつれて少しずつ薄れていってしまうファンタジーへの憧れを、一瞬にして呼び覚まして、ワクワクをチャージしてくれる。あのピンクの世界にはそんな力があるのではないかと思うのです。

画像: 『キューティ・ ブロンド』 ©2001 Metro-GoldwynMayer Pictures Inc. All Rights Reserved.

『キューティ・ ブロンド』

©2001 Metro-GoldwynMayer Pictures Inc. All Rights Reserved.

そして、映画『バービー』に期待を寄せつつ思い出したのは、リース・ウィザースプーン主演の『キューティ・ブロンド』(2001)です。身に纏う服をはじめファッションもインテリアも、いろんなものがピンクの主人公エル・ウッズ。

公開当時、劇場でエル・ウッズを目にしたときは、そこまでピンクですか!?と驚きもありましたが、物語が進んでいくなかで、ピンク色である意味が描かれる。ピンク色はエル・ウッズにとって自分らしく生きるための色、彼女が「自分らしく生きる」姿に心を動かされるのです。

セリフに登場するバービーとエル・ウッズの共通点

実は、『キューティ・ブロンド』のなかにもバービーは登場します。登場と言ってもセリフのなかですが。

シリーズ1作目、エル・ウッズは元恋人を追いかけてハーバードの法学部を目指し、みごと合格。初めて大学に到着したときに在校生から「どこのバービー人形だ?」と言われます。

2作目、優秀な弁護士として活躍するエル・ウッズはワシントンD.C.へ。その時も議員秘書に「動くバービー人形?」と言われます。

エル・ウッズのブロンドの髪とピンクといった目立つファッションをバービー人形に例える。一見、エルとバービーの両方をけなしているようにも捉えられますが、作品としての真意はそうではなく、そのセリフを発している側の浅はかさを強調しているシーンでもあるのです。外見ではなく中身を見よ、「自分らしく生きる」に繋がるテーマの一部とも言えます。

そもそもピンクという色は、優しさ、穏やかさ、愛情……といった温かさを感じさせる色、癒される色です。『キューティ・ブロンド』では、そのピンク色を、偏見からの脱却、女たちの連帯として取り入れて、色とキャラクターと物語をとてもうまく組み合わせている映画でした。

映画の中で象徴的に描かれる様々な“ピンク”たち

遡ってみると、ピンク色を効果的に使った映画は少なくありません。たとえば『パリの恋人』(1957)ではファッションの流行としてのピンクが描かれます。

『セント・エルモス・ファイアー』(1985)や『プリティ・イン・ピンク/恋人たちの街角』(1986)ではインテリアとしてのピンク、『オースティン・パワーズ』(1997)では女性のエロスとしてのピンク。

画像: 『ミーン・ガールズ』U-NEXTにて配信中 TM & Copyright © 2004 by Paramount Pictures. All Rights Reserved.

『ミーン・ガールズ』U-NEXTにて配信中

TM & Copyright © 2004 by Paramount Pictures. All Rights Reserved.

また、女性の連帯を表す色として『ミーン・ガールズ』(2004)では水曜日にピンクの服を着るという決まりがあったり、『グリース』(1978)にはピンクレディースたちが登場します。

キャラクターの個性を強調する色としても使われています。「ハリー・ポッター」のドローレス・アンブリッジ、「シー・デビル」のメアリー、『ハイスクール・ミュージカル』(2006)のシャーペイなど。

画像: 『紳士は金髪がお好き』(1953) Photo by Sunset Boulevard/Corbis via Getty Images

『紳士は金髪がお好き』(1953)

Photo by Sunset Boulevard/Corbis via Getty Images

ほかにも『紳士は金髪がお好き』(1953)『マリー・アントワネット』(2006)『タイピスト!』(2012)、挙げるときりがないですね。

時代は移り変わり、ピンク色=女性的という時代ではなくなりましたが、それでもやはりピンクは女性を刺激するスイッチになる色だと思うのです。

そして、映画のなかで象徴的に描かれるピンク色には意味がある。ピンクは、色の可愛らしさに対してキャラクターのギャップが際立つ色。ピンク色が目立つ映画のキャラクターが魅力的なのは、そういう理由もあると思うのです。

画像: 映画の中で象徴的に描かれる様々な“ピンク”たち

映画『バービー』の舞台は、バービーランドから人間の世界へ、次元を超えてくる設定です。そこにはきっと人生の学びもあるはず。ピンク色から想像もつかないギャップと奥深さ、期待しています。

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『バービー』
2023年8月11日(金)公開
アメリカ/2023/1時間54分/配給:ワーナー・ブラザース映画
監督:グレタ・ガーウィグ
出演:マーゴット・ロビー、ライアン・ゴズリング、アメリカ・フェレーラ、ケイト・マッキノン、エマ・マッキー、シム・リウ、ジョン・シナ、マイケル・セラ、デュア・リパ、ウィル・フェレル、ヘレン・ミレン

©2023 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved.

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