8年ぶりの「コワすぎ!」、その心境は?
本作は、『ノロイ』や『オカルト』など、ホラー映画界で異彩を放っている監督・白石晃士の長編最新作。イベントには、主人公・工藤仁役の大迫茂生、市川実穂役の久保山智夏、田代正嗣役、且つ本作のメガホンを取った白石晃士監督が登壇。8年ぶりの新作について語った。
登壇した白石監督は「だいぶお待たせして、やっと新作を作ることができましたので、新作を作れたってことで肩の荷が下りました。そして、新宿ピカデリーでコワすぎが上映されるって、ちょっと異世界かなと思って、有難い限りです」と冗談を交えながら感謝をファンに告げた。
大迫は「この光景が本当に嬉しいですね。我々の想いを吹き飛ばす程の皆さんの熱気・パワーが本当に嬉しいなと思います。」と喜びを伝え、久保山は「入ってきた瞬間に皆さまのお顔を見れて本当に嬉しいです!8年ぶりの新作にもかかわらず、ずっと覚えていてくださって、こうやって劇場に足を運んでくれることが嬉しいです。是非楽しんで観ていただけたらなと思います!本当にありがとうございます!」と来場した観客に呼びかけた。
前作から8年の月日を経て公開になる最新作。そのことについて聞かれた白石監督は「私が忙しくなって、スケジュールが埋まってしまい、なかなかできなかった。でも一度、3~4年前にスケジュールが空いたタイミングでやろうと思ったが、その時は、脚本に詰まってしまい、書き上げられなかったが今回はとにかく完成させるということを前提にやっと作れたという感じです」と制作の経緯を明かした。
その8年という月日を待っている側としての心境を問われた久保山は「最初のシリーズの頃は、バーッと勢いがあったんですが、一回間が空いちゃうと、自分自身も他のことを色々やっていたので、特に…」と言葉が詰まる場面があり、「別に心が動いたことはなかったんですね?」と白石監督からツッコミが入ると、久保山は「いつかは撮るときのために、できるだけの準備は、俳優としてやりたいとは常々思っていました!」といつでも“コワすぎ!”の新作を撮れる準備をしていたと語った。続けて大迫も「いつバットを握れるかな!」と新作を待望していたことを明かし、「前作から間が空きすぎると、さすがに忘れられてしまわないか怖いな~と思っていましたが、皆さんが今回たくさん集まってくれて良かったです」と変わらず集まってくれた観客にホッとした様子を見せた。
“赤い女”になったのは、原点回帰的なところもあった?
これまで、口裂け女、河童、コックリさんなど多様な怪異を描いてきた「コワすぎ!」。本作では“赤い女”という怪異をメインにしているが、そのことに関して白石は「元々は、かまいたちネタをやろうとイメージしていましたが、それをもとに赤い女のイメージになりました。『コワすぎ!』の一番最初の話が口裂け女だったので、なんとなくそれにイメージを重ね、原点回帰的な雰囲気もありました」と最新作のメインの怪異が“赤い女”になったことを明かした。
「コワすぎ!」シリーズで多く語られることの一つとえいば、激しすぎる上司・工藤とその下で働く市川のコンビ。久々に市川を演じた感想を問われた久保山は、「シリーズを重ねるごとに“市川”自身もパワーアップして反抗したりしているので、今回もどうなっているのかを是非注目してほしい!」と自身の演じる“市川”の成長ぶりをアピール。一方、工藤役の大迫は「ロケ地が夏の終わりですごく蚊が多かったので、刺されるのが嫌だった」と小さめのエピソードを「撮影で大変だったこと」として話し、場内をほっこりさせた。
実はロケ地が映画『カメラを止めるな!』と同じ本作。SNSでも話題になっているが、白石監督は「カメ止めで使っていたのは知っていましたが、ロケハンをしていて候補の中で制作の都合と見栄えが一番良いのを選んだらそこになりました。同じになっちゃうけどいいんじゃないか?(笑)」と意図して『カメ止め!』と同じロケ地を選んだわけではないと主張。会場の笑いを誘った。
「コワすぎ!」オリジナルTシャツを紹介する一幕も。Tシャツの背中には、シリーズおなじみの“金属バット”のデザインがあり、「野球部のみんな着てくれないかな~」「本作では殴るために登場するバットですから」「正しい使い方じゃないですからね」とジョークを飛ばし、会場を盛り上げた。
最後に白石監督が代表して挨拶。「皆さんの期待に応えられる映画になってるといいのですが、途中からジェットコースターに乗った気分で楽しんでいただければと思います。もしかしたら画面も揺れるので、ご気分が悪くなる方もいるかもしれませんが、その時は前を通って退出される方もいるかもしれないので、その時は、足をすっと引っ込めていただいてご協力いただければと思います。そういう可能性も含めながらお楽しみいただければと思います!」と笑いを交えて作品の魅力を告げ、観客からの大きな拍手の中、舞台挨拶は幕を下ろした。
『戦慄怪奇ワールド コワすぎ!』
9月8日(金)新宿ピカデリー、ヒューマントラストシネマ渋谷、池袋シネマ・ロサほか全国公開
監督・脚本・撮影・音響効果:白石晃士
出演:大迫茂生 久保山智夏
配給:アルバトロス・フィルム
©2023「戦慄怪奇ワールド コワすぎ!」製作委員会